個人再生が保証人に与える3つの影響とは?迷惑をかけないための対処法についても詳しく解説

個人再生が保証人に与える3つの影響とは?迷惑をかけないための対処法についても詳しく解説

借金の大幅な減額が期待できる個人再生手続きですが、その対象のなかに「保証人がいるローン」があるときはどうなるのでしょうか。

実は、保証された借金を含めて個人再生手続きをおこなうと、保証人に対して大きな3つの問題を与えてしまいます。

今回は、個人再生の手続きで保証人に与える問題とその対処法、さらに「2つの禁止行為」について、詳しくご説明していきます。

住宅ローンや奨学金の保証人への影響についても解説していますので、ぜひ参考にしてください。

個人再生が保証人に与える3つの問題とは?

保証された借金を含めて個人再生をすると、保証人には大きく3つの問題が発生することになります。

  • 連帯保証人には拒否権がない
  • 保証人は差額の返済義務を負う
  • 保証人には求償権が認められない

それぞれの内容について、詳しくみていきましょう。

連帯保証人には拒否権がない

連帯保証人には「催告の抗弁」という拒否権がないため、債権者からの突然の請求にも応じなければなりません。たとえ本人(主債権者)に返済能力や資産があっても、連帯保証人は貸主(債権者)からの請求に応じる義務があります。

拒否権について注意したいのが、債務保証の「保証人」と「連帯保証人」の2つが持つ権利の違いについてです。

保証人と連帯保証人の権利の違いについては、わかりやすく下記の表にまとめてみました。

権利権利概要保証人連帯保証人
催告の抗弁主債務者への請求を求める×
検索の抗弁主債務者に返済能力や資産があるときに強制執行などを求める×
分別の利益複数の保証人がいるときの債務の按分×

個人再生の影響で債権者から残債務を請求されても、連帯保証人は催告・検索の抗弁権がないため、これを拒むことはできません。

保証人は差額の支払い義務を負う

保証人は、再生計画で出された予定額と、本来の残債務との「差額」を支払う義務を負います。

たとえば、保証債務の残りが300万円あり、それが100万円に圧縮された場合、差額の200万円は保証人が支払うべきものとなります。

残債300万円 − 主債務者(本人)100万円 = 保証人200万円

また、保証人に対しては原則「一括請求」となります。保証債務を含めて個人再生手続きをするときには、保証人が「差額の支払いを一括請求される」ことを覚えておきましょう。

保証人には求償権が認められない

個人再生で発生した債務の差額に対し、保証人には求償権が認められていません。求償権とは、保証人が債務者に対して請求できる権利のことです。

借主に再生計画の予定額以上の支払い義務がなくなるため、保証人が返済した差額については請求できないのです。

ただし、保証人が予定額も含む残債務を一括返済したときは、借主に「再生計画の予定額まで」は請求することができます。

その返済の開始時期については、個人再生の再生計画の完済後にしか始まりません。請求金額や時期など、どのような状況においても、再生計画が優先されることにご注意ください。

項目詳細
保証人が支払うべき額再生計画予定額と残債務の差額
保証人が請求できる額再生計画の予定額まで
請求できる時期再生計画の完済後から

個人再生の影響を受けた保証人・連帯保証人がとれる対処法

個人再生による影響を受けた保証人・連帯保証人がとれる対処法は、まずは債権者に「分割での支払い」を相談することです。

また、金額や条件などで交渉が難しいときには、保証人も債務整理をするという手段もあります。

債権者に分割払いを相談する

一括請求を求められた保証人がすぐにできる対処法は、まず債権者に分割払いの相談をすることです。

債権者との直接交渉で取り決める内容は、大きく次の3つの項目となるでしょう。

  • 返済回数(返済額)
  • 利息
  • 返済開始時期

一般的には、従来の支払い条件をもとにした交渉となりますので、必ずしも債権者が話し合いに応じるとは限りません。

保証人の資産や経済状況によっては、差押えなどの強制執行の恐れもあるため、分割交渉は弁護士・司法書士に依頼することをおすすめします。

保証債務も個人再生の対象になる

借金の保証人になることでできた「保証債務」が原因でも、債務整理で個人再生を利用することは可能です。

まずは下記の日本弁護士連合会が発表した統計データをご覧ください。

この表をみると、実際に個人再生の手続きをしたなかで、全体の4%程度は保証債務が原因となっていることがわかります。

負債原因 日弁連

【引用元】:日弁連「2020年破産事件及び個人再生事件手続き調査

また、この統計データのなかでは、保証債務が主な原因となる自己破産についても9.44%ありました。

直接的に借入した本人ではなく、保証人となった借金で出た保証債務でも、個人再生や自己破産などの債務整理を利用できます。

保証人に迷惑をかけない個人再生以外の選択肢

もし、保証人に迷惑をかけない借金問題の解決法をお探しならば、個人再生以外に「任意整理」という手段もあります。

ここまでご説明してきたように、個人再生では保証人にさまざまな負担をかけてしまいます。

しかし、任意整理は裁判所を介さずに債権者と直接交渉するやり方のため、支払いを滞納しない限り保証人への影響はありません。

任意整理のポイントについては、以下の表をご覧ください。

項目詳細備考
裁判所の手続きなし特定調停除く
返済回数3年(36回)〜5年(60回)交渉にて決定
借金の減額遅延損害金や利息の免除原則として元金の減額なし

ただし、任意整理では元金そのものの減額に期待できないことや、提示した条件に債権者が応じないこともあります。

また、借金の総額が大きすぎると、現実的な返済計画が立てれないこともあるため、まずは弁護士とよく相談してみてください。

住宅ローンや奨学金の保証人への個人再生の影響は?

個人再生の手続きをおこなうと、住宅ローンや奨学金の保証人には、どのような影響があるのでしょうか。

とくに住宅ローンについては、保証人に迷惑をかける不安だけでなく、マイホームを手放す必要があるのか気になる人も多いでしょう。

そこで、ここでは住宅ローンやマイカー、奨学金の保証人への影響についてご説明していきます。

個人再生による住宅ローンの保証人への影響

まず結論をお伝えすると、個人再生はマイホームを手放さずに手続きがおこなえ、原則として保証人への影響もありません。

個人再生は民事再生法の「住宅資金貸付債権に関する特則(住宅ローン特則)」により、マイホームを手放さずに手続きがおこなえます。

住宅ローンはこれまで通りの返済が可能になるため、結果として保証人への影響はありません。実際に住宅ローン特則を利用して個人再生をする人は、全体の4割近くいます。

個人再生申立人の住居形態 日弁連

【引用元】:日弁連「2020年破産事件及び個人再生事件手続き調査

ただし、住宅ローンを滞納してしまうと、本来の契約に基づいて保証人へ請求がいきますので、その点はご注意ください。

マイカー(自動車)はどうなるの?

自己破産と違い、財産の強制処分の必要性がない個人再生では、持ち家以外にマイカーがそのまま残せるケースもあります。

マイカー(自動車)については、ローンを完済してれば手放さずに済みます。

しかし、ローンが残っていると、車両を債権者が引き上げることがほとんどで、差額が出るときは保証人に請求がいくことにご注意ください。

個人再生による奨学金の保証人への影響

個人再生による奨学金の保証人への影響についてですが、こちらは利用した保証制度によって異なります。

まず、奨学金の保証制度には、「人的保証」「機関保証」の2つがありますが、そのどちらを利用しているのかが重要です。

人的保証機関保証
2人以上の親族の保証でおこなわれるもの

  • 連帯保証人:父母どちらか1名
  • 保証人:4親等以内の親族1名
指定保証機関が連帯保証人となる制度。
借主が返済できないときは保証会社が代位弁済をするシステム。

【参考】:独立行政法人日本学生支援機構「保証制度について

上記をふまえ、奨学金を含めて個人再生をしたときの保証人への影響は以下のとおりです。

個人再生手続きによる影響

  • 機関保証:家族(親族)に迷惑はかからない
  • 人的保証:家族(親族)に支払い義務

機関保証のときには、保証会社が残債務を一括で支払い、借り主に再生計画の予定額分だけを請求します。しかし、奨学金が人的保証の場合には、予定額との差額は保証人が返済しなければなりません。

親や親戚が保証人となる人的保証の奨学金があるときは、親近者に個人再生の事実を知られるリスクがあることにもご注意ください。

保証人のためでも個人再生でしてはいけない禁止行為

たとえ保証人に迷惑や負担をかけたくない気持ちであっても、個人再生の手続きで絶対にしてはいけない禁止行為があります。

その禁止行為とは、次の2つの内容です。

  • 1. 保証人がついた借金を隠す
  • 2. 保証人がついた借金を優先して払う

申し訳ない気持ちからやりがちな行為ではありますが、この2点については絶対にしてはいけません。

その理由について、詳しくお伝えしていきましょう。

保証人がついた借金を隠す

保証人が付いた借金を隠したまま個人再生することは禁止されています。

個人再生はすべての債権者を対象にしておこなわれるため、特定の相手だけを除いて手続きすることはできません。

次のようなケースでは、裁判所から調査のための個人再生委員が選任されることがあります。

  • 債務総額が高額であるとき
  • 複数の借入先が存在して複雑化しているとき

すべての個人再生に対して選任される地域もありますが、この再生委員の役割には「申立人の財産や収入状況の調査」があるのです。

再生債務者の財産及び収入の状況を調査すること。

【引用元】:民事再生法223条2項より一部抜粋

再生委員は裁判所が選任した弁護士が担当するため、専門家の視点で厳しく収支状況をチェックされます。再生計画に含まれていない返済先があるときは、銀行口座の入出金履歴からでもすぐ見つかってしまうでしょう。

借金を隠したことで裁判所や再生委員からの信頼をなくしてしまうと、以後の手続きも難航してしまう可能性があります。そうなると個人再生そのものが困難になる恐れがあります。

保証人がついた借金を優先して払う

保証人がついた借金を優先して払う行為は、偏頗(へんぱ)弁済※という禁止行為であり、発覚すると個人再生手続きができなくなります。
(※偏頗弁済=偏った弁済)

保証人がついた借金を隠す行為もですが、個人再生ができなくなる条件は、民事再生法で次のように明確に定められています。

次の各号のいずれかに該当する場合には、裁判所は、再生手続開始の申立てを棄却しなければならない。
1. 再生手続の費用の予納がないとき。
2. 裁判所に破産手続又は特別清算手続が係属し、その手続によることが債権者の一般の利益に適合するとき。
3. 再生計画案の作成若しくは可決の見込み又は再生計画の認可の見込みがないことが明らかであるとき。
4. 不当な目的で再生手続開始の申立てがされたとき、その他申立てが誠実にされたものでないとき。

【引用元】:民事再生法第25条(再生手続開始の条件)

上記の2項及び4項に該当するのはもちろんのこと、ほかの債権者から合意を得られなくなる可能性も高まります。保証人に迷惑をかけないためとはいえ、特定の借金だけを優先する行為はしてはいけません。

個人再生の完済後は保証人になれるのか

反対に「個人再生後には保証人になれるのか?」という疑問についてですが、結論として完済してから5〜10年間は難しいでしょう。

理由としては、個人再生の手続きが信用情報では「金融事故」として記録されるためです。「ブラックリスト入り」と言われる状態になるため、この情報が消えるまでの5〜10年間は、保証人にはなれません。

ただし、賃貸契約などの貸金業以外の保証や、奨学金のように2名たてるケースならば、保証人として成立することは考えられます。

個人再生が保証人に与える3つの問題まとめ

個人再生の手続きをスムーズに進めるためにも、この記事の要点を振り返って確認していきましょう。

  • 保証人は差額の支払い義務を負う
  • 債権者からは一括請求で求められる
  • 保証人が差額を代位弁済しても求償権はない
  • 保証人のとれる対処法は分割返済か債務整理
  • 持ち家は特則を利用すれば保証人に影響しない
  • 奨学金は利用した保証制度により異なる

また、個人再生の手続きの2つの禁止行為については、保証人にも自分にもマイナスの結果しかありません。

個人再生で保証人に迷惑をかけない最善の方法として、まずは弁護士・司法書士を交えて3者で話し合いをして解決策を見出すことをおすすめします。

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