住宅ローンの滞納を続けるとどうなる?どうしても払えないときの対処法も解説

住宅ローンの滞納を続けるとどうなる?
この記事でわかること
  • 住宅ローンの滞納を続けると競売により家を失うことになる
  • 個人再生 によって家を手放さずに借金を整理できる
  • 保証人がいる場合は個人再生によって迷惑がかかる
  • 個人再生以外の方法で住宅ローンの滞納を解決することもできる
  • 家を手放す場合は競売される前に任意売却をするのが得策

住宅ローンの滞納を続けると、最終的には家を失ってしまうことになります。場合によっては、家を失った上に住宅ローンが残り、返済を続けなければならないこともあります。

住宅ローンを支払い中の家を守ることができる債務整理方法として、個人再生という手続きがあります。ただ、個人再生には大きなメリットがある一方でデメリットもあります。そのため、住宅ローンを滞納している全ての方におすすめできるわけではありません。

この記事では、

・住宅ローンを滞納してから家を失うまでの流れ
・住宅ローンの滞納で個人再生をするメリット・デメリット
・個人再生以外の方法で住宅ローンの滞納を解決する方法

以上3点について解説していきます。

住宅ローンを滞納するとどうなる?

住宅ローンを滞納しても、すぐに家を失うわけではありません。しかし、滞納を続けると以下の流れで最終的には家を失うことになります。

遅延損害金が発生する

住宅ローンの返済を1日でも延滞すると、遅延損害金が発生します。

遅延損害金の利率は年14.6%程度とされている場合がほとんどですが、法律上の上限は年20%と定められています。ご自身が契約している住宅ローンの遅延損害金の利率が何%かは契約書に記載されていますので、確認しておきましょう。

仮に遅延損害金が14.6%とすると、毎月8万円を返済している住宅ローンを滞納すると3ヶ月(90日)で2,880円の遅延損害金がかかります。

(計算式)

8万円×14.6%÷365日×90日=2,880

それほど大きな金額ではないと思われるかもしれませんが、遅延損害金がかさめばかさむほど返済が苦しくなっていくことは間違いありません。

残債務の一括返済を請求される

住宅ローンを滞納すると、返済の催促が始まります。催促の時期や方法は金融機関によって異なりますが、おおよそ以下の流れで進みます。

・数日後 電話やハガキで返済を催促される。
・2ヶ月目ころまで 電話や手紙(催告書)による催促が繰り返される。
・3ヶ月目ころまで 督促状が届く
・3か月目以降 代位弁済が行われ、保証会社から残債務の一括請求をされる

2ヶ月目ころまでの催促はそれほど厳しいものではありませんが、3ヶ月目ころまでに送付される「督促状」で催促の内容が一段と厳しくなります。

督促状を無視して滞納を続けると保証会社が「代位弁済」によって住宅ローン残債務を金融機関に支払います。

代位弁済が行われると、保証会社から残債務と遅延損害金の一括返済を請求されることになります。

ブラックリストに載る

住宅ローンの滞納が23ヶ月続くと、その事実が個人信用情報機関に「事故情報」として登録されます。この登録をされることを俗に「ブラックリストに載る」といいます。

ブラックリストに載ってしまうと、その後の最低5年間は新たな借り入れやローンを利用することはできなくなります。住宅ローンの借り換えを申し込んでも、審査に通らなくなってしまいます。

競売により家を失う

代位弁済した保証会社から一括返済の請求を受けても無視していると、通常は数ヶ月以内に競売を申し立てられます。

競売とは、裁判所を介して公に買い受け希望者を募ることによって目的物を売却する手続きです。

買い受け人が現れると家の所有権は買い受け人に移り、強制的に家から追い出されてしまいます。

残債務があれば支払い義務が残る

家を競売されても、住宅ローンが残ることがあります。

例えば、住宅ローンの残元金と遅延損害金が2,000万円あるときに家が1,500万円で売却されると、500万円の住宅ローンが残ってしまいます。

この残債務については、その後も支払い義務を負うことになります。

住宅ローンを滞納しても個人再生で家を守ることができる

住宅ローンを滞納しても家を守る方法として、個人再生という手続きがあります。

個人再生とは住宅ローン以外の借金を原則として5分の1にまで減額できる手続きですが、「住宅ローン特則」を利用することによって家を手放さずに借金を整理することが可能となります。

ここでは、個人再生の住宅ローン督促についてご説明します。

個人再生の「住宅ローン特則」とは

住宅ローン特則とは、個人再生手続きにおいて住宅ローンについては従来どおりに返済を継続することを認めることによって、家を競売されることを回避することができる制度のことです。

個人再生を申し立てる場合、本来は住宅ローンも他の借金と同様に扱う必要があります。この場合、元金は原則として5分の1に減額されますが、競売を申し立てられるため家を守ることはできません。

しかし、住宅ローン特則を利用することによって、住宅ローンのみを特別扱いすることが認められます。住宅ローンを支払いつつ、他の借金のみを整理することが可能となるのです。

個人再生によって住宅ローンのリスケジュールも可能

個人再生を申し立てる時点で既に住宅ローンを滞納している場合は、リスケジュールすることが必要です。

住宅ローン特則を利用すれば、個人再生手続きの中でリスケジュールすることができます。元金及び利息や遅延損害金も全額返済することが条件となりますが、支払期限の延長や毎月の返済額を減額することが可能となります。

通常、住宅ローンのリスケジュールには債権者である金融機関の同意が必要ですが、個人再生の住宅ローン特則を利用すれば、強制的にリスケジュールすることもできるのです。

代位弁済から6ヶ月以内に申し立てが必要

個人再生の住宅ローン特則を利用すると、既に保証会社が代位弁済をしている場合でも、巻き戻してリスケジュールすることができます。

ただし、巻き戻すためには代位弁済から6ヶ月以内に個人再生を申し立てることが必要です。代位弁済後、6ヶ月を過ぎてしまうと住宅ローン特則を利用することはできなくなるので、早めに専門家に相談することが重要です。

住宅ローンの滞納で個人再生をするメリット

個人再生で住宅ローン特則を利用すれば、家を残すことが可能となる上に、以下のようなメリットがあります。

他の借金を大幅に減額できる

個人再生では、住宅ローン以外の借金を大幅に減額することができます。具体的にいくらまで減額できるかは借金総額に応じて次の表のように定められています。

借金総額個人再生による最低返済額
100万円未満借金全額
100万円以上500万円未満100万円
500万円以上1,500万円未満借金総額の5分の1
1,500万円以上3,000万円未満300万円
3,000万円以上5,000万円以下借金総額の10分の1

他の借金の返済の負担によって住宅ローンの返済が苦しくなっている場合は、個人再生の住宅ローン特則を利用することによって返済が相当に楽になるはずです。

基本的に財産を処分する必要はない

また、個人再生では基本的に、預貯金や自動車、保険などの様々な財産を処分する必要はありません。

ただし、「清算価値保障の原則」といって、一定額以上の財産がある場合にはその金額以上を返済しなければならないルールがあることには注意が必要です。

例えば、消費者金融等に対する借金総額が500万円ある場合、個人再生による最低返済額は100万円です。しかし、合計で150万円に相当する財産を所有している場合は、150万円を返済する必要があります。

しかし、逆に言えば、その金額を返済すれば財産を処分する必要がないということでもあります。

仕事に影響はない

さらに、個人再生をしても仕事に影響することは一切ありません。

この点、自己破産をした場合には、手続き中は以下のような職業に就くことはできなくなります。

・行政書士や宅建士など「士業」の資格に基づく職業
・貸金業や警備業、保険外交員など他人の財産に関与する職業
・会社の取締役や監査役などの役員
・一部の公務員

これに対して、個人再生の場合はこのような職業制限は一切ありません。これまでどおりに仕事を続けて収入を確保しつつ、借金を大幅に減額することができるのです。

住宅ローンの滞納で個人再生をするデメリット

個人再生には、デメリットもあります。住宅ローン特則によって家を守ることはできたとしても、以下のデメリットを回避できない場合は個人再生ができないこともあります。

保証人がいれば迷惑がかかる

保証人が付いている借金がある場合は、個人再生を申し立てると保証人が返済の請求を受けることになります。

このとき、保証人が付いている借金を除外してその他の借金のみを個人再生手続きに計上することはできません。なぜなら、個人再生では「債権者平等の原則」というものがあり、全ての債権者を平等に扱わなければならないからです。

そのため、個人再生を申し立てる以上は、保証人が付いている借金も他の借金と同じように手続きに計上する必要があるのです。

どうしても保証人に迷惑をかけたくないという場合は、個人再生以外の解決方法を考えなければならない場合もあります。

一定の財産があると返済額が増える

先ほどもご説明しましたが、個人再生には「清算価値保障の原則」があり、最低弁済額を上回る財産がある場合には財産額以上の金額を返済しなければなりません。

仮に300万円の財産があれば、最低300万円を3年間~5年間で返済する必要があります。5年間で返済するとしても毎月の返済額5万円となります。

この金額を住宅ローンの他に毎月返済していくことは、厳しい場合もあるかもしれません。

返済していくための収入が必要

個人再生では借金が大幅に減額されるとはいえ、3年間~5年間にわたって返済していかなければなりません。

したがって、返済可能な収入が継続的または反復して得られる見込みが乏しい場合は、個人再生を利用することは難しいといえます。

個人再生以外で住宅ローンの滞納を解決する方法

住宅ローンを滞納している方の中には、個人再生の住宅ローン特則を利用することが難しい方もいらっしゃることでしょう。

その場合は、個人再生以外の解決方法を検討する必要があります。考えられる主な方法として、以下のようなものがあります。

親族等に住宅ローンを支払ってもらう

親族等で頼れる人がいる場合は、援助を依頼して滞納分を支払ってもらうのが最も手っ取り早く、確実な解決法です。

この場合、できる限り早期に援助を依頼することが大切です。頼みづらい気持ちもあるかもしれませんが、滞納した元金や遅延損害金がかさんでしまうと、そのぶんだけ親族等の負担が重くなってしまいます。

任意整理をする

個人再生ができない場合は、他の債務整理方法を検討してみましょう。家を残すための債務整理方法として個人再生の次に利用しやすいのは、任意整理です。

任意整理とは、裁判所を介さずに債権者と直接交渉することによって返済額や返済方法を変更してもらう手続きのことです。

任意整理の場合、将来利息のカットは可能ですが、元金のカットは基本的にできないため、個人再生のように借金を大幅に減額することは難しいです。

それでも、毎月の返済額をある程度減額することはできます。したがって、消費者金融等からの借金を任意整理することによって、住宅ローンの返済を楽にすることができるでしょう。

自己破産をする

住宅ローンを含めて借金を到底返済できない状態になった場合は、最後の手段として自己破産をすることによって借金全額を免除してもらうことができます。

ただし、自己破産の場合は家を手放す必要があります。自己破産しつつ家を残すためには、可能であれば親族等にその家を買い取ってもらうという方法が考えられます。

代金については、自己破産手続きが終了して免責許可決定が確定した後に、買い取ってもらった親族等に対して分割で返済していくと良いでしょう。

家を手放すときは競売よりも任意売却が有効

住宅ローンの滞納を解消できず、やむを得ず家を手放す場合は、競売を申し立てられる前に任意売却をするのが有効です。

競売と任意売却の主な違いは、次の表に記載のとおりです。

   債権者数      競売任意売却
売却価格市場価格の7割程度が相場          市場価格で売却できる
住み続けることの可否通常は不可親族等が購入した場合やリースバックを利用できる場合は可
引っ越し代の負担自己負担売却代金の中から提供してもらえる場合が多い
引っ越しの時期所有権移転後は立ち退きを強制される購入者との交渉で柔軟に決められる

両者の最も重要な違いは、任意売却の方が高額で売却できるということです。家を手放しても住宅ローンが残る場合は特に、任意売却で少しでも高く売って残債務をできる限り少なくすることが重要です。

なお、任意売却をするためには債権者との協議も必要なので、弁護士・司法書士といった専門家に依頼するのが一般的です。

住宅ローンの滞納を解決するために弁護士・司法書士ができること

住宅ローンを滞納しても、すぐに自力で解消できる場合は問題ありません。しかし、返済が苦しくなっている場合は、ご自分の力だけで解決することは困難です。

そんなときは、法律の専門家である弁護士・司法書士に依頼することを強くお勧めします。

弁護士・司法書士に住宅ローンの滞納に関する問題の解決を依頼するメリットは以下のとおりです。

・個人再生の住宅ローン特則が利用可能かどうかを的確に判断してもらえる
・個人再生を利用できない場合は他の解決方法をアドバイスしてもらえる
・任意売却の手続きを任せることができる
・その他、複雑な手続きはすべて任せることができる

まとめ

住宅ローンの滞納を自力で解消できない場合は、個人再生の住宅ローン特則を利用するのが最も効果的です。

ただ、住宅ローン特則付き個人再生の手続きは非常に複雑なので、法律の専門家である弁護士・司法書士の力を借りるのが得策です。

個人再生が利用できない場合でも、解決できる方法は必ずあります。しかし、一人で悩んで滞納が長期化すると、解決することが難しくなっていきます。

住宅ローンの返済が苦しいと思ったら、早めに弁護士・司法書士に相談して、問題を解決しましょう。

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