- リボ払いを利用すると借金がなかなか減らない
- リボ払いの借金も債務整理の対象となる
- リボ払いで債務整理をするメリット
- リボ払いで債務整理をすることによるデメリット
リボ払いを利用すると、借金がどれだけ増えても返済は毎月一定の金額で済みます。
しかし、金利は確実にかかっているため、リボ払いの借金が増えれば増えるほど利息の支払い追われることになります。毎月の返済額が小さいと、ほとんどが利息の支払いに充てられてしまい、借金が減らないということになります。
さらに、毎月の返済が一定額に抑えられているために油断して借金を重ねてしまい、気がつくと多額の借金を抱えていたというケースも多くあります。
リボ払いの借金が減らないときは、どうすればよいのでしょうか。
この記事では、
・リボ払いの借金がなかなか減らない仕組み
・リボ払いの借金も債務整理の対象となるのか
・リボ払いの借金を債務整理するメリット・デメリットとは
以上3点について、わかりやすく解説します。
リボ払いの借金を債務整理する前に確認すべきこと
リボ払いには、自分が利息をいくら支払っているかを認識しにくく、いつまで返済してもなかなか借金が減りにくいという特徴があります。気がつくと借金が増えてしまうことも少なくありません。
人によっては、リボ払いをやめるだけですぐに借金を減らすことができて、債務整理をする必要がない場合もあります。
そこでまずは、リボ払いの仕組みや注意点を確認しておくことが大切です。
リボ払いの仕組み
リボ払いとは、月の支払い額を一定額に固定する返済方法のことをいいます。
分割払いの場合は支払回数を決めるため、いつ返済が終わるのかを誰でも簡単に確認することができます。それに対してリボ払いの場合はいつ返済が終わるのかが利用明細を見ただけでは分かりにくくなっています。
例として、10万円の借金の返済にリボ払いを利用して、毎月3,000円を返済する場合についてみてみましょう。
2020年7月1日に10万円を金利18%借り入れ、初回返済日を2020年7月25日として、以降毎月25日に3,000円ずつ返済する場合のシミュレーションは以下のようになります。
回数 | 返済日 | 返済額 | 元金 | 利息 | リボ残高 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 2020/7/25 | 3,000 | 1,820 | 1,180 | 98,180 |
2 | 2020/8/25 | 3,000 | 1,504 | 1,496 | 96,676 |
3 | 2020/9/25 | 3,000 | 1,527 | 1,473 | 95,149 |
4 | 2020/10/25 | 3,000 | 1,597 | 1,403 | 93,552 |
5 | 2020/11/25 | 3,000 | 1,574 | 1,426 | 91,978 |
(途中略) | |||||
46 | 2024/4/25 | 3,000 | 2,940 | 60 | 1,022 |
47 | 2024/5/25 | 1,037 | 1,022 | 15 | 0 |
累計 | 139,037 | 100,000 | 39,037 | 0 |
このように完済するまでに4年近くかかり、4万円近い利息も負担しなければならないことになります。返済し始めた当初は返済金の半分近くが利息の支払いに充てられているのに、そのことに気づきにくいというのも特徴的です。
リボ払いで利息が増える理由
リボ払いを利用すると、上記のシュミレーションのように多くの利息を負担することになります。しかし、多くの方は細く計算してみることなく、次のように考えがちです。
・利息のために返済期間が延びるとしても少しだけだろう
・毎月きちんと支払っているのだから元金は確実に減っているはずだ
たしかに元金は少しずつ減りますし、追加で借り入れをしなければ利息が増えるということはありません。しかし、毎月の返済額が少ないことで安心してしまい、追加の借り入れをしてしまう方が少なくありません。
追加で借り入れるとリボ残高が増え、利息の負担がさらに大きくなってしまいます。いつまで返済しても思ったほど借金が減らないという傾向に拍車がかかります。
それでも毎月の返済額は無理のない範囲内に抑えられています。そのために油断して追加の借り入れを繰り返しているうちに、気づいたら返済しきれないほどに借金が膨らんでいるというケースがあとを絶ちません。
リボ払いの利用が適している人の条件
返済額が毎月一定の金額に抑えられるという点は、リボ払いのメリットでもあります。このメリットがあるためにリボ払いを利用する人が多いのも事実です。
ただし、リボ払いの利用をおすすめできる人の条件はひとつしかありません。それは、数ヶ月以内に借金を完済できる、安定した収入の見込みがあることです。
それ以外の場合は、仮に借金をするとしても分割払いで元金と利息を支払うことが可能な範囲内にとどめるべきです。そうしなければ、気づかないうちに利息ばかりを支払うことになってしまい、借金が減らないばかりか追加の借り入れによって増えてしまうおそれがあります。
リボ払いを利用すべきでない人の条件
数ヶ月以内に借金を完済できる収入の見込みがある場合を除いて、リボ払いの利用は基本的におすすめできません。
特に、次の条件にあてはまる方はリボ払いの利用によって多額の借金を抱えてしまう可能性が高いので注意が必要です。
・借金癖がある
・衝動買いをしがち
・利用明細を毎月確認しない
また、既にリボ払いを利用しなければ返済しきれない状態に陥っている方は、早めに債務整理によって根本的な解決を図った方がよいでしょう。
リボ払いの借金も債務整理で解決できる
リボ払いの借金も、通常の借金やクレジットカードの利用代金と同じように債務整理の対象となります。
次の4種類の債務整理方法のどれかによって、リボ払いの借金も解決することができます。
・任意整理
・個人再生
・自己破産
・特定調停
それでは、どのような場合にどの債務整理方法が適しているのかをご説明します。なお、特定調停は任意整理に似た手続きなので、任意整理と併せてご説明します。
任意整理すべきケース
「任意整理」とは、裁判所を通さずに貸金業者やクレジットカード会社と個別に話し合いをして返済額や返済方法を変更してもらう手続きです。
元金を減らしてもらうのは難しいですが、将来利息をカットして毎月の返済額を減らすことは可能です。
リボ払いの借金を含む借金総額が比較的少ない場合は、任意整理が適しています。借金総額が概ね100万円以内の場合は基本的に任意整理を選択すべきといえます。
また、ある程度まとまった借金があっても、次のような事情があるときは任意整理を選択すべき場合があります。
・手放したくない財産がある
・保証人がついている借金がある
・債務整理をすることを誰にも知られたくない
なお、特定調停は簡易裁判所を通じて任意整理とほぼ同様の手続きを行うものです。簡易裁判所の調停委員が貸金業者やクレジットカード会社との交渉の仲立ちをしてくれます。
そのため、弁護士や司法書士といった専門家に債務整理を依頼する費用を用意できない場合は特定調停を選択するのもよいでしょう。
個人再生すべきケース
「個人再生」とは、裁判所に申し立てることによって借金を原則5分の1にまで減らしてもらい、減額後の借金を3年~5年で分割返済していく手続きです。
最低返済額が100万円と定められていることもあり、100万円を超える借金がある場合は個人再生が適しています。
また、住宅資金特別条項を適用すれば、住宅ローンを支払ながら他の借金のみを大幅に減額することが可能です。したがって、マイホームを残しながら借金を減らしたい方には個人再生が最適です。
ただし、個人再生を選択する場合は次の点に注意が必要です。
・一定の限度額を超える財産がある場合は返済額が増える
・保証人がいる場合は保証人が一括請求を受ける
・官報に掲載されるため個人再生したことを一定の業者などに知られる可能性がある
自己破産すべきケース
「自己破産」とは、裁判所に申し立てることによってすべての借金の返済義務を免除してもらう手続きのことです。
数百万円以上の借金がある場合は、自己破産が適しています。ただし、自己破産を選択する場合は次の点に注意が必要です。
・持ち家など高価な財産は手放さなければならない
・手続き中は一定の職業に就くことができない
・保証人がいる場合は保証人が一括請求を受ける
・官報に掲載されるため個人再生したことを一定の業者などに知られる可能性がある
自己破産と個人再生のどちらを選択するかで迷うケースも多くあります。その場合、評価額20万円を超える財産がなく、制限の対象外の職業に就いている場合は自己破産を選択した方が経済的なメリットは大きいといえます。
リボ払いの借金を債務整理するメリット
リボ払いの借金に悩んでいても、債務整理をする決断ができない方も多いことでしょう。そこで、リボ払いの借金を債務整理するメリットをまとめておきます。
支払い催促が止まる
どの債務整理方法でも、手続きを開始すると業者からの支払い催促が止まります。弁護士・司法書士に依頼した場合は、受任通知が業者に送付された時点で催促が止まります。
その後ある程度の期間は返済がストップします。そのため、落ち着いて債務整理の方針を検討したり、家計を見直したりして経済的に生活の再建を図ることができるようになります。
将来利息をカットできる
リボ払いにかかる利息も、任意整理をすれば今後の利息はカットできます。そのため、いつまで支払っても元金が減らないという状態から脱することができ、早期に借金を完済できるようになります。
個人再生の場合は将来利息をカットした上で元金も大幅に減額されますし、自己破産の場合は元金・利息とも支払を免除されます。
毎月の返済額を減らせる
リボ払いを利用していても、他社からの借り入れを多数利用している場合は毎月の返済額が10万円を超えることもあるでしょう。しかし、任意整理によってある程度は毎月の返済額を減らすことができます。
個人再生の場合は、500万円の借金があっても毎月の返済額を約1万7,000円(5年払いの場合)から約2万8,000円(3年払いの場合)にまで減らすことが可能です。
リボ払いの借金を債務整理するデメリット
一方で、リボ払いの借金を債務整理することにはデメリットもあります。実際に債務整理をする前に下記のデメリットを確認しておきましょう。
クレジットカードの利用が停止する
債務整理をするということは、借金を約定どおりには支払わないことを意味します。そうすると、クレジットカードの利用代金を債務整理する場合はリボ払いを利用しているかどうかにかかわらず、カードの利用が停止します。
新たに利用できないのはもちろんのこと、公共料金などの引き落としもできなくなります。したがって、引き落としにクレジットカードを利用している場合は債務整理をする前に公共料金などの支払い方法を変更しておく必要があります。
ブラックリストに載せられる
債務整理をすると、ブラックリストに載せられます。ブラックリストとは、個人信用情報機関に登録された延滞や債務整理などの事故情報のことをいいます。
ブラックリストに載せられると、新たな借り入れやクレジットカードの利用はできなくなります。所有しているクレジットカードは解約となり、新たにクレジットカードを作ることもできません。
なお、ブラックリストに載せられる期間は下記のとおりです。
・任意整理の場合 約5年間
・個人再生の場合 約5年間
・自己破産の場合 約10年間
自己破産の場合は財産を失うことがある
自己破産をすると、すべてではありませんが一定の財産を処分する必要があります。具体的には、自由財産として認められる次のものを除いて、基本的にすべての財産を処分しなければなりません。
・99万円以下の現金
・評価額20万円以内の財産
なお、リボ払いで高価な物を購入した場合、その商品の評価額が20万円を超えるときは自己破産においては換金し、債権者への配当に充てられます。
まとめ
リボ払いの仕組みを知らずに利用していると、順調に返済しているつもりでも利息を支払うのみで元金がなかなか減らないということになりがちです。早めに気づいてリボ払いの利用をやめ、返済額を増やせば借金を減らしていくことができます。
既に借金が膨らんでしまって返済が難しい場合は、債務整理を検討することが必要です。ただ、どの債務整理方法が適しているかを一般の方が判断するのは難しいことが多いため、法律の専門家である弁護士・司法書士に相談することが大切です。
専門家に依頼すれば、債務整理の複雑な手続きも一任することができます。専門家によるサポートを受けて、リボ払いの借金を解決しましょう。