- 個人再生の弁済額決定の基準がわかる
- 小規模個人再生の場合と給与所得者等再生の場合がわかる
- 個人再生計算機で弁済額がわかる

この記事はこのような方にオススメです!
・個人再生の弁済額について理解したい方
・便利な計算機を使用してすぐに弁済額を知りたい方
個人再生は借金問題解決のために国が定めた手続きであり、現在多くの人が利用しています。個人再生をするためには、その弁済額を決定する必要がありますが、「計算方法がわからない」と困っている方もいるかと思います。
この記事では、個人再生における弁済額計算の基準について解説します。また、【個人再生計算機】で弁済額を概算することもできますのでご活用ください。

まずは個人再生の弁済額を「個人再生計算機」で確認してみましょう!
【個人再生計算機】で弁済額を計算する
個人再生をお考えの方はぜひ参考になさってください。
【計算機の使い方】
*STEP1:以下の各項目に金額を半角数字で入力
*STEP2:計算ボタンをクリック
予想される合計返済額 | {{goukei}}万円 |
---|---|
予想される毎月の返済額 (返済期間が3年間で36回払いの場合) | {{maituki}}万円 |
*東京地方裁判所の資料を基に作成されています。
(注)計算結果はあくまで目安です。実際の返済額は再生者個人の状況・事情や手続き行う裁判所によって変動することがあります。そのため、正確な数値を知りたい場合は弁護士・司法書士に相談しましょう。
個人再生とは
個人再生とは、裁判所の公的手続きを通すことで借金を減額し、残額を返済計画に従って弁済する債務整理の方法です。今日では、多重債務を抱えている人を中心に多くの人が利用しています。
個人再生は、任意整理と比べると減額される借金が大きくなる一方で、手続きの内容は煩雑であり、手間がかかる手続きです。また、自己破産と比べると、マイホームやマイカーといった物を含めてほとんどの財産を失わなくても済む一方で、借金の減額は部分的なものに留まるため、弁済自体は続けなければならない手続きです。
個人再生における弁済額の決定方法
個人再生は、無条件に借金をなくすことができるわけではなく、3〜5年間という期間で、借金を減額した後の残額を分割返済することが前提となっています。そして、個人再生における弁済額は、この返済の過程を含めた個人再生手続き全体の構想に関する「再生計画案」に基づいて決定され、この計画が裁判所によって認可されることで手続きが開始されます。
しかし、この再生計画案では、債務者の都合で自由に弁済額を決定できるわけではありません。法律によって一定の基準が規定され、この基準に反する計画案は認可を受けることができなくなります。
以下では、個人再生における弁済額の決定基準について、「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2種類の手続きに分けてそれぞれ紹介していきます。
【弁済額の決定基準】
小規模個人再生 | 給与所得者等再生 |
---|---|
・最低弁済額 ・清算価値 | ・最低弁済額 ・清算価値 ・可処分所得の2年分 |
小規模個人再生の場合
小規模個人再生とは、将来において継続的にまたは反復して収入を得ることができる見込みのある債務者を対象とした個人再生の手続きです。小規模個人再生では、基本的に「最低弁済額」と「清算価値保障の原則」という2つの基準によって弁済額の範囲が定められています。
最低弁済額
最低弁済額とは、文字通り、債務者の持つ借金額に応じた最低限弁済しなければならない金額の基準のことです。最低弁済額は次のように規定されています。
借金総額 | 最低弁済額 |
---|---|
0円以上〜100万円未満 | 全額 |
100万円以上〜500万円未満 | 100万円 |
500万円以上〜1500万円未満 | 借金総額の5分の1 |
1500万円以上〜3000万円未満 | 300万円 |
3000万円以上〜5000万円未満 | 借金総額の10分の1 |
※ただし、住宅資金特別条項付の個人再生(=持ち家の処分を免れることのできる方法)を行う場合、住宅ローン残高は借金総額に含まれません。
例えば、借金総額が1000万円の場合、最低弁済額は1000万円×5分の1=200万円となり、借金総額が3000万円の場合、最低弁済額は3000万円×10分の1=300万円ということになります。
また、借金総額が100万円未満の場合、最低弁済額は全額であり減額されることはないので、個人再生をする実効性はないと言えます。なお、借金総額が5000万円以上の場合、そもそも個人再生手続きを取ることは許されていません。
清算価値保障の原則
清算価値保障の原則とは、自己破産をした場合に没収される自己所有の財産の全体の価値に相当する金額については最低限弁済しなければならないという決まりのことを言います。
ここでいう財産とは、車、家、株式などの有価証券、保険の解約返戻金などの全ての財産を含みます。この制度は、個人再生では自己破産のように財産の没収はされない代わりに、その財産を現金化したときの金額はせめて返済する義務を課し、債権者の保護を図る目的で採用されています。
例えば、個人再生をする際に、時価100万円の車、100万円分の株式、50万円の現金を持っている場合、清算価値は100万円+100万円+50万円=250万円ということになります。
そして、最低弁済額と清算価値に差異がある場合、どちらか高額な方が実際に支払わなければならない最低額になります。上記の例で、もし借金総額が1000万円だったならば、法定の最低弁済額は200万円ですが、実際に支払う必要があるのは清算価値である250万円ということになります。
給与所得者等再生の場合
給与所得者等再生とは、小規模個人再生を利用できる人のうち、給与などの安定した収入があり、その変動が少ない債務者を対象とした方法です。
給与所得者等再生では、最低弁済額と清算価値保障の原則に加えて、「可処分所得の2年分」という基準が設定されており、この3つのうち最も高額な金額が弁済の最低額となります。ここでいう可処分所得とは、給料の全額から税金や保険料を差し引いた後の金額のことで、言い換えると、自由に使える収入のことを言います。
例えば、最低弁済額が200万円、清算価値が250万円、1月の可処分所得が15万円の場合、可処分所得の2年分は、15万円×24ヶ月=360万円となり、最終的に弁済しなければならない金額は360万円となります。
まとめ
個人再生の弁済額を算出するには、自分の借金状態を複数の基準に照らし合わせて計算する必要があります。ですから、経験のない一般人が一人で計算することは非常に難しく、間違ってしまうことも多いです。
正確な弁済額を計算するには、法律の専門家である弁護士や司法書士に依頼するのがおすすめです。専門家に依頼すれば、計算だけではなく、最適な借金解決方法の提示や個人再生の手続きの代行をしてもらうことが可能です。
また、本記事の【個人再生計算機】は、弁済額の目安として補助的に使用していただけると幸いです。