自己破産で家族にかける5つの迷惑|及ぼす影響と誤解されやすいポイントも詳しく解説

自己破産で家族にかける5つの迷惑|及ぼす影響と誤解されやすいポイントも詳しく解説

監修 蒲谷 博昭
/弁護士法人ユナイテッドローヤーズ/シン・イストワール法律事務所 代表

弁護士法人ユナイテッドローヤーズ/シン・イストワール法律事務所は借金問題に注力する法律事務所です。事務所を開設してから、これまで任意整理、個人再生、自己破産、過払い金請求など様々なケースの借金事案に対応してきました。

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この記事でわかること
  • 自己破産するとお金・家・車・保険・保証人に影響が出る
  • 自己破産しても家族の仕事や結婚には影響ない

自己破産は本人が抱えた債務を帳消しにできますが、それと引き換えに本人や家族の生活にさまざまな影響を及ぼすことがあります。どんな迷惑をかけてしまうのか?とても気になる問題ではないでしょうか。

また、実は自己破産をしても家族に影響を与えないことであっても、「迷惑をかけるかもしれない…」と思い込んでいる部分があるかもしれません。

そこで今回は、自己破産で家族にかける5つの迷惑と、どんな影響が考えられるのかを詳しく解説していきます。

あとから家族が困らないためにも、自己破産の手続きをおこなう前に、まずはしっかりと内容をチェックしてみてください。

自己破産で家族にかける5つの迷惑とその影響について

自己破産をすることで、次の5つの項目が家族に迷惑をかけたり、影響を与える可能性があります。

【家族にかける5つの迷惑】

  • 1. 現金・預金・クレジットカード
  • 2. 持ち家
  • 3. 自家用車
  • 4. 生命保険・学資保険
  • 5. 保証人

上記のなかには、同居していない親族にも迷惑をかけることがあります。自己破産をする前には、しっかり確認しておきましょう。

現金・預金・クレジットカード

自己破産をすると、破産法第2条14項の定めにより、下記の現金や預金などの資産が破産財団に組み入れられます。

  • 99万円以上の現金
  • 20万円以上の預金や債券などの資産

生活資金として現金を99万円までは手元に残すことができますが、通帳の預金に関しては別として扱われることにご注意ください。

上記のように、自己破産をしても破産財団に組み入れられない最低限の生活資産を「自由財産」と言います。

第一項の規定にかかわらず、次に掲げる財産は、破産財団に属しない。
一 民事執行法(昭和54年法律第4号)第131条第三号 に規定する額に二分の三を乗じた額の金銭
二 差し押さえることができない財産(民事執行法第131条第三号 に規定する金銭を除く。)。ただし、同法第132条第一項 (同法第192条 において準用する場合を含む。)の規定により差押えが許されたもの及び破産手続開始後に差し押さえることができるようになったものは、この限りでない。

【引用元】:破産法 第三十四条 3

自己破産をするときでも残せるものを簡単にまとめると以下のようになります。

【自由財産の主な例】

  • 99万円以下の現金
  • 新得財産(手続開始後に取得した財産)
  • 差押禁止財産(民事執行法などの法律で差押が禁じられている財産)

上記に該当しないものについては、原則として破産財団に組み入れられ、換価処分することで弁済金の一部に充てられます。

クレジットカードの家族カードに注意

自己破産手続きで気をつけておきたいのは、破産者が契約者の「家族カード」が使えなくなることです。

家族カードを公共料金などの引き落としに利用しているときは、自己破産をする前に支払い先の変更手続きが必要になります。

もしも家族が家族カードを日常的な決済に利用している場合、急な使用停止で迷惑をかけないように、事前に使えなくなることを伝えておかなければなりません。

自己破産でクレジットカードが使えなくなることで、家族に迷惑がかかることを見落とさないようにしておきましょう。

理由がある財産は残せるか相談することも可能

破産財団(換価処分対象)に該当するものであっても、特別な事情がある財産については申し立てによって残せます。

裁判所は、破産手続開始の決定があった時から当該決定が確定した日以後一月を経過する日までの間、破産者の申立てにより又は職権で、決定で、破産者の生活の状況、破産手続開始の時において破産者が有していた前項各号に掲げる財産の種類及び額、破産者が収入を得る見込みその他の事情を考慮して、破産財団に属しない財産の範囲を拡張することができる。

【引用元】:破産法第34条4項(破産手続開始の原因)

残せる財産は原則として「生活を維持するためにやむを得ない事情があると判断できるもの」が対象となります。

自由財産の範囲拡張は裁判所の判断によって決まるため、弁護士・司法書士とよく相談して申し立てをおこなってください。

持ち家は手放すことになる

現在、家族で持ち家に住んでいるという人は、自己破産により家を手放すことになるため、新たな住まいを探す必要があります。

同居の家族には生活環境を大きく変えてしまうことでも迷惑をかけ、通勤・通学・買い物などにも影響します。賃貸物件が持ち家よりも狭くて古い場合、生活環境も悪くなるため迷惑をかけることも増えるでしょう。

自己破産をすることで家を手放さなければならないことは、もっとも家族に迷惑をかけることになるかもしれません。

自家用車は原則として没収される

本人名義の自家用車は原則として差し押さえの対象となり、破産財団に組み入れられ換価処分の対象となります。

自家用車を失うことで、自身の通勤に影響するだけでなく、送り迎えや買い物などで家族にも迷惑がかかるでしょう。

ただし、次のようなケースは車をそのまま残せることもあります。

  • 車両評価額が20万円以下
  • 介護などの特別な事情で必要なとき
  • 保有財産の総額が少ないとき

自家用車については、経年により資産価値がないものや、状況によっては自由財産の拡張で残せるケースもあります。

とくに介護・仕事などで必要なときには、家族に迷惑がかからないようにするためにも、弁護士・司法書士に相談してみてください。

セカンドカーなど家族名義の車は?

お買い物用のセカンドカーなど、家族名義になっている車は破産財団の対象にはなりません。

自己破産で破産財団に組み入れられるものは、あくまでも申し立てをする本人の名義のものだけになります。

しかしながら、これを悪用して事前に名義を変えてしまうと、財産隠しとみなされることになるためご注意ください。

生命保険・学資保険の解約が必要になることもある

生命保険や学資保険など、解約したときに20万円以上の返戻金があるものは解約しなければなりません。

20万円以上の財産については、先述した破産財団の対象になるため、換価処分をして返済に充てる必要があります。

ただし、保険については以下の場合は対象外となります。

  • 解約返戻金が20万円以下の場合
  • 掛け捨て型の保険

保険解約で家族にかける迷惑は、自身の治療費の負担増だけでなく、お子様の学資保険も対象になるということです。

持病などの影響で解約すると二度と加入できない恐れがあるときは、弁護士・司法書士に自由財産の拡張を相談してみましょう。

家族が保証人になっているときは?

家族が保証人になっている借金があるときに自己破産をすると、残金の返済義務が発生することで迷惑をかけてしまいます。

多くの場合「一括請求」での返済を求められるため、最悪の場合は連鎖的に自己破産してしまうこともあるのです。

借入先によって自己破産で家族にかかる迷惑は多少異なるため、以下の表を参考にしてください。

主な借入先保証人の返済義務概要
信用融資借入金の元金・利息・遅延損害金などが対象になる借入総額そのものは大きくない場合でも、利息や損害金の利率が高いことで迷惑をかけやすい
車のローン債権者の判断により、車両の残価を差し引いた差額または残金の全額の返済を求められる保証人が債務を一括で支払うことにより、所有権を移転しそのまま乗ることも可能
住宅ローン債権者の判断により、住宅売却後の残債務または残金の全額の返済を求められる高額になることが多いため、連鎖的に自己破産するケースが目立つ
奨学金奨学金の残債務額や遅延損害金の返済を求められる住宅ローンに次いで高額になりやすい借入で、両親以外に親族にまで迷惑がかかることもある

また、奨学金の保証人の場合、自己破産をすると家族に迷惑をかけるのは「人的保証」を利用しているときになります。

機関保証のときは保証会社が立て替えますが、自己破産の手続き後に請求されることはありません。

項目家族の返済義務
人的保証あり
機関保証なし

人的保証のときの奨学金は、両親などの連帯保証人だけでなく、保証人になってもらっている親戚にまで迷惑がかかることにもなります。

奨学金の保証人にかける迷惑は大きくなる

奨学金の保証人になっている家族・親族にかける迷惑は、その人の人生を変えてしまうほどにとても大きくなります。

実際に奨学金を含めた自己破産データがありますのでご覧ください。

(1)平成24年~平成28年度
平成24年度から平成28年度において、自己破産したため奨学金の債務が免責になった、あるいは保証債務が免責となった等の連絡があった件数は下記の通りです。
返還者本人:8,108件(うち保証機関分が475件)
連帯保証人:5,499件
保証人:1,731件

※破産となった直接の原因は不明
※連帯保証人の破産5,499件のうち、返還者本人が破産していた件数は764件であり、保証人の破産1,731件のうち、返還者本人及び連帯保証人が破産していた件数は96件です。

【引用元】:日本学生支援機構

原則として一括請求となることで、連鎖的に自己破産してしまう恐れもあります。

自己破産の手続きで迷惑をかけないためにも、必ず連帯保証人だけでなく保証人へも報告や相談をしておきましょう。

家族に迷惑がかかると誤解されやすいポイント

ここからは、よく家族に迷惑がかかると誤解されているポイントについて解説していきます。

とくに生活に影響することで誤解されやすいものとして、次の内容では家族に迷惑はかからないことを覚えておいてください。

【家族に迷惑はかからないポイント】

  • 就職や職業選択
  • 結婚
  • 個人信用情報

それぞれについて詳しくみていきましょう。

自己破産しても家族の就職や職業選択に制限はない

自己破産で家族の就職や職業選択に影響することはなく、同居や別居に関わらず迷惑はかかりません。

一定の職業で資格制限を受けるのは自己破産の手続きをする本人だけで、それも免責を受けるまでの期間のみです。

【資格制限を受ける主な仕事】

  • 士業(弁護士・司法書士・公認会計士・宅地建物取引士など)
  • 公証人
  • 警備員
  • 公的相談員(交通事故など)
  • 生命保険外交員 など

手続きをする本人が上記に該当する場合でも、資格を失うわけではないため、自己破産の免責を受けた後には再び職務に戻れます。

もちろん家族が該当する業務で働いている、また就職を希望するときにも、自己破産をしたことで迷惑がかかることはありません。

自己破産しても家族が結婚することには影響しない

自己破産の手続きをおこなっても、戸籍や住民票などへ影響することはないため、家族の結婚に迷惑をかけることはありません。

手続きをおこなう本人の情報が官報に掲載されることは避けられませんが、そこから家族に迷惑がかかるのは考えにくいでしょう。

仮に情報が漏れたとしても、次のような状況を伝えることで、相手も安心させられるのではないでしょうか。

  • すでに免責が確定して債務がない状態であること
  • 結婚することで世帯が別になること
  • 自己破産による各種の制限は債務者本人にしかないこと

自己破産そのもので家族の結婚に迷惑をかけることはありませんが、参考までに上記を覚えておくと良いかもしれません。

信用情報に事故履歴がつくのは自己破産する本人のみ

個人信用情報で事故履歴がつく「ブラックリスト入り」の状態になるのは、自己破産する本人のみです。

自己破産をすることで家族の信用情報には影響することはなく、同居や別居に関わらず迷惑がかかることはありません。

主な信用情報機関は3つありますが、それぞれ自己破産情報の保有期間が異なることにご注意ください。

信用機関名主な対象情報保有期間
CIC
クレジットインフォメーションセンター
クレジットカード系5年
JICC
日本信用情報機構
消費者金融系5年
KSC
全国銀行協会
銀行系10年

上記のブラックリスト状態になっているときは、本人が「家族の保証人になれない期間」であることに注意が必要です。

自己破産による信用情報への影響で家族に迷惑をかけることがあるとすれば、保証人になれない期間であることとなります。

以下の記事で「ブラックリスト」について詳しく解説しています。

自己破産で家族に迷惑をかけたくないときの債務整理の方法

借金の問題で家族に迷惑をかけたくないときには、自己破産以外の債務整理方法を選択することも考えられます。

【自己破産以外の債務整理】

  • 任意整理
  • 民事再生

2つの債務整理のおおまかな内容について、わかりやすく表にまとめてみましたのでご覧ください。

債務整理方法任意整理個人再生
概要債権者と個別で交渉して元金の分割返済をおこなう。利息や遅延損害金の免除と、過払金やリスケジュールによる返済額の見直しに期待できる。債務を大幅に圧縮(5分の1〜10分の1)して3年(または5年)で分割返済をおこなう。財産の処分が不要で持ち家が残せることなどもメリット。
裁判所の利用不要
※特定調停の場合は除く
必要
持ち家残せる残せる
※住宅ローン特則利用
マイカー残せる残せる
※残債があるときは除く
費用数万円〜30万円程度
※対象の債権者の数による
50〜80万円
※選任費用などで異なる

それぞれの債務整理方法をおすすめする人は、次のような人になります。

任意整理をおすすめする人

家族が保証人になっている借金で迷惑をかけるのを避けたいなら、弁護士・司法書士に任意整理の相談をしてみましょう。

任意整理は自己破産と違い裁判所を介さずにおこなえ、債権者と直接交渉をして返済の相談をします。あくまでも自分で支払いを継続するための債務整理方法のため、保証人である家族に迷惑はかかりません。

ただし、債務額が多すぎると債権者から合意を得ることは難しく、逆に保証人への請求を考えられるリスクにはご注意ください。

個人再生をおすすめする人

債務額が大きい人で、自己破産により家族に迷惑をかけたくないときには、個人再生の手続きをおすすめします。

自己破産のように借金の全額免除はされませんが、個人再生には次のようなメリットがあります。

  • 借金の大幅な減額に期待できる
  • 自己破産のように免責不許可となる条件がない
  • 住宅ローン特則を利用することでマイホームの支払いも継続できる
  • 財産の没収(差押による破産財団への組み入れ)がない など

また、手続きにかかる費用についても、自己破産とあまり変わらないというのもあります。

自己破産と違いマイホームの支払いが継続できることで、保証人になっている家族にも迷惑をかけることはありません。

しかしながら、それ以外の借金(奨学金含む)については、減額された差額の請求が保証人に行くことにご注意ください。

自己破産で家族にかける迷惑まとめ

自己破産の手続きをおこなうことで、家族に迷惑をかけてしまうことは少なくありません。

しかし、自己破産の及ぼす影響については、勘違いされやすいことも多いため、この点には注意が必要です。

また、自己破産で家族に迷惑をかけたくなくても、優先して親族への支払いだけをしたり、財産の名義を変えたりしてはいけません。

自己破産の免責不許可事由に該当するだけでなく、状況によっては詐欺罪として刑事罰を受ける可能性もあります。

借金の問題で家族に迷惑をかけない方法については、弁護士・司法書士とよく相談して正しい解決方法を選択しましょう。

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