- 債務整理をするとブラックリストに載る(約5年〜10年)
- ブラックリストに載るとは、信用情報機関の個人情報に登録されること
- ブラックリストに載っても生活への影響を最小限にできる
- ブラックリストを心配するよりも早めに債務整理をするのが得策である

この記事はこのような方にオススメです!
・債務整理による「ブラックリスト入り」の基本情報を知りたい方
・ブラックリストに掲載されると発生するデメリットを知りたい方
・デメリットを最小限に抑える方法を知りたい方
「債務整理」をすると、ブラックリストに載りますが、それが嫌で先延ばしにしている方は多いようです。確かに、生活への影響は少なくありませんが、そのデメリットを最小限に抑える方法は存在します。
そこでこの記事では、
- ブラックリストと信用情報機関についての正しい知識
- ブラックリストから解除されるまでにかかる期間
- ブラックリスト入りのデメリットを最小限に抑えるために施せる対策方法
以上3点について詳しく解説します。

「ブラックリスト」の基本知識から、生活に及ぼすデメリットを最小限に抑える方法を一緒に確認しましょう!
債務整理をすると信用情報がブラックリストに載る!
債務整理を行うと、信用情報機関が管理する個人の信用情報データベースに、必ず債務整理を行った履歴が登録されます。
それによって、いわゆる「ブラックリストに載った」という状態になります。
債務整理を行えば、原則として必ず信用情報機関に債務整理の履歴が登録されます。このブラックリスト入りを回避する方法はありません。
ブラックリストに登録されると、「クレジットカードの新規発行ができない」「ローンが組めない」といったデメリットが生じることになります。
ただし、永久にブラックリストに登録され続けるわけではありません。債務整理の種類によりますが、おおよそ5年〜10年ほど経過すればブラックリストから解除されます。
・ブラックリストに載るとクレジットカードが使えない等のデメリットが生じる
・ただし登録期間が過ぎればブラックリストから解除される
ブラックリストとは
ブラックリストと聞くと、クレジットやローンの返済で事故を起こした人たちの情報が一覧になってリスト化されたものをイメージする方が多いようです。しかし、実際にはそのような“リスト”は存在しません。
信用情報機関は、「延滞」「未払い」「債務整理」などの“返済事故”があった場合に、「事故情報」としてその履歴を登録します。その情報が登録されている状態を「ブラックリストに載る」と言います
【ブラックリストに掲載される情報とは】
登録される情報 | 事故情報(未払い、延滞、債務整理) |
---|---|
情報の管理機関 | 信用情報機関(CIC、JICC、KSC) |
役割 | 個人の信用情報の収集と金融機関への情報開示 |
影響 | カード・ローンの契約、借入れの金額および可否 |
期間 | 任意整理は約5年、個人再生・自己破産は約10年 |
ブラックリストに登録される期間は?
債務整理を行った後は、一般的に5〜10年ほどブラックとして登録された状態になります。
その期間は「新たなローンが組めない」「カードが作れない」などの金融面での不都合が生じますが、登録期間を過ぎるとブラック情報は解除されます。
その後は、新規でローンを組む、借入れをすることは可能になります。
ブラックリストに登録される期間 | |
---|---|
任意整理 | 約5年 |
個人再生 | 約5年〜10年 |
自己破産 | 約5年〜10年 |
特定調停 | 約5年〜8年 |
ブラックリストを管理する「信用情報機関」とは
ブラックリスト(事故情報)を管理しているのが信用情報機関です。
信用情報機関は、会員であるクレジット会社や金融機関から個人の取引内容の情報提供を受け、それらの信用情報をデータ化します。そして、会員の金融機関から個人情報の照会を受けた際に開示を行うのが役割です。
貸金業者など金融機関は、信用情報機関に紹介することで、個人のブラック情報を確認することができます。そして、個人(消費者)の支払い能力に応じた適正な契約の締結や、消費者の多重債務の未然の防止、に役立てているというわけです。
日本の信用情報機関は下記の三つの組織があります。管理している個人の信用情報は、それぞれ違いますが、ブラックリストの情報は3社で共有されています。そのため、債務整理の手続きをおこなうと、すべての信用情報機関にその履歴が登録されます。
会社名 | 主な会員 |
---|---|
株式会社シー・アイ・シー(CIC) | クレジット会社、信販会社 |
株式会社日本信用情報機構(JICC) | 消費者金融、クレジット会社、保証会社 |
全国銀行個人信用情報センター(KSC) | 銀行、銀行系カード会社 |
CICとは?信用情報の登録期間と特徴
株式会社CIC(東京都新宿区)は、1984年にクレジット会社が共同出資で設立した信用情報機関で、主に消費者のクレジット情報の提供を行っています。
ほかにも、クレジットやローンの新規申し込みの際に登録される「申し込み情報」や、利用途中で記録される「利用記録」の提供も行っています。CICは、消費者の信用情報(個人の属性、契約内容、支払い状況、債務額)などの情報をクレジット会社などの加盟会社から収集し、その情報を提供する業務を行います。
つまりCICは、クレジットやローンの「割賦販売(分割払い)」等の信用情報の照会を中心に行っています。
登録する個人信用情報 |
---|
クレジット情報 |
申込情報、利用記録 |
【参考】:株式会社シー・アイ・シー
JICCとは?信用情報の登録期間と特徴
株式会社日本信用情報機構:JICC(東京都台東区)は、1986年に設立された信用情報機関で、消費者金融を中心に、クレジット会社、信販会社、リース会社などの与信事業を行っています。
会社向けには個人や法人の借り入れ情報の登録と開示を、個人向けには各人の信用情報の開示を業務としています。借り入れや契約内容に関する情報はもちろんのこと、債務整理に関する情報も収集しています。
JICCは、消費者金融など貸金業の信用照会が中心で、さらにはリース、保証、信販などにも情報を提供しています。
登録する個人信用情報 |
---|
契約内容(契約の種類、契約額など) 返済状況 |
取引事実(債務整理、破産など) |
【参考】:株式会社日本信用情報機構
KSCとは?信用情報の登録期間と特徴
全国銀行個人信用情報センター:KSC(東京都千代田区)は、全国銀行協会が設立した組織で銀行や銀行系カード会社が主な会員で、他に大手のカード会社、保証会社が加盟しています。
ローンやクレジットカードに関する個人情報を登録し、取引上の参考資料とするために会員の銀行各社、カード会社に信用情報を提供しています。
KSCは、「銀行系カードローン」「個人向けローン」中心に信用情報の照会をおこなっています。
登録する個人信用情報 |
---|
取引情報(延滞、代位弁済など) |
【参考】:一般社団法人全国銀行協会
自分の信用情報がブラックかを確認する方法
準備するもの
開示請求をする前に準備するものは、請求方法やどなたが請求するかによって異なります。具体的には、次の表のとおりです。
請求方法 | 本人が請求する場合 | 代理の方が請求する場合 |
---|---|---|
窓口で請求 | ・本人確認書類 ・手数料500円(現金) | ・委任者の本人確認書類 ・代理人の本人確認書類 ・委任状(実印で捺印したもの) ・委任者の印鑑登録証明書 ・手数料1,000円(現金) |
郵送で請求 | ・信用情報開示申込書 ・本人確認書類 ・手数料1,000円(定額小為替証書) | ・信用情報開示申込書 ・委任者の本人確認書類 ・代理人の本人確認書類 ・委任状(実印で捺印したもの) ・委任者の印鑑登録証明書 ・手数料1,000円(定額小為替証書) |
インターネットで請求 | ・インターネット環境 ・クレジットカード ・電話番号(クレジット契約で利用したもの) |
窓口で開示請求する方法
CICには、全国に7箇所の信用情報開示窓口が設置されています。最寄りの窓口で直接、開示請求ができます。
受付時間は平日の午前10時~12時と午後1時~4時で、予約は不要で受付順に案内されます。
窓口では、セルフ開示端末のタッチパネルをご自身で操作します。必要事項を入力すれば受付が完了し、受付カウンターで本人確認書類を提示します。
その後、開示報告書が直接、手渡されます。代理の方が請求した場合は、委任者本人へ郵送されます。
先述した信用情報機関に、「自分の借金総額・残債額はいくらか」「ブラックリストに載っているか」ということを確認するために個人信用情報の開示請求をすることができます。
「本人」「弁護士など代理人」「法定相続人」であれば開示請求することが可能です。それぞれの信用情報機関に直接開示請求をおこなえば「信用情報開示報告書」が発行されます。
開示される情報は、氏名、生年月日、性別、住所、電話番号、勤務先といった身分に関わる情報と、契約年月日、契約額、利用限度額、債務整理、破産、保証契約、強制解約といった具体的な信用情報が主なものです。
開示請求の方法は以下のようになっています。
- CIC:インターネット、郵送、窓口
- JICC:スマートフォン、郵送、窓口
- KSC:郵送のみ
それぞれの信用情報機関のホームページに開示請求の方法は詳細に説明されていますので、気になる方は請求してみるとよいでしょう。
ブラックリストが及ぼす生活への影響と対処法
ブラックリストに載ると生活への影響は少なからずありますが、その代表的なものについてご説明します。
また、そのデメリットを最小限におさえる対策方法もありますので、あわせて紹介します。
クレジットカードの新規取得・使用ができなくなる
ブラックリストに載ると、新たなクレジットカードの契約・取得は極めて困難になります。審査がゆるいと言われているカードでも新規作成は難しいでしょう。
また、現在、所持使用しているカードは使用停止となってしまう可能性が高くなります。そのため、これまでクレジットカードで公共料金や携帯料金などを支払っていた場合には、違う決済方法に切り替える必要があります。
クレジットカードが作れない・使用できなくなるのはデメリットではありますが、以下のような方法でカード決済の代替えをすることが可能です。
カードに変わる決済手段を使う
債務整理をした後は「現在使用しているカード決済ができなくなる」「約5年間は新規カード作成を
できない」ということを見越して別な決済手段を準備する必要があります。具体的には以下のような方法で決済することができます。
【クレジットカードに変わる決済手段】 |
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デビットカードを作成・利用する
デビットカードは、銀行とリアルタイムでつながっており、決済と同時に銀行口座から引き落とされる仕組みのカードです。大手カード会社のVISA、マスターカード、JCBなどもデビットカードを発行しています。
デビットカードの中には、携帯電話、公共料金の支払いが可能なカードもあります。買い物や食事の決済にも問題なく使用できます。カードの外観は通常のクレジットカードと変わらないため十分代替えが可能です。
ただし、大手カード会社の場合は、ブラックの状態では審査に通らない可能性があります。しかし、楽天カード、住信SBIネット銀行などは、無審査でデビットカードを作ることができます。
家族カードを作成・使用する
主契約者が債務整理した人ではなく家族であれば、「新たに家族カードを作成する」「継続して利用する」ことができます。家族カードの場合、審査の対象は主会員になるので、債務整理した人であっても家族カードを利用できます。
ローンを新規に組めない・借入れができなくなる
債務整理を行いブラックリストに載ると、新たにローンを組んだり、消費者金融をはじめとする金融機関からの借り入れが困難になります。
ブラックになるということは、「与信力」(経済的な信用度)が大きく低下するので、金融機関も返済能力を疑わざるを得ないからです。
ローンの新規契約や借入れができないことに対しては、以下のような対策をオススメします。
新たな借金をせずに借金完済を目指すこと
債務整理のそもそもの目的は、借金を減額・減免して借金を整理し、普通の生活を取り戻すことです。
新たにローンを組めば借金が増えるだけですので、「ローンを組めない」「借入れできない」ことをマイナスに考えずに、まずは借金完済を目指しましょう。
任意整理は住宅ローンに影響せずに手続きができる
よく誤解されるのが任意整理をおこなうと現在組んでいる住宅ローンに影響するのではというものですが、住宅ローンを残したまま任意整理をすることは可能です。
任意整理をする際に住宅ローンを除いて手続きをおこなえば、マイホームを手放すことはありません。
また、約5年後にブラックリストが解除された場合には、新たに住宅ローンを組むことも可能です。ただし、金額が大きくなる場合は審査が厳しくなるため、できるだけ頭金を増やしてローンの額を減らすなどの工夫が必要です。
賃貸物件の契約ができない
債務整理を機に、家賃負担を減らすため引っ越しを検討する方もいると思います。
その際、通常の賃貸物件の契約の場合、信用情報機関に照会がおこなわれることはありませんので心配は不要です。
しかし、最近の賃貸住宅の中には、家賃保証会社を連帯保証人にする物件が増えてきています。
そのような物件は、契約時に信用情報機関に照会がおこなわれるため、ブラックリストに載っている場合は審査に落ちる可能性が高くなります。
したがって、家賃保証会社を通さない賃貸物件を選ぶようにしましょう。
・債務整理後にローンを組んだり借入れを行うのはオススメできない
・任意整理を選択すればマイホームを手放す必要は無い
・債務整理後の引っ越しは「家賃保証会社」を通さない物件を選ぶと契約できる
まとめ:債務整理はブラックリストよりもメリットが多い?
「今すぐ債務整理をするか?」「ブラックリストを回避したいのでやめるか?」それは、個人の判断です。
ただし、一つ言えるのは、借金返済の目処が立たないのに、それをそのままにすると借金はどんどん膨らんでいくだけです。
そうなると、最初は任意整理で解決できた借金が、個人再生や自己破産の手続きを選択せざるを得なくなります。先延ばしにすることで、借金に苦しむ時間は確実に長くなります。
返済が難しいと感じたら、できるだけ早期に債務整理をするのが得策と言えます。債務整理の手続きは司法書士・弁護士に依頼して早期の解決を目指しましょう。