任意整理を自分で行う方法を徹底解説!困ったときの対処法も紹介

任意整理を自分で行う方法を徹底解説!困ったときの対処法も紹介

監修蒲谷 博昭
/ 弁護士法人ユナイテッドローヤーズ/シン・イストワール法律事務所 代表

弁護士法人ユナイテッドローヤーズ/シン・イストワール法律事務所は借金問題に注力する法律事務所です。事務所を開設してから、これまで任意整理、個人再生、自己破産、過払い金請求など様々なケースの借金事案に対応してきました。

弁護士法人ユナイテッドローヤーズ/シン・イストワール法律事務所は借金問題に注力する法律事務所です。事務所を開設してから、これまで任意整理、個人再生、自己破産、過払い金請求など様々なケースの借金事案に対応してきました。

この記事でわかること
  • 任意整理は自分で行うこともできる
  • 自分で任意整理をするための具体的な手順がわかる
  • 任意整理を自分で行う場合には多くのデメリットに注意が必要である
  • 自分で任意整理を進めることが難しくなったら途中からでも弁護士に依頼できる

「任意整理をしたいけれど、弁護士費用が用意できない…」このようなお考えのときには、自分で任意整理をすることを検討してみるとよいでしょう。

任意整理は債務整理の中では最も簡易的な手続きなので、弁護士や司法書士に依頼することなく、債務者の方が自分で行うことも不可能ではありません。

この記事では、任意整理を自分で行う方法を詳しく解説します。手順に沿って進めていけば、ご自身で最後まで行うことはできます。

とはいえ、自分で任意整理を行う場合にはさまざまなデメリットがあることも事前に知っておく必要があります。そこで、注意すべきでメリットや困ったときの対処法、弁護士・司法書士に依頼するためにかかる費用についてもご紹介します。

任意整理は自分でもできる?

結論からいいますと、任意整理は自分でもできます。

任意整理に限らず、債務整理の手続きを行うために資格は必要とされていませんので、借金の当事者なら自分で行うことも可能です。

債務整理の中でも任意整理は裁判所を介さず、債権者と話し合いをして解決を図る手続きとなっています。自己破産や個人再生では裁判所に申し立てを行い、複雑かつ厳格なルールに則って手続きを行う必要がありますが、それに比べて任意整理は簡易的かつ柔軟な手続きです。

そのため、自分で債務整理をする場合、任意整理は最もハードルが低いといえるでしょう。

任意整理を自分で行う方法

それでは、任意整理を自分で行う方法をご紹介します。やるべきことは少なくありませんが、以下の手順に沿って手続きを進めていけば、弁護士・司法書士に依頼することなく借金を減らすことが可能です。

貸金業者に任意整理を申し出る

まずは、借入先の貸金業者に対して任意整理を申し出ることから手続きが始まります。

このとき、単に「返済できません」「返済方法の相談をしたい」という曖昧な申し出ではなく、「任意整理をしたい」と明確に目的を伝えることが重要です。

単なる相談だと貸金業者に受け止められてしまうと、交渉に応じてもらえたとしても、返済を1~2ヶ月待ってもらえるだけであったり、返済期間を多少延ばしてもらえるだけとなってしまいます。

返済額そのものを減らすためには、将来利息をカットしてもらう必要があります。そのためには単なる相談ではなく「任意整理を行う」ということを貸金業者にわかるように伝えなければなりません。

取引履歴を取り寄せる

貸金業者に任意整理を申し出る際には、併せて、取引履歴を送付してもらうように伝えましょう。

取引履歴とは、その貸金業者との取引がすべて記載された帳簿のことで、正確な借金額を把握するために必要不可欠なものです。

貸金業者には法律で取引履歴の開示義務が課せられていることもあり、申し出れば素直に開示に応じてくれます。

取引履歴が送付されてくるまでの期間は数週間~数ヶ月程度で、業者によって異なります。その間は、原則として契約どおりに返済を継続する必要があります。

利息引き直し計算を行う

取引履歴が届いたら、すべての取引に法定金利を適用して利息を計算し直します。この作業のことを「利息引き直し計算」といいます。

法定金利とは、利息制限法の上限金利のことで、借入残高(元金)に応じて以下の金利を適用します。

  • 10万円未満…年20%
  • 10万円以上100万円未満…年18%
  • 100万円以上…年15%

以前は利息制限法の上限金利を超え、出資法の上限金利(29.2%)以内の「グレーゾーン金利」で貸付が行われていました。このような取引では利息が払いすぎとなっているため、利息引き直し計算を行うことで返済すべき元金が減りますし、場合によっては過払い金が発生していることもあります。

なお、2010年6月18日以降は貸金業法と出資法の改正法が施行されたことによりグレーゾーン金利は撤廃されました。しかし、それより前から取引をしていた場合には、必ず利息引き直し計算を正確に行う必要があります。

利息引き直し計算は、専用ソフトを使用すると簡単に行うことができます。無料でダウンロードできるソフトをご紹介しますので、ご利用ください。

>>利息引き直し計算ソフトはこちら
http://www.kabarai.net/index.html

過払い金が発生していたら返還請求をする

グレーゾーン金利で長期間の取引をしていた場合には、利息引き直し計算をすると元金がゼロになり、さらに支払いすぎとなっているケースがあります。この支払いすぎたお金のことを「過払い金」といいます。

貸金業者が過払い金を保有できる法律上の根拠はないので、返還請求が可能です。

請求方法は、「過払い金返還請求書」を作成して貸金業者に送付した上で、交渉するのが一般的です。任意の交渉で納得のいく金額の返還に応じてもらえない場合には、裁判が必要となります。

【過払い金返還請求書のひな形】

令和 ○○年 ○○月 ○○日

株式会社○○御中
代表取締役○○○○殿

会員番号○○-○○○○
氏名 ○○ ○○
生年月日 昭和○年○月○日

過払い金返還請求書

私は、貴社から、平成○年○月○日、金○○万円を借り入れ、以降、継続的に返済及び借り入れの取引を行ってきました。
しかし、上記取引につき利息制限法所定の利率に従い、引き直し計算を行ったところ、既に金○○円の過払いとなっております。
よって、私は貴社に対し、上記過払い金の返還を請求します。つきましては、本所面到達の日から14日以内に、上記金員を下記銀行口座にお振り込みください。
万が一、期日までにお支払いがなく、何らのご連絡もいただけない場合は、法的措置をとらざるを得ないことを念のため申し添えます。

【振込口座】
○○銀行○○支店 普通預金○○○○○○○
口座名義○○○○

返還請求書は、借り入れをした貸金業者ごとに書面を作成します。業者名と代表者名・日付・利用者名、引き直し後の過払い金額、また振込先を書いて内容証明郵便で郵送します。

到達日から14日以内に入金が完了したら、過払い金返還請求の手続きは完了となります。

借金が残っていれば返済方法を交渉する

現在ではグレーゾーン金利が撤廃されてから10年以上が経過していることもあり、多くの場合は利息引き直し計算をしても借金が残っています。その場合には、貸金業者と今後の返済方法について交渉します。

一般的に任意整理では、将来利息をカットしてもらい、残った元金を3~5年で分割返済していくことになります。元金の減額に応じてもらえることはほとんどありません。

ただし、交渉次第では遅延損害金のカットまたは減額、5年を超える返済期間の延長などに応じてもらえる余地もあります。

返済が厳しい状況をわかりやすく説明し、粘り強く交渉することがポイントとなります。

和解書を取り交わす

納得できる返済条件で貸金業者と合意ができると、和解が成立します。和解が成立したら、和解書を作成して取り交わします。

自分で任意整理をした場合には貸金業者の側で和解書を作成することがほとんどですが、参考までに自分で作成する和解書のひな形をご紹介しておきます。

交渉を始める段階でご自身が希望する返済条件で和解書を作成し、貸金業者に送付すれば、交渉を有利に進められる可能性も出てきます。

【任意整理の和解書のひな形】

和解書

○○(以下「甲」という。)と△△(以下「乙」という。)は、本日、以下のとおり合意した。

第1条
乙は、甲に対し、本件和解金として金〇〇円の支払義務があることを認める。

第2条 (弁済方法)
乙は、甲に対し、前条の金員を、以下のとおり分割して下記銀行口座に振り込む方法によって支払う。
① 令和〇年〇月から令和〇年〇月までは、毎月〇〇日限り、金〇〇円
② 令和〇年〇月〇日限り、金〇〇円
(振込口座)
〇〇銀行〇〇支店 普通預金○○○○○○○
口座名義 株式会社○○

第3条
1 乙が前条の分割払金の支払い○回以上怠ったときは、甲の請求により乙は期限の利益を失い、甲に対し、第1条の和解金の残額に年〇〇パーセントの割合による遅延損害金を付して、直ちに残金を一括して支払う。

第4条
甲と乙は、本和解書に定める他には何らの債権債務のないことを相互に確認する。

上記和解の成立を称するため、本和解書を2通作成し、各自1通ずつ保管するものとする。

令和〇年〇月〇日

(甲)
(乙)

和解書は同じものを2通プリントアウトします。それぞれ、日付を書いて、(乙)の箇所に署名・捺印をして、貸金業者に対して内容証明郵便で2通とも送付します。これに(甲)の箇所に捺印をしてもらい、1通を返送して受け取れば和解成立となります。

和解内容に従って返済する

和解書を取り交わしたら、合意した内容のとおりに返済していきます。多くの場合は、和解後の返済が2回以上遅延すると、残額の一括返済と遅延損害金の支払いを求められます。

完済するまでは任意整理が成功したとはいえません。途中で返済が滞らないよう、無理のない返済条件での和解成立を目指すことも重要です。

任意整理を自分で行うときに注意すべきデメリット

前項でご紹介した手順に従えばご自身で任意整理の手続きが行えますが、実際には以下のようなデメリットがあることにも注意が必要です。

債権者からの督促は止まらない

借金の返済を滞納している場合、任意整理の手続きを始めても弁護士・司法書士が付いていなければ、債権者からの督促が続きます。

交渉中に「滞納分を早く払ってください」と催促されるわけではありませんが、「滞納しているのだから」という理由で早期の和解成立と返済の再開をせかされることになります。

これでは落ち着いて交渉できませんし、不利な条件で和解してしまう可能性が高くなるでしょう。

利息引き直し計算でミスをしやすい

利息引き直し計算ソフトを使用すれば計算ミスが生じることはありませんが、入力ミスをしてしまうケースが非常に多くなっています。

何年にもわたる取引について日付や金額を入力する段階でミスが生じることもありますし、適用すべき金利を誤ることもあります。

貸金業者は、自社に不利となる場合にしかミスを指摘しません。債務者に不利なミスがあっても、交渉はそのまま進められてしまい、本来よりも多くの金額を返済することになりかねません。

過払い金返還請求に失敗することがある

利息引き直し計算でミスをすると、過払い金の発生を見逃すこともあります。

また、過払い金を正しく計算できたとしても、自力で正当な金額を取り戻すことは容易ではありません。

ほとんどの貸金業者は、自分で過払い金返還請求の交渉をする人に対しては足元を見て、弁護士・司法書士に対するよりも低い割合でしか返還に応じません。

裁判をすれば全額を取り戻すことも可能ですが、裁判手続きは複雑なため、一般の方が自分で的確に進めることは困難です。その結果、過払い金返還請求の手続きを自分で進めると、返還額が少なくなって損をする可能性が高いでしょう。

債権者と対等に交渉することは困難

貸金業者の担当者と一般の債務者とでは、借金に関する知識と交渉力に大きな差があります。過払い金だけでなく、任意整理の交渉についても、一般の方が貸金業者と対等に交渉することは難しいのが実情です。

そのため、自分で任意整理をすると貸金業者に押し切られて、納得しがたい返済条件で和解してしまうことになりがちです。

弁護士・司法書士しか交渉に応じない貸金業者もある

貸金業者の中には個人からの任意整理の依頼を無視したり、任意整理を諦めさせるためか、なかなか手続きや交渉に入ろうとしない業者もあります。

また、「弁護士・司法書士を通してください」と交渉自体を拒否しようとする貸金業者もあります。

本来、貸金業者は債務者からの任意整理の依頼に応じなくてはなりません。しかし、このような貸金業者はいくら債務者自身が任意整理を持ちかけても、「弁護士・司法書士に依頼してください」の一点張りで交渉に応じようとしないことがあります。

和解条件が厳しくなりがち

貸金業者は、自分で任意整理をする債務者に対しては、無知で交渉力が低いと見るや、一方的に以下のような不利な和解条件を押しつけてくることが多いです。

  • 将来利息の全額支払いを要求する
  • 将来利息の一部の支払いを要求する
  • 短期間(3年未満など)での完済を求めてくる

その結果、任意整理の和解が成立したとしてもさほど減額できず、返済期間が短くなるため、毎月の返済額はこれまでと大して変わりません。これでは任意整理をした後に、再度、債務整理をする必要性が出てくる可能性が高くなります。

家族にバレるおそれがある

任意整理の手続き中は、何度も債権者と連絡を取り合わなければなりません。電話での連絡は携帯電話で行えますが、貸金業者との通話内容を聞かれてしまう可能性があります。

また、取引履歴や和解書は自宅に郵送されてきますので、家族に見られ借金や任意整理をしていることがバレるリスクが高くなります。

自分で任意整理を行うことが難しいときの対処法

結局のところ、自分で任意整理をした場合には、良い条件で和解することはなかなか難しいのが実情です。自分で手続きを的確に進めることが難しいと感じたときには、以下の対処法をおすすめします。

特定調停を申し立てる

特定調停とは、簡易裁判所における民事調停の手続きを利用して任意整理と同じような交渉を行い、借金の減額を図る制度です。

簡易裁判所への申し立てが必要ですが、さほど複雑な手続きではありません。取引履歴の取り寄せと利息引き直し計算は、裁判所の調停委員が行ってくれます。

債権者との交渉も調停委員が中立・公平な立場で仲介してくれるので、一方的に不利な和解案を押しつけられることはなくなります。

ただし、あくまでも話し合いの手続きですので、貸金業者には調停に応じる義務がないことに注意が必要です。弁護士・司法書士が付いていない債務者との交渉に応じない貸金業者は、特定調停での話し合いにも応じない傾向にあります。

弁護士・司法書士に依頼する

自分で任意整理を的確に進められない場合には、やはり弁護士または司法書士に依頼した方がよいでしょう。

相応の費用は要しますが、無理に自分で進めて失敗するよりも、弁護士・司法書士の力を借りて、借金額を適正に減らす方が得策です。

その際、任意整理の減額幅よりも弁護士費用が高く付いたという「費用倒れ」にならないように、「過払い金の有無を調べてもらう」「費用の見積りを出してもらう」「いくつかの事務所に相見積もりを取る」などした上で、実施することをおすすめします。

任意整理を自分でやることに向かない人とは

任意整理は自分でもできますが、前述したように自分でやる場合は、「利息計算」「事務手続き」「交渉」が必要になります。このような作業が嫌いではない・慣れているという方なら可能ですが、そもそも面倒なことは苦手という方にはおすすめできません。

また、債権者の数が多い場合には手続きはさらに煩雑になるでしょう。さらには借金額が多い人は自分でやることで減額幅が少なくなるケースがあるので、大きく損をする可能性があるかもしれません。

【任意整理を自分でやることに向いていない人】

  • 債務整理や法律のことについてよく知らない
  • 細かい事務手続きが苦手
  • 交渉事が苦手
  • 借金額が大きい
  • 債権者数が多い
  • 過払い金が発生している可能性が高い
  • 家族や会社にバレずに任意整理をしたい

自分でやる場合と弁護士・司法書士に依頼する場合の費用の比較

任意整理をするなら弁護士・司法書士に依頼する方が望ましいことがわかってはいても、費用の問題で依頼を躊躇する方も多いことでしょう。

そこで、任意整理を自分でやる場合と、弁護士・司法書士に依頼する場合とで必要となる費用を比較してみましょう。

自分で任意整理をする場合にかかる費用

自分で任意整理をする場合には、ほとんど費用はかかりません。債権者とのやりとりに電話代や郵送料などの通信費がかかるのみです。任意整理を申し出る際や過払い金の返還を求める際に内容証明郵便で文書を送付するとしても、数千円をプラスする程度で済みます。

したがって、高めに見積もっても5,000円~1万円も見ておけば十分でしょう。

弁護士・司法書士に依頼する場合にかかる費用

弁護士・司法書士に依頼する場合には、上記の実費に加えて弁護士費用・司法書士費用がかかります。

弁護士費用・司法書士費用は事務所によって異なりますが、おおよその相場は以下のとおりです。なお、弁護士よりも司法書士の方が若干ながら費用が低い傾向にありますが、大きく異なるわけではありません。弁護士・司法書士の違いよりも、事務所による違いが大きいといえます。

【任意整理にかかる弁護士費用・司法書士費用の相場】
費用項目金額の相場(税別)支払う時期
法律相談料30分につき5,000円依頼前の法律相談
※無料の事務所もあり
着手金債権者1社につき1~5万円任意整理を依頼するとき
基礎報酬債権者1社につき2~5万円債権者との和解が成立したとき
減額報酬減額した金額の10%元金を減額できたとき
過払い金報酬回収額の15~20%過払い金を回収できたとき

一例として、債権者4社との任意整理を依頼する場合、依頼先の事務所の料金体系が以下のとおりであるとしましょう。

  • 法律相談料:無料
  • 着手金:1社あたり3万円
  • 基礎報酬:1社あたり3万円

元金の減額や過払い金返還請求ができない事案であれば、必要となるのは着手金と基礎報酬のみです。

このケースであれば、「(着手金3万円+基礎報酬3万円)×4社=24万円」となり、消費税を加えると26万4,000円です。

なお、繰り返しますが弁護士費用・司法書士費用の料金体系は事務所によって異なり、この金額はあくまでも一例に過ぎないことにご注意ください。

任意整理を弁護士・司法書士に依頼するメリット

弁護士費用・司法書士費用は、安いとはいえません。そこで問題となるのは、任意整理を弁護士・司法書士に依頼することで費用に見合うメリットが得られるのか、ということでしょう。

任意整理を弁護士・司法書士に依頼することで得られるメリットは、以下のとおりです。

債権者からの督促が止まる

弁護士・司法書士は、任意整理の依頼を受けるとすぐ、債権者宛に受任通知を送付します。この受任通知が債権者に到達すると、督促が止まります。

なぜなら、貸金業者は弁護士・司法書士からの受任通知を受け取った後に、債務者に支払いを直接請求することが貸金業法で禁止されているからです。

その後は和解が成立するまで返済する必要もありませんので、落ち着いて任意整理手続きを進めることができるようになります。

すべての手続きを一任できる

任意整理の手続きは、自己破産や個人再生に比べれば簡易的なものであるとはいえ、それなりの時間と手間を要する上に、精神的な負担もかかります。

特に利息引き直し計算と、債権者との交渉は慣れていない人にとって容易なことではありません。対象とする債権者の数だけ同じ手続きを行わなければならないので、手続きの負担が重くなります。

弁護士・司法書士は、依頼を受ければ代理人としてすべての手続きを依頼者に代わって行います。

依頼者は自分で難しい手続きを行う必要がなく、弁護士・司法書士からの報告を受け、必要に応じて打ち合わせを行うだけで任意整理を進めることが可能です。

過払い金を見落とす心配がない

取引履歴の利息引き直し計算を自分で行うとミスが生じやすいものですが、弁護士・司法書士に依頼すればスタッフが正確に行ってくれます。そのため、過払い金が発生しているのに見落としてしまう、といった心配がなくなります。

過払い金返還請求の手続きも、そのまま弁護士・司法書士に任せることが可能です。任意の交渉でも、自分で交渉する場合よりは高額の過払い金を取り戻すことが期待できます。希望すれば、裁判を起こして全額を取り戻してもらうこともできます。

有利な和解が期待できる

借金が残る場合でも、弁護士・司法書士を通じて交渉した方が、有利な条件での和解が期待できます。弁護士・司法書士は借金に関する法的知識を豊富に有し、交渉術にも長けているからです。

債権者にとっては、債務者に弁護士・司法書士が付くと、弁護士・司法書士の言い分を尊重して和解しなければ、裁判をしない限り債権を回収できないという事情もあります。

家族にバレるリスクが最小限となる

任意整理を弁護士・司法書士に依頼した後は、債権者との連絡窓口はその弁護士・司法書士の事務所に一本化されます。そのため、家族に借金のことがバレるリスクが減ります。

事務所と連絡を取り合うことは必要ですが、連絡方法については便宜を図ってもらうことが可能です。電話連絡は着信通知を見て折り返すようにしたり、和解書などの書面は自宅に郵送するのではなく自分で事務所まで取りに行くようにしたりすると、家族にバレる心配はほとんどなくなります。

弁護士・司法書士に任意整理を依頼するか迷っている方へのQ&A

任意整理を弁護士・司法書士に依頼するメリットは大きいといえます。ただ、費用は安くはないため、依頼するかどうか迷う方も少なくないことでしょう。

そこで、最後に弁護士・司法書士に任意整理を依頼するか迷っている方のよくある疑問に対してお答えします。

手続きの途中から依頼できる?

できます。
自分で任意整理の手続きを始めてみて、難しいと感じたらどの段階からでも弁護士・司法書士に依頼することが可能です。

それだけでなく、和解が成立した後でも弁護士・司法書士に依頼して、改めて任意整理をすることもできます。自分で任意整理手続きを完了させたものの、和解後の返済が苦しいと感じる場合は、早めに弁護士・司法書士に依頼することをおすすめします。

過払い金返還請求だけを依頼することは可能?

可能です。
先ほどもご説明したように、過払い金返還請求の手続きを自分で進めると、損をする可能性が高いというのが実際のところです。

任意整理の交渉がうまくできなくても積極的な損害が生じるわけではありません。それに対して、過払い金返還請求の交渉や裁判をうまく進めることができなければ、戻ってくるはずのお金を十分に取り戻せないという意味で損害が生じてしまいます。

利息引き直し計算の結果、過払い金が発生している場合には弁護士・司法書士に相談することをおすすめします。

弁護士・司法書士への依頼で費用倒れになることはない?

基本的にはありません。
先ほど、債権者4社との任意整理を依頼する場合の弁護士費用・司法書士費用の一例として「26万4,000円」との計算例をお示ししました。

仮に4社に対する借金総額が200万円で、金利は全社とも18%、返済回数が46回だとすると、約定どおりに返済すると78万3,024円もの利息を支払うことになります。

弁護士・司法書士に依頼して任意整理をすると、基本的にこの利息は全額カットすることが可能です。そうすると、弁護士費用・司法書士費用を差し引いても50万円を超える利益が得られます。

なお、借金額が少ない場合や、金利が低い場合には費用倒れとなるケースもあり得ます。ですが、その場合には事前に弁護士・司法書士からその旨の説明があり、納得できた場合にのみ依頼すればよいので、心配はいりません。

まとめ

任意整理は自分でできますので、本記事をご参考にしながら手続きを進めてみるのもよいでしょう。ただし、自分で任意整理をすることで生じ得るデメリットにはくれぐれもご注意ください。

もし、自分で任意整理を始めてみて厳しいと感じたときには、早めに弁護士・司法書士に相談しましょう。専門家の力を借りた方が、結果的には納得のいく結果が得られる可能性が格段に上がるものです。

また、自分で任意整理をしたい方もセカンドオピニオンを聞くだけでも意味がありますので、任意整理を始める前には借金問題に強い弁護士・司法書士に相談だけでもして、専門的なアドバイスを受けた方がよいでしょう。

執筆者かつ9312

元弁護士。関西大学法学部卒。15年にわたり、債務整理、交通事故、相続をはじめとして、オールジャンルの法律問題を取り扱う。
債務整理では、任意整理、個人再生、自己破産の代行から過払い金返還請求、闇金への対応、個人再生委員、破産管財人、法人の破産まで数多くの事案を担当経験する。

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