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ホストの売掛金を払えない方へ!弁護士に依頼することで減額・返済不要にできる

ホストの売掛金を払えない方へ!弁護士に依頼することで減額・返済不要にできる

監修蒲谷 博昭
/ 弁護士法人ユナイテッドローヤーズ/シン・イストワール法律事務所 代表

弁護士法人ユナイテッドローヤーズ/シン・イストワール法律事務所は借金問題に注力する法律事務所です。事務所を開設してから、これまで任意整理、個人再生、自己破産、過払い金請求など様々なケースの借金事案に対応してきました。

弁護士法人ユナイテッドローヤーズ/シン・イストワール法律事務所は借金問題に注力する法律事務所です。事務所を開設してから、これまで任意整理、個人再生、自己破産、過払い金請求など様々なケースの借金事案に対応してきました。

ホストクラブはお金がかかる夜の遊び場ですので、担当ホストが付いて売掛をして通うようになると、あっという間に売掛金は膨らみます。

ホストにハマって売掛や借金してまで通うようになって身を持ち崩す女性は跡を絶ちません。そうならないためには適切な対応が必要です。

そこでこの記事では売掛金が払えなくなったらどうなるのか?様々なリスクや法律的に返済不要なケース、さらにはホストとの交渉方法・借金全般への対処法までをご紹介します。

ホストの売掛金でお困りの女性の方は、問題解決のために参考になさってください。

ホストクラブの売掛とは?

ホストクラブの売掛とは、いわゆる「ツケ」のことです。店内での飲食やサービスの代金をすぐに支払えない場合に、後日支払うシステムです。ホスト業界では、「カケ」「未収」などとも呼ばれています。

売掛のシステムを採用することで、客とホスト・店側の双方にとって以下のようなメリットがあります。

客にとってのメリット
  • 手持ちのお金がなくても店で遊べる
ホスト・店側にとってのメリット
  • お金をたくさん使ってもらいやすい
  • 再度の来店が期待できる
  • 常連客になってもらいやすい

売り上げを伸ばしたい、ナンバー1になりたい、などと考えているホストは、積極的に客に対して売掛を持ちかけることもあります。

客としても、好みのホストから提案を受けると断りにくく、つい使いすぎることになりがちです。その結果、「売掛金が払えない」という事態に陥る客も少なくありません。

通常、売掛金はホスト個人が店に立て替えていて、客から回収できない場合には給料から差し引かれます。給料を全額差し出しても足りない場合には、ホストが自腹で支払わなければなりません。

そのため、売掛金を支払わない客に対しては、担当ホストが回収(集金)に回ることになるのです。

ホストクラブの売掛金を払えないとどうなる?

ホストは売掛金を回収できなければ自分が金銭的損害をこうむるため、客が「払えない」と言っても簡単に許すようなことはしません。

お客はホストクラブの売掛金を払えなくなれば、以下のようにホストに追い詰められることになります。

脅しや暴力を振るわれる

ホストは売掛金を払えない女性に対して最初は優しい態度で支払いを求めてきますが、期限が来ても払えない場合は容赦しません。

暴言を浴びせたきたり、暴力を振るったりして、恐怖心を植え付けて支払わせようとします。支払うまでは脅しや暴力が延々と続くこともあり、女性は肉体・精神に大きなダメージを受けることになります。

厳しい取り立てを受ける

売掛金をなかなか払わない客に対しては、以下のような厳しい取り立てを行います。

  • 昼夜を問わず頻繁に電話をかけてくる
  • 自宅にまで集金に押しかけてくる
  • 実家や職場に集金に来ることもある
  • 暴行や脅迫を受けることもある

例えば、消費者金融やカードローンの返済が滞ったとしても、身の危険を感じるような取り立てを受けることはありません。貸金業者の場合、違法な取立ては法律で禁じられているからです。

しかし、ホストの売掛の回収については、貸金業に関する法律は適用されません。また、ホスト自身もそんな法律は知らないことがほとんどです。

売掛の金額が大きければ大きいほどホストも必死になるので、あらゆる手段を講じて取り立てを図ってきます。

中には、暴力団や半グレのような「回収業者」に取り立てを依頼することもあるので、ホストによる取り立てを無視することは得策ではありません。

借用書にサインを求められる

もっとも、最初から厳しい取り立てを受けるわけではありません。当初は支払いのお願いをされるだけです。払えない場合には、いつまでに払えるのかを約束すれば、その場は引き下がります。

その代わり、借用書にサインを求められることがよくあります。これは、売掛代金を客が借金した形にするものです。法律上は「準消費貸借契約」と呼ばれるものであり、不当な行為ではありません。

しかし、ホストと借用書を交わす際には、以下のようなことが行われることが多いので、注意が必要です。

  • 法外な金利による利息や遅延損害金を付加される
  • 迷惑料などを加算される
  • 自宅や実家、職場などの住所・連絡先を聞き出される

借用書の文面は事前にホストがすべて記載していることがほとんどですので、サインする際には不当な内容になっていないかを十分に確認しなければなりません。

裁判を起こされる

売掛金を未納のままにしておくと、民事裁判を起こされることもあります。

「ツケ払いの未納で裁判など起こされることはないだろう」と考える方も多いのですが、少額訴訟という簡易的な裁判をホストが起こすことは少なくありません。

少額訴訟とは、60万円以下の金銭債務について、原則として1回の期日で審理が終了する簡易的な民事訴訟手続きのことです。

ホストの中には売掛金の回収に手慣れていて、60万円を超える場合には通常の民事裁判を起こしてくることもあります。

裁判で判決を受けても売掛金を払わなければ、給料や預貯金などが差し押さえられ、強制的に売掛金を回収されてしまうのです。

返済のために借金することを強要される

裁判という正当な法的措置をとられる前に、借金をしてでも売掛金を返済するように迫られることも多いです。

「収入が少ない」「多額の借金を抱えていて審査に通らない」「仕事が水商売」といったように貸金業者に借り入れができない場合、闇金を紹介されることもあります。

このような売掛金の支払いのために借金することに応じてしまうと、ホストによる厳しい取り立てからは一時的に解放されても、借金地獄に陥ってしまうでしょう。

闇金による取り立てはさらに厳しく、悪質な嫌がらせ行為も当然のように行われます。闇金には絶対に手を出してはいけません。

キャバクラや風俗で働くことを強要される

借金して返済することも難しいとなると、キャバクラや風俗で働いて返済することを求められます。ホストのネットワークから店を紹介され、すぐにでもそこで働くように迫られます。

ホストクラブの客の中には、既にキャバクラや風俗で働いている女性も多いです。そのような客に対しては、より高収入が得られるソープランドや闇の風俗、あるいはAVのプロダクションなどを紹介されることもあります。

実際、「払えないから仕方ない」「高収入が得られるのなら風俗でも構わない」と考えて、要求に応じてしまう人もいます。

違法な仕事を紹介される

キャバクラや風俗以外にも、違法な仕事を紹介されることもあります。ホストは裏の世界と繋がりを持っていることも多いので、以下のような仕事で犯罪の片棒を担がされることもあります。

  • 特殊詐欺のかけ子や受け子、出し子
  • 美人局(つつもたせ)
  • 出会い系を利用した売春
  • 出会い系のサクラ
  • 違法薬物や盗品などの運び屋
  • 携帯電話や銀行口座の提供

違法な仕事でも「一度だけなら……」と考える人も少なくありませんが、注意が必要です。

いったん違法な仕事に手を出すと、依頼主に弱みを握られて抜け出せなくなってしまう可能性が非常に高いのが実情です。決して、違法行為には手を出さないようにしましょう。

SNSなどで晒される

ホストがあの手この手を使って取り立てても売掛金を回収できない場合には、その客の顔写真や個人情報をSNSなどで晒すようなことも平気でおこないます。

ほとんどの場合、「ツケを払わないドロボー」などの文言で誹謗中傷されます。事実無根の誹謗中傷で名誉を毀損されることも少なくありません。

ネット上の誹謗中傷の書き込みについては削除請求も可能ですが、手間や時間、コストがかかることが多いものです。削除できなければ、デジタル・タトゥーとして残ってしまいかねません。

そして、ホストから「削除してほしければ、何をしてでもツケを払え」と脅されるのです。

詐欺罪で訴えられることもある

もし、あなたが最初からお金を支払うつもりもないのに「ツケにしてもらえるからホストクラブで遊ぼう…」などと考えてツケ払いをすると、詐欺罪が成立します。

ホストの売掛は、お互いの信頼の元に成り立つ仕組みです。

売掛の金額が大きい場合や、何度も未納を繰り返している場合には、実際に通報されて警察問題となることもありますので、注意しましょう。

ホストクラブの売掛金は返済不要なケースもある

通常はツケ払いをすればその売掛金を返済する義務がありますが、状況によっては返済不要なケースもあります。

売掛金が返済不要となるのは、以下の4つのケースです。

詐欺や脅迫を受けてツケをした場合

次のような場合は、民法上、売掛の契約を取り消せます。

  • 注文しないとストーカーしてやるなどと脅された
  • 暴力で強制的に注文させられた
  • 10万円のボトルを1万円だと騙されて注文した

取消しが認められると、契約がなかったことになるため売掛金の返済義務はありません。

ただし、ホストから執拗に売掛を頼まれたとしても、「好きなホストがそこまで言うのなら……」と考えて注文した場合は、取り消せない可能性が高いです。

取り消せるかどうかは、弁護士に相談して確認することをおすすめします。

違法な利息を要求されている場合

売掛が払えない場合、高額な利息を要求されることもあります。もし、その金利が年109.5%を超える場合は出資法違反という犯罪行為に該当するため、民事上も売掛契約が無効となる可能性があります。

無効となった場合には契約がなかったことになるため売掛金の返済義務はありません。

ただ、実際に利息を要求されることが多いのは、後日に借用書を交わす際です。準消費貸借契約が暴利によって無効になったとしても、元の売掛契約まで無効になるとは限らないことには注意が必要です。

消滅時効にかかっている場合

売掛金債務にも時効がありますので、消滅時効にかかっている場合は返済する必要がありません。

民法改正により、2020年4月1日以降に発生した売掛金債務の時効期間は、注文したときから5年とされています。

ただし、借用書を交わして準消費貸借契約を行った場合は債務を承認していますので、そのときから5年が時効期間となります。

2020年3月31日以前に発生した飲食の売掛金債務の時効期間は1年です。ホストの売掛を長期間払っていない場合は、消滅時効にかかっていないかどうかを確認しましょう。

未成年者がツケをした場合

ツケ払いをした客が未成年者の場合は、親権者の同意がなければ契約を取り消して返済を拒否できます。

ただし、未成年者が成人であると偽ってホストクラブに入店し、注文した場合は取消しが認められません。

なお、2022年4月1日以降は民法改正により、18歳以上の人が成人となります。

ホストの売掛で厳しい取り立てを受けたときの対処法

ホストの売掛で厳しい取り立てを受けたときの対処法

実際にホストから厳しい取り立てを受けたときは、相手の言いなりにならず、適切に対処していく必要があります。

借金をするように要求されたり、ホストの知り合いの風俗店で働くように指示されても安易に応じてはいけません。以下のような方法で対処していきましょう。

分割払いや減額を交渉する

まずは、前項の解説を参考にして、売掛金の返済義務があるかどうかを確認してください。

返済義務がある場合には、何とかして支払わなければなりません。すぐに支払えない場合には、分割払いや減額をお願いして交渉することが考えられます。

ホストとしてはお金を回収できればよいのですから、誠意のある客に対しては手荒なことはしません。柔軟に対応する可能性があります。

返済不要な場合は拒否する

返済不要に該当する場合は、きっぱりと支払いを拒否した方がよいでしょう。

取り立てが怖い、あるいは情にほだされた、などの理由で返済しようとする人もいますが、中途半端に返済していると、いつまでもホストに支配されたままになります。

ホストに対して返済不要の理由を告げて、断固として支払いを拒否する方が得策です。

ホストに犯罪行為があるときは警察に通報する

返済義務がある場合もない場合も、担当ホストが必死になって取り立ててくる可能性が大いにあります。取り立ての度が過ぎた場合に、成立する可能性がある犯罪は以下のとおりです。

状況成立する犯罪
脅された脅迫罪
暴力を振るわれた暴行罪
(怪我をした場合は傷害罪)
暴行・脅迫を用いて返済を迫られた恐喝罪
  • 借用書へのサインを強要された
  • 借金を強要された
  • キャバクラや風俗店への勤務を強要された
強要罪
  • 職場の人がいる前で大声で返済を迫られた
  • SNSなどで誹謗中傷された
名誉毀損罪
自宅に押しかけてきた住居侵入罪
退去を求めても帰らない不退去罪
自宅の玄関や壁に貼り紙をされた器物損壊罪

身の危険を感じるときは、警察に通報しましょう。状況次第では、警護などの配慮をしてくれることもあります。ホストを処罰してもらいたい場合は、被害届または告訴状を提出しましょう。

ただし、警察はすぐに動いてくれないケースもあり、また中途半端な介入によって余計に話しがこじれることもあります。ホストに違法行為がある場合は弁護士にも相談して対処法についてアドバイスをもらうことをお勧めします。

ホストの売掛金問題を弁護士に依頼するメリット

ホストとの売掛トラブルや貸金業者からの借金問題を根本的に解決するなら、弁護士に依頼することがベストな解決方法です。

弁護士は法律の専門家であり、依頼者の代理人として相手との交渉や債務整理という借金問題を解決できる法的手続きに対応してくれます。

最初は弁護士に相談することを敷居が高いと思われるかもしれませんが、ホストとの問題を解決できることによって多大なメリットを感じることでしょう。

弁護士に依頼するメリットは大きく3つあります。

ホストからの取立てを止められる

ホストはお客女性が売掛を支払おうとしないと見るや、何としてでも回収しようとしつこい電話やLINEをしてきたり、実家や職場に押しかけるといった強引な取り立てをします。

その取り立て方法は警察に捕まらないように違法行為スレスレでおこなうことが多く、支払うまでそれが延々と続きます。

弁護士は依頼を受けると、まずはホストに対して「受任通知」という依頼者の代理人になったことを通達します。代理人とは、すべての連絡窓口が弁護士になったことを指します。

受任通知には「取り立てをしないように」という旨が記載されているため、大半のホストは大人しくなります。

ホストや回収業者との交渉を弁護士に任せられる

受任通知をおこなった後、弁護士は具体的にホストとの売掛金の解決へ向けた交渉に入ります。

まず売掛金を支払う法的義務があるのかを確認しますが、それが時効であったり、請求に違法性があれば不払いにする交渉をおこないます。

一方で、売掛金に支払い義務が生じているならば、減額や分割払いにする交渉をおこないます。この間、依頼人女性はホストと一切連絡を取る必要がなく、弁護士に交渉をすべて任せることができます。

この交渉は弁護士なら誰でもよい訳ではありません。ホストとの交渉を上手く対応できる法律事務所は多くないため、ホスト案件の経験・実績がある弁護士に依頼することが得策です。

ホスト売掛金とその他の借金を債務整理してもらえる

売掛金とともに貸金業者からの借金を減額や免責にする交渉手続きを債務整理と言います。債務整理とは法律で認められた借金救済方法で、返済できない場合に減額や支払い免除ができる手続きです。

ホストの売掛金のような準消費貸借契約による返済義務も、債務整理の対象になります。

  • 任意整理:債権者と個別に交渉して借金を減額する
  • 個人再生:裁判所に申請して最大1/5まで減額する
  • 自己破産:裁判所に申請してすべての借金を免責(チャラ)にする

消費者金融や街金などから多額の借金をしている場合は、個人再生や自己破産といった債務整理手続きが有効です。個人再生をすれば、負債の全体を原則的に5分の1~10分の1にまで減らすことが可能です。自己破産では、負債をすべて免除してもらえる可能性があります。

ただし、ホストクラブでの飲食は、自己破産の場合には裁判所に「免責不許可事由」に当たると判断される可能性が高いです。しかし、ホストクラブを利用していた頻度や、売掛金が負債全体に占める割合などによっては裁量免責が得られる可能性も十分にあります。

状況に応じて選択すべき債務整理手続きは異なりますが、必ず解決の道は見つかるはずです。また、闇金に借りている場合も弁護士に依頼することで、取立てが止まり返済も不要になります。

まとめ

この記事をお読みの方は、今現在ホストの厳しい取立てに悩んでいる方も多いでしょう。ホストの売掛金は多くの場合、不当に高額で意味もなく法外な利息が上乗せされているケースが大半です。

そのような売掛の全額支払いに応じる必要はありません。また、脅しや違法な取立てに遭っている場合は自分だけで解決しようとしてはいけません。

売掛金に関するトラブルはできるだけ早く弁護士の力を借りて解決することが望まれます。

執筆者かつ9312

元弁護士。関西大学法学部卒。15年にわたり、債務整理、交通事故、相続をはじめとして、オールジャンルの法律問題を取り扱う。
債務整理では、任意整理、個人再生、自己破産の代行から過払い金返還請求、闇金への対応、個人再生委員、破産管財人、法人の破産まで数多くの事案を担当経験する。

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