任意整理は意味ない?任意整理で得られる効果と他の債務整理にないメリットとは

監修 山下 信章
/シン・イストワール法律事務所 代表

シン・イストワール法律事務所は借金問題に注力する法律事務所です。事務所を開設してから、これまで任意整理、個人再生、自己破産、過払い金請求など様々なケースの借金事案に対応してきました。

シン・イストワール法律事務所は借金問題に注力する法律事務所です。事務所を開設してから、これまで任意整理、個人再生、自己破産、過払い金請求など様々なケースの借金事案に対応してきました。

この記事でわかること
任意整理は…

  • 簡便な手続きで借金の減額が可能な債務整理の方法である
  • 他の債務整理よりもデメリットが少ない借金問題の解決方法である
  • 借金額や収入によっては手続きをする意味がない場合もある
  • 借金総額が比較的少ない場合にはメリットが大きい借金整理の方法である

任意整理は、債権者と直接交渉して毎月の返済額を減らしてもらうことで、借金の完済を可能にする債務整理の方法です。他の債務整理と比べて手間がかからず、費用もそれほどかからないというメリットがあります。

ただ、任意整理で借金を大幅に減額するのは難しいことが多い上に、借入先のお客様相談窓口に連絡すれば、多少は毎月の返済額を減らせることもあります。そのため、「任意整理をしても意味ない」と言われることもあります。

この記事では、任意整理によってどのような効果が得られるのか、他の債務整理と比べてどのようなメリットがあるのかをご紹介しつつ、任意整理には本当に意味がないのかを分かりやすく解説します。

任意整理は意味ないのか?~任意整理でできること

任意整理では、債権者との話し合いによって今後の返済額や返済方法を決めていきます。そのため、どこまで借金を減らせるかは債権者の意向次第となります。

一般的には、任意整理で以下のことが可能になります。

利息をカットできる

ほとんどの場合、任意整理をすれば将来利息は全部カットされます。将来利息とは、今後発生する利息のことです。経過利息と遅延損害金については、近年はカットされないことが多くなっていますが、交渉次第ではカットに応じてもらえることもあり得ます。

経過利息とは支払い停止から延滞が発生するまでの利息のことで、遅延損害金とは延滞発生から和解成立までに発生する違約金のようなものです。

元金がカットされることは、基本的にはありません。元金は減らないので、「任意整理をしても借金は減らない」というのも間違いではありません。

しかし、将来利息がカットできれば、今後の返済額は確実に減ります。利率は借入残高にもよりますが、消費者金融では年18%、銀行カードローンでも年10%~15%に設定されていることが多いです。

これだけの利息の支払いが免除されれば、今後の返済の負担が軽くなることは間違いありません。

毎月の返済額を減らせる

任意整理では返済期間についても交渉できます。返済期間を伸長してもらうことで毎月の返済額を減らすことが可能になります。一般的には和解後3年(36回払い)~5年(60回払い)で返済することになりますが、交渉次第で7年(84回払い)程度まで伸長してもらえることもあります。

将来利息のカットによって返済総額も減りますので、多くのケースで毎月の返済額を減らすことができています。

差押えを回避できる

任意整理をすることで、財産の差押えを回避することもできます。

借金の滞納を続けていると、債権者から借入残高の一括返済を請求され、それと同時に差押えの予告を受けることがあります。このタイミングで任意整理をすれば、財産を差し押さえられることはありません。

任意整理は、滞納した借金も含めて、分割で返済していくことを約束する手続きだからです。一括返済を請求された後でも、もう一度、分割で返済していくことが可能になります。

ただし、既に差押えを受けている場合は、任意整理では差押えを解除してもらうことはできません。差押えを止めるためには、特定調停、個人再生、自己破産のような裁判所を介する債務整理手続きが必要となります。

任意整理をする意味とは?~任意整理で得られる効果

次に、任意整理をすることにどれくらいの意味があるのかをみていきましょう。以下の2つの例で、任意整理によってどれくらい借金減額の効果が得られるのかをご紹介します。

消費者金融から200万円の借金があるケース

例えば、消費者金融5社から合計200万円の借金があるとしましょう。各社からの借入金利はすべて年18%とします。

このケースで、任意整理をしない(そのまま返済を継続する)場合と、任意整理をした場合の返済額を比較すると、以下のようになります。

任意整理しない場合任意整理した場合
返済総額279万3,413円200万円
利息の総額79万3,413円0円
返済回数47回60回
毎月の返済額6万円3万3,333円

任意整理をすることで返済総額が80万円近く減り、返済回数を60回に伸長してもらうことで毎月の返済額も半減に近い効果が得られました。

消費者金融からの借金については、任意整理をする意味が十分にあることがお分かりいただけるでしょう。

なお、上記の結果は一般的な任意整理のケースを想定したシミュレーションですが、実際には交渉次第で和解条件が不利になることもあれば、さらに有利になることもあります。上記の結果は目安として参考になさってください。

銀行カードローンで500万円の借金があるケース

次に、銀行3社からカードローンで合計500万円の借金があるとしましょう。各社からの借入金利はすべて年10%とします。

このケースで、任意整理をしない(そのまま返済を継続する)場合と、任意整理をした場合の返済額を比較すると、以下のようになります。

任意整理しない場合任意整理した場合
返済総額637万4,079円500万円
利息の総額137万4,079円0円
返済回数60回60回
毎月の返済額10万6,235円8万3,333円

任意整理をすることで返済総額が137万円以上も減り、返済回数は変わらないものの毎月の返済額も2万円以上は軽減できました。

一般的に借金総額が500万円にも上る場合は、個人再生または自己破産を検討します。しかし、ある程度の収入がある場合には、任意整理でも解決できることがお分かりいただけるでしょう。

個人再生や自己破産のデメリットを回避したい場合には、任意整理をすることに大きな意味があるといえます。なお、上記のシミュレーションについても、ひとつの目安として参考になさってください。

任意整理が意味ないと言われる理由

任意整理でできることや得られる効果を解説しましたが、あらゆる借金問題を任意整理で解決できるわけではありません。任意整理にも限界はあります。そのため、「任意整理をしても意味ない」と言われることもあります。

任意整理の限界とは、具体的には以下の2点のことを指します。

債権者の同意がなければ借金を減額できない

任意整理は、債権者との交渉によって当初の返済条件よりも債務者に有利な返済条件で和解をする手続きです。そのため、債権者の同意がなければ借金を減額することはできません。

ただ、任意整理の交渉に応じない貸金業者はごくわずかです。ほとんどの貸金業者は、交渉には応じてくれます。あとは、債務者が返済可能な条件にまで債権者が譲歩してくれるかどうかによって、任意整理の成否が分かれます。

なお、住宅ローンや自動車ローン、保証人付き借金などについては、任意整理するとマイホームやマイカーを失い、保証人が一括請求を受けてしまいます。

また、税金や公共料金の滞納など、そもそも減額交渉の対象とならない債務もあります。これらの債務については、「任意整理をしても意味ない」といえます。

同意があっても大幅な借金の減額は難しい

債権者の同意があっても、カットしてもらえるのは基本的に将来利息のみです。金利や借入額によってはそれだけでも大きな減額効果があります。しかし、元金まで減免される個人再生や自己破産と比べれば、任意整理の借金減額効果は限定的です。

先ほどご紹介した、銀行カードローンで500万円の借金があるケースでいうと、毎月8万3,333円以上の返済を5年間継続できるだけの収入がなければ、任意整理で解決することはできません。その場合には、「任意整理をしても意味ない」ということになります。

他の債務整理にはない任意整理のメリット

個人再生や自己破産の方が借金の減免効果は格段に高いといえますが、それを理由に「任意整理は意味ない」と考えるのは早計です。個人再生と自己破産には、高い減免効果と引き換えにさまざまなデメリットがあるからです。

一方、任意整理のデメリットは、ブラックリストに登録されることくらいです。個人再生および自己破産と比べて、デメリットが少ないことが任意整理のメリットです。

具体的には、個人再生や自己破産ではなく任意整理を選択することで、以下のメリットが得られます。

簡便な手続きで借金を整理できる

任意整理は裁判所を介しないため、簡便な手続きで行うことができます。

必要書類はごくわずかなもので済みますし、裁判所へ出頭する必要もありません。書類の提出期限などに追われることもありません。

費用の負担が軽い

個人再生や自己破産をする場合は、裁判所に一定額の費用を納めなければなりません。ケースによっては、総額で数十万円~100万円以上が必要となることもあります。任意整理の場合は裁判所に費用を納める必要がなく、実費がかかったとしても電話代や郵送費のみです。

弁護士や司法書士に手続きを依頼する場合には相応の費用がかかりますが、任意整理の依頼費用は個人再生や自己破産を依頼する場合よりも低額となる傾向にあります。

財産の処分が不要

自己破産では、一定額を超える財産を所有している場合は処分しなければなりません。個人再生の場合も、財産総額が大きい場合には返済額が増えてしまうことがあります。

一方、任意整理では所有財産の有無や金額は一切問われません。高価な財産を所有していても処分する必要はなく、返済額が増えることもありません。

整理する債務を自由に選べる

個人再生と自己破産では、すべての借金を手続きの対象としなければなりません。そのため、保証人に迷惑がかかったり、マイカーなど保有する資産を引き揚げられてしまうことがあります。

その点、任意整理では手続きの対象とする借金を自由に選べます。保証人がいる場合は、その借金を除外して他の借金のみを整理すれば、保証人が請求を受けることはありません。もちろん、自動車ローンのみを手続きから除外することも可能です。

周囲の人に知られず借金の整理が可能

個人再生または自己破産をすると、氏名と住所が官報に掲載されてしまいます。官報というのは、政府が発行する日刊紙のようなものです。

一方、任意整理をしても公表されることはないので、周囲の人に知られず借金を整理することが可能です。

仕事に支障をきたすことはない

自己破産をする場合、手続き中だけですが一部の資格や職業に就くことがが制限されます。そのため、場合によっては仕事を辞めなければならないこともあります。

任意整理の場合は、資格や職業に制限を受けることは一切ありません。

ブラックリストに登録される期間が短い

債務整理をすると、どの手続きの場合でもブラックリストに登録されますが、登録期間が違います。

個人再生と自己破産の場合は10年、任意整理の場合は5年です。債務整理の中でも任意整理をした場合が最も早く、ブラックリストから解放されます。

任意整理後に他の債務整理へ切り替えるときの注意点

任意整理をしてみて思うように借金が減らない場合や、和解後に返済が苦しくなったときは、その後に個人再生や自己破産に切り替えることができます。

ただし、任意整理後に他の債務整理へ切り替えるときには、以下の点に注意する必要があります。

個人再生に切り替える場合

任意整理から他の債務整理へ切り替えるということは、前項でご紹介した任意整理のメリットを放棄することを意味します。個人再生に切り替える場合には、特に以下の点にご注意ください。

  • 費用の負担が増える
  • 保証人に迷惑がかかることがある
  • 自動車などの担保物件を引き揚げられることがある

個人再生は債務整理の中でも最も複雑な手続きを要しますので、通常は弁護士に依頼して申し立てます。任意整理を弁護士・司法書士に依頼していた場合でも、改めて個人再生を依頼する場合には追加の費用が必要となります。

実費は裁判所の手数料も含めて数万円ですが、その他に個人再生委員の報酬を負担しなければなりません。報酬額は12万円~25万円程度で、裁判所によって異なります。東京地裁の場合は15万円です。

その他にも、以下の点に注意しましょう。

  • 任意整理後に返済したお金は戻ってこない
  • 最初から個人再生をする場合よりも返済額が増える可能性がある

後者については、任意整理で一部の債権者に対して優先的に返済するという「偏頗弁済」をしていた場合に問題となります。

個人再生ではすべての債権者を平等に扱う必要があります。申立前の不公平な状態を正すために、個人再生手続きによる返済額が通常のケースよりも増えてしまうことがあるのです。

自己破産に切り替える場合

自己破産に切り替える場合も、基本的に注意点は個人再生に切り替える場合と同様です。

切り替え前の任意整理で偏頗弁済をしていた場合、自己破産では管財事件に付されやすくなります。

その場合、一部の債権者に対して優先的に返済した金額を別途用意して、破産管財人に預けます。破産管財人は、そのお金を全債権者に対して配当します。

破産管財人への報酬も最低20万円は負担しなければなりませんので、費用の負担が増えます。

任意整理を弁護士・司法書士に依頼するメリット

任意整理をするなら、弁護士または司法書士といった専門家に依頼することをおすすめします。専門家に依頼することで、以下のメリットが得られます。

取り立てが止まる

任意整理に限りませんが、弁護士・司法書士に債務整理を依頼すれば、債権者からの取り立てがすぐに止まります。

依頼を受けた弁護士・司法書士が各債権者へ受任通知書を送付し、これを受け取った貸金業者は、債務者へ返済の請求を直接してはならないと法律で定められているからです。遅くとも、依頼してから数日以内に取り立てが止まります。

債権者との交渉を任せられる

弁護士・司法書士に任意整理を依頼した後は、その弁護士・司法書士が代理人として債権者と交渉します。

依頼者は、自分で債権者と直接やりとりする必要がありません。仕事や家事などに専念しながら借金の整理ができます。

有利な和解が期待できる

任意整理の手続きは、個人再生や自己破産のように複雑ではありません。しかし、有利な条件で和解するためには専門的な法律知識が要求されます。

弁護士・司法書士が専門家としての立場で債権者と交渉することによって、債務者にとって有利な和解が期待できます。

まとめ

任意整理には限界もあるので、ケースによっては「意味ない」ということもあります。しかし、借金総額が比較的少ないケースでは、多くの場合、任意整理が最も有効な解決方法となります。

弁護士・司法書士による専門的なサポートを受けることで、任意整理による借金の減額効果を高めることも期待できます。
専門家の力を借りて任意整理を意味あるものにして、借金問題を解決しましょう。

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