- 債務整理は法律で認められた借金整理の手続きである
- 借金返済が苦しい場合、債務整理をするのは適切な選択である
- 任意整理、個人再生、自己破産から自身にあう手続きを選んでおこなう
- クレジットカードは使えなくなるが、その他の日常生活のデメリットは少ない
- 債務整理は、弁護士・司法書士に依頼するのが確実な方法である
コロナ禍において借金に悩む人が増えていますが、多額の借金を抱えて返済が困難になったときの借金解決方法をご存知でしょうか。その手続きが「債務整理」です。
「借金生活から抜け出す」「生活を立て直す」ための手段として、たくさんの方が利用していますので、ぜひ検討なさってはいかがでしょうか。
この記事では、債務整理とは何か?その特徴やメリット・デメリット、さらには弁護士・司法書士への依頼方法についてわかりやすく解説します。
借金整理を適切な方法でおこなうために参考になさってください。
債務整理とは
債務整理とは何か?わかりやすくマンガ動画にまとめました。債務整理のポイントをざっくり理解することができますので、記事を読み進める前にご覧になってください。
債務整理とは、債権者との交渉により借金を大幅に減額できたり、裁判所を介して借金を帳消しにすることができる、国が認めた救済手続きです。
現在、日本では1,000万人以上が消費者金融などの貸金業者を利用し、その内の200万人は借金返済が困難な多重債務に陥っていると言われています。
利用者数 | 1,015.1万人 |
---|---|
2件以上借入した人数 | 225.0万人 |
【出典】日本信用情報機構 登録の状況 2022年度
※ 利用者数は残高有り情報の登録人数を使用
債務整理には4つの種類がありますが、それらの中から、ご自身の「借入状況」「返済能力」「手続き方法」などを考慮して、自分に合った最適な手段を選択します。
債務整理の主な種類は下記の通りです。
任意整理 | 個人再生 | 自己破産 | |
---|---|---|---|
借金の減額幅 | △ 月々の返済額が減る | ○ 借金が1/5まで減額 | ◎ 借金返済免除 |
手続きの期間 | ◎ 1~3ヶ月 | △ 約6ヶ月 | ☓ 6~12ヶ月 |
官報への掲載 | ☓ 載らない | ○ 住所・氏名が掲載 | ○ 住所・氏名が掲載 |
会社・家族にバレる? | ◎ バレない | ○ バレずに手続き可 | ○ バレずに手続き可 |
仕事 | ○ 影響なし | ○ 影響なし | ○ 一部の仕事につけない |
自家用車 | ○ 影響なし | △ ローンがあれば手放す | ☓ 手放すことになる |
マイホーム | ○ 影響なし | ○ 影響なし | ☓ 手放すことになる |
※特定調停について
上記の他にも、裁判所が選定した調停委員を介しておこなう「特定調停」という手続きがあります。
この特定調停は、借金の減額幅が少ない割には書類の用意や手続きに手間が必要です。そのため、ここでの解説は省略させていただきます。
債務整理をするメリット・デメリットとは
債務整理のメリットは、法的な手段に基づいた手続きにより、「借金の返済額を減額できる」「返済を免除してもらえる」ことです。さらに、弁護士や司法書士に債務整理の依頼をすれば、その時点で貸金業者からの催促や取り立てをストップできます。また、過払い金があれば返還請求をすることで、貸金業者に払い過ぎた利息が返ってくることもあります。
反対に、債務整理のデメリットとしては、新たな借入ができません。クレジットカードの作成も5〜10年程度できなくなります。また、弁護士や司法書士に依頼すれば費用がかかることがあげられます。
しかし、将来的に返済の見通しが立たないのであれば、債務整理は借金問題を解決するための最も有効な手段です。専門家に依頼して、どの債務整理の方法がご自身にとって適切であるか相談することを強くお勧めします。
債務整理の4つの種類
債務整理の4つの手続きについて詳しく説明します。
任意整理
任意整理とは、債権者と債務者(あるいは代理人)の当事者同士が交渉をおこない、将来発生する利息をカットするなどして借金減額をする手続きです。残った債務は3~5年で分割払いにより完済します。
また、債権者を選んで減額交渉をすることができますので、例えば自家用車を残したい場合にはカーローンはそのままにして、他の債務だけを任意整理するということが可能になります。
任意整理は、債務の減額幅は大きくないですが、債務者を選んで柔軟に交渉できるのが特徴です。借金総額は大きくないけれど、複数の債権者から借り入れしている方におすすめの手続きと言えるでしょう。
任意整理のメリット
任意整理のメリットは以下のとおりです。
- 借金が減額できて計画的な返済ができる
- 裁判所に申し立てず当事者同士で話し合うため、手続きから解決までのスピードが早い
- 引き直し計算(過払い金)によって元金が減る可能性がある
- 任意整理の対象とする債務を選べる(家、車のローンなどは除外することが可能)
任意整理のデメリット
任意整理のデメリットは以下のとおりです。
- ブラックリストに載る
- 貸金業者が話し合いに応じない可能性がある(任意の協議となるため強制力はない)
- 返済ができない場合、貸金業者に給料などを差し押さえられる可能性がある
個人再生
個人再生(個人版民事再生)とは、裁判所を介して借金を大幅に減額する手続きです。裁判所に再生計画案を提出して、それが認可されれば、マイホームや車などの財産を残しながら借金は約1/5ほど大幅に減額することができます。そして、残った債務は3~5年をかけて分割払いで完済します。
個人再生は前述のように「不動産(家、マンションなど)」は処分せずに借金整理をしたいという方や多額の債務を大幅に圧縮したいという方に最適な手続きです。
個人再生のメリット
個人再生のメリットは以下のとおりです。
- 再生計画案が通れば大幅な借金減額が可能
- マイホームを失わずに債務整理できる
- 給与の差し押さえを止められる
個人再生のデメリット
個人再生のデメリットは以下のとおりです。
- 手続きが複雑なため、他の債務整理と比べ費用や時間がかかる
- 利用できるのは裁判所の認可を得た場合のみ
- 将来に渡って給与等の収入があり、裁判所に再生計画案を認可してもらわなければ利用できない
自己破産
自己破産とは、裁判所に申し立てをおこない借金免責をする手続きです。支払い能力がないことを裁判所に認めてもらうことで、すべての借金の返済義務が免除されます。ギャンブル、浪費など借金の原因によっては裁判所から免責許可がおりないケースがあります。
個人再生と違って、マイホームや車などの資産は手放さなければなりません。ただし、すべての財産が没収されるという訳ではなく、生活するために最低限必要なものは残されます。
自己破産は、「将来的に完済できる見込みがない」「収入よりも返済額が大きく上回る」ような借金を抱えてしまった方に適した手続きです。
自己破産に対してネガティブなイメージを持つ方は多いようですが、一部の職業に従事できないなど多少デメリットはありますが、仕事や生活に支障をきたすことは少ないです。
自己破産のメリット
自己破産のメリットは以下のとおりです。
- 裁判所に免責が許可されれば借金返済免除となる
- 貸金業者による給与の差し押さえをストップできる
自己破産のデメリット
自己破産のデメリットは以下のとおりです。
- マイホームや車などの資産は手放さなくてはならない
- 職業制限がある(士業、公務員、警備員など)
- 借金の原因が浪費、ギャンブル、投資などは免責不許可になることがある
特定調停
「特定調停」とは、債権者(貸主)と債務者(借主)の間に簡易裁判所が仲裁役として入り、当事者の合意によって返済金の減額などを行う公的な支援制度です。
特定調停は、手続きにかかる費用が他の債務整理に比べて安いというメリットがありますが、その代わり、「手続きが複雑」「合意まである程度の期間を要する」といったデメリットも存在します。
特定調停は弁護士や司法書士を代理人として立てないため、費用は安く抑えることができますが、必要書類の作成などを自分で行う必要があります。また、平日の日中に裁判所へ出廷する必要があります。
特定調停は裁判所の手続きや債務整理に詳しくて、時間的に余裕がある方に適した手続きと言えるでしょう。
特定調停のメリット
特定調停のメリットは以下のとおりです。
- 手続きにかかる費用が安い
- 調停委員を介するため債権者との直接の交渉は不要
- 差押え手続きの停止が可能
特定調停のデメリット
特定調停のデメリットは以下のとおりです。
- 交渉に債権者が応じない場合がある
- 過払い金の返還を受けるには別途手続きが必要
- 債権者からの取立が止まるまで時間がかかる場合がある
過払い返還金請求
過払い金請求とは、支払い過ぎた利息を貸金業者に返還請求する手続きのことです。2010年に施行された改正貸金業法により、利息制限法の制限金利(15〜20%)を超える利息は過払い金として扱われます。
正確には債務整理ではありませんが関連する手続きです。
かつて、出資法上限金利(29.2%)と利息制限法(15~20%)の間のグレーゾーン金利と呼ばれる利率で貸し付けていた貸金業者はたくさんいました。その払い過ぎた利息である「過払い金」を貸金業者に返還請求すればお金が戻ります。
ただし、完済日から10年で時効になるため、早めの請求が必用です。過払い金返還請求は自分でもできますが、利息の引き直し計算から貸金業者への請求交渉など、簡単ではありませんので弁護士・司法書士への依頼がおすすめです。
過払い金請求のメリット
過払い金請求のメリットは以下のとおりです。
- 払い過ぎた利息が戻ってくる
- 借金完済済みの場合は請求してもブラックに登録されない
- 任意整理と併せて手続きをすれば借金が相殺できる可能性がある
過払い金請求のデメリット
過払い金請求のデメリットは以下のとおりです。
- 借金返済中に過払い金請求をするとブラックに登録される
- 完済日から10年経つと時効により過払い金請求ができない
- 貸金業者が倒産している場合は請求が困難になる
債務整理したらどうなる?
ここまで読んできて債務整理に興味を持ったけれど、実際にその後の生活はどうなるのか?心配になる方もいらっしゃるでしょう。
プラス面とともにマイナス面もしっかり理解した上で検討しましょう。
ブラックリストに登録される
ブラックリストに登録されるというのは貸金業者が契約している信用情報機関に金融事故として記録が残ることです。以下の3つが主な信用情報機関ですが、任意整理、個人再生、自己破産をすれば、期間は異なりますが、ブラックリストに登録されます。
JICC (日本信用情報機構) | CIC | KSC (全国銀行個人信用情報センター) | |
---|---|---|---|
任意整理 | 完済から5年後 | 完済から5年後 ※1 | 完済から5年後 ※1 |
個人再生 | 完済から5年後 | 完済から5年後 ※2 | 再生手続開始から10年 |
自己破産 | 免責許可決定から5年 | 免責許可決定から5年 | 破産手続開始から10年 |
※1 任意整理の事実は登録されませんが延滞の情報は登録されます。
※2 ※1と同様に個人再生の事実は登録されませんが延滞の情報が登録されます。
【出典】
- 日本信用情報機構「<詳細版>『信用情報記録開示書』項目説明書」
- CIC 「CICが保有する信用情報」
- CIC 「裁判所へ特定調停や民事再生を申請した場合、および弁護士・司法書士に債務整理を依頼した場合、自分の信用情報にその事実がコメントとして登録されますか?」
- CIC 「自己破産の登録は何年間ですか?」
- 全国銀行個人信用情報センター「登録情報開示報告書の見方について」
なお、ブラックが解除されたかどうかは、それぞれの信用情報機関に照会して確認することができます。
信用情報機関の主な会員は以下の通りです。(各会社のHPを調査)
凡例 [〇:加盟] [×:未加盟]
JICC | CIC | KSC | |
---|---|---|---|
アイフル | 〇 | 〇 | × |
アコム | 〇(ローン事業のみ) | 〇 | × |
イオンカード | × | 〇 | × |
SMBC | 〇 | 〇 | 〇 |
SMBCモビット | 〇 | 〇 | × |
プロミス | 〇 | 〇 | × |
楽天カード | 〇 | 〇 | × |
レイク | 〇 | 〇 | × |
加盟会員の一覧は各機関の公式サイトで確認できます。
クレジットカードは使えない・ローンも組めない
債務整理後は、金融ブラックとして扱われるため、その期間クレジットカードは使えなくなります。新たにカードを作ることも新規のローンを組むこともできませんので、生活はやや不便になるでしょう。
このクレジットカードを使えなくなることを理由に債務整理を敬遠される方は多いようです。しかし、家族がいる方ならば、その家族カードは使えます。デビットカードならば、審査が通る可能性もありますので、代替え手段として検討されるとよいでしょう。
保証人にはなれない
債務整理をすると保証人になることはできません。例えば、住宅ローンの保証人を頼まれた場合、審査は保証人にまで及びますので、金融ブラックであることがデータに残っていた場合、審査自体通らなくなります。
債務整理のよくある誤解とは
債務整理をすると、ご自身の生活や将来に大きなマイナスの影響が生じるのでは?と不安に思われる方は少なくないようです。
しかし、その中には多くの誤解が含まれます。代表的なよくある誤解についてご紹介します。
戸籍・住民票に記録が残る?
債務整理をしても公的機関に記録が残ることはありません。戸籍や住民票に情報が記載されることはありません。
もちろん、免許証や健康保険証、マイナンバーカードなどにも記録されることはありません。役所や公的機関に行った際に、役人に債務整理がバレるということもありませんので心配は不要です。
結婚時に相手にバレる?
前述のように公的機関に登録はされません。婚姻届も書類に不備がなければ何ら変わらず受理されます。債務整理をしたことを相手に伝えない限り基本的にバレることはないでしょう。
近所の住民・知人にバレる?
債務整理をすると周囲の人たちから「クズ扱いされる…」と不安に思われる方は多いです。個人再生、自己破産をした場合、官報という国の広報誌に氏名・住所が掲載されますが、実際に読んでいる人はほとんどいません。
依頼した弁護士・司法書士には守秘義務がありますので、ここから情報が漏れることもありません。つまり、自分から言わなければ債務整理したことが近隣にバレる可能性は低いです。
車、住宅はすべて没収される?
債務整理をすると無条件に車、住宅などの財産を没収されるのでは?と心配される方がいます。しかし、任意整理ならば自動車ローン・住宅ローンを整理対象から外せば手放す必用はありません。
個人再生も住宅ローンを対象外にすることができます。唯一、自己破産のみが債務免責を条件に車、住宅、高級品などが差し押さえの対象になります。
生活保護受給中には債務整理はできない?
生活保護受給中であっても借金が残っている場合、債務整理は可能です。ただし、借金を返済するために受給しているとみなされると、生活保護は打ち切られる可能性があります。
生活保護受給中あるいは受給前は、自己破産の手続きを選択して借金をゼロにするのがよいでしょう。打ち切りされないように、弁護士・司法書士にアドバイスを受けた上で手続きを進めることをおすすめします。
法人は債務整理できない?
債務整理は個人しかできないと思われている方は多いようですが、法人も可能です。その方法は大きく会社を再建する手続きと会社をたたむ精算手続きに別れます。破産、会社更生、特別清算など法人の場合、用語は異なりますが、債務整理であることに違いはありません。また、法人の債務整理では代表者も同じく手続きが必用になります。
債務整理の手続きの流れと要する期間
弁護士・司法書士に相談 | 任意整理が可能かどうか判断 |
---|---|
弁護士・司法書士 | 専門家と契約後に受任通知を債権者に送付 以降は取立てが停止 |
引き直し計算 | 取引履歴を元に利息を再計算 過払い金が判明する場合も |
和解交渉 | 債権者と利息免除について交渉 |
返済 | 和解成立後、残った借金を3年間かけて分割返済 |
弁護士・司法書士 | 個人再生が可能かどうか判断 |
---|---|
弁護士・司法書士 | 専門家と契約後に受任通知を債権者に送付 以降は取立てが停止 |
個人再生の申立て | 必要書類を準備し裁判所に申立てを行う |
再生計画案の提出・決議 | 返済計画を提出し、債権者が認可・不認可を決める |
返済 | 個人再生の認可決定後、減額後の借金を分割返済 |
弁護士・司法書士 | 自己破産が可能かどうか判断 |
---|---|
弁護士・司法書士 | 専門家と契約後に受任通知を債権者に送付 以降は取立てが停止 |
自己破産の申立て | 必要書類を準備し裁判所に申立てを行う |
財産の換金 | 破産管財人が債務者の財産を換金 |
免責審尋 | 裁判官と面接して自己破産の可否を判断してもらう |
免責許可決定 | 自己破産の許可が下りれば借金が0円に |
債務整理の費用相場
債務整理の費用は弁護士・司法書士によって金額が異なります。ここでは、「任意整理」「個人再生」「自己破産」の一般的な費用相場を手続きごとにご説明します。
※できるだけ安く債務整理をしたいならば、いくつかの弁護士・司法書士に相談して見積りを出してもらうと良いでしょう。また、費用は分割払い・後払いに対応している事務所もありますので、相談してみましょう。
任意整理の費用相場
任意整理は、債権者(貸金業者)と交渉をおこない返済額を減額させる手続きです。そのため、債権者数に応じて費用が追加発生します。
- 着手金(1社あたり):3~5万円前後
- 減額報酬:10~20%
- 過払い金がある場合の報酬:20%~
債権者数によって金額が変わったり(多いほど安くなる)、減額報酬を取らない事務所もあります。
個人再生の費用相場
個人再生は、裁判所を介して借金を大幅に減額させる手続きです。裁判所への費用、弁護士・司法書士費用、実費などがかかります。住宅を手放さずに個人再生をする場合、住宅ローン特則という制度を利用するため費用が追加されます。
- <住宅ローンなし>
- 着手金:20万円~
- 成功報酬:20万円
- <住宅ローンあり>
- 着手金:30万円~
- 成功報酬:30万円~
また、民事再生委員報酬が20~25万円ほどかかります。実費など含め総額50~80万円が個人再生の費用相場となります。
自己破産の費用相場
自己破産は、裁判所を介して借金を免責にする手続きです。手続きは同時廃止事件(申立人に財産があるケース)と管財事件(申立人に一定以上の財産があるケース)、少額管財事件(管財事件を簡略化)によって手続きと費用が変わります。
- <同時廃止事件>
- 裁判所費用:1~3万円
- 弁護士・司法書士費用:20~50万円
- <管財事件>
- 裁判所費用:50万円
- 弁護士・司法書士報酬:30~80万円
- <少額管財事件>
- 裁判所費用:20万円
- 弁護士・司法書士報酬:30~60万円
自己破産は費用は高額になりますが、手続きが煩雑で難しいため弁護士・司法書士に依頼しておこなうケースが大半です。
債務整理を弁護士・司法書士に依頼するメリット
債務整理の手続は自分でもできますが、専門知識や交渉ノウハウが要求されます。
債務整理に詳しくない個人が貸金業者と交渉しても足元を見られて大幅に減額ができない、裁判所では自分の主張が考慮されないなど、納得できない解決結果になる可能性が高くなります。
そのため、債務整理に強い弁護士・司法書士に依頼して交渉・手続きを任せるのが賢明です。弁護士・司法書士に依頼すればどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。
受任通知の送付により取り立てが止まる
弁護士・司法書士に依頼をして委託契約が成立すれば、これら専門家は債権者にすぐに受任通知を送付します。受任通知とは、「今後は依頼者の代理人として交渉代行をしますよ」という連絡通知のことです。
この通知を受け取ったら、債権者は債務者に対して直接の連絡を禁じられます。取り立て・催促などができなくなりますので、電話やメールが一切来なくなります。そのため、安心して普段どおりの生活が送れるようになるでしょう。
その人に合った手続きを提案してくれる
個人の場合、債務整理をしようにも専門知識を持たないため、そもそもどの手続が自分に合っているのか選びようがありません。
弁護士・司法書士ならば、借金件数、債務額、収入、財産、などを依頼者にヒアリングして、返済能力などを加味して最適な債務整理の手続きを提案してくれます。
当然、依頼者の希望やリクエストなども聞いた上で提案しますので、納得できる解決方法を選択することができます。
大幅な借金減額が可能になる
債務整理の知識を持たない個人が債権者と交渉しても、十分に債務が減額できないケースが考えられます。そもそも相手にされないことも少なくありません。時間ばかりがかかって、その間も債務の返済はまったなしです。
仮に債権者が交渉に応じてくれても、知識を持たないために言いくるめられて、少額の減額で妥協させられる可能性が高くなるでしょう。弁護士・司法書士に依頼すれば、最大限の結果を導きだしてくれることを期待できます。
交渉・手続きをすべて任せることができる
債務整理は、債権者との交渉、利息の引き直し計算、事務手続きなど、慣れない面倒なことを自分で行わなくてはなりません。しかし、弁護士・司法書士に依頼すれば、これらの交渉・手続きをすべて任せることができます。
定期的に進捗報告を受けるだけで済みますので、気持ちを楽にして債務整理を進めることができるでしょう。
家族や会社にバレずに手続きができる
家族や会社には内緒で借金をしていたので、「バレずに債務整理をしたい」とお考えの方は多いようです。自分で債務整理をすれば、当然ながら、債権者や裁判所からの連絡や郵便物が自宅に届きます。また、債権者の中には会社に平気で連絡を入れてくる業者もいます。
弁護士・司法書士に依頼すれば、連絡や郵便物は事務所が受け取ります。債権者からの連絡も代理人のみとなりますので、個人に直接連絡が行くことはないでしょう。
弁護士・司法書士に事前に「家族に知られたくない」と伝えておけば、バレないように連絡手段も配慮してくれます。
債務整理を弁護士・司法書士に依頼するデメリット
一方、債務整理を弁護士・司法書士に依頼した場合のデメリットというものもあります。
費用がかかる
もっとも大きなものは費用面です。弁護士・司法書士は法律の専門家ですがボランティアではありませんので、債務整理を依頼した場合に費用がかかります。
しかし、弁護士・司法書士を入れて債務を減額できれば、その分、返済する総額は大きく減ることになりますので、どちらが得かは言うまでもありません。
もしも費用倒れにならないか心配ならば、どれぐらい金額差が生じるか、見積りを出してもらうとともに試算してもらいましょう。
辞任されるケースがある
いざ債務整理の手続きが始まってから弁護士・司法書士が辞任するケースがあります。これは、弁護士・司法書士に問題があるというよりも、依頼者側に問題がある場合によく起きます。
「依頼者が言うことを聞かない」「連絡が取れない」「費用を払わない」などが続くとさすがに債務整理の手続きは続行不可能と判断されて、辞任されることになります。
債務整理は弁護士と司法書士はどちらを選べばいいのか?
債務整理の業務内容においては、弁護士と司法書士はどちらもさほど違いはありません。
ただし、司法書士は1案件が140万円を超える場合、取り扱うことができません。一方、弁護士は限度額というものが設けられていません。
そのため、「多額の借金がある」「140万円を超える過払い金がある」というようなケースでは、弁護士を選ぶほうが良いでしょう。なお、費用面においては一般的に弁護士よりも司法書士が安く設定している事務所が多いようです。
実際に債務整理をした方の体験談を紹介
ここまでで債務整理のメリットはご理解いただけたと思います。しかし、実際にどの程度借金を減らすことができるのかについて、もっと詳しく知りたい方も多いと思われます。
ここでは、債務整理SOSに寄せられた実際の体験談をご紹介します。
任意整理の体験談|43歳男性・会社員
年齢・性別 | 職業 | 毎月の返済額 |
---|---|---|
男性・43歳 | 会社員 | 75,000円→48,000円 |
証券会社のオプション取引の失敗をきっかけに作った借金を任意整理で解決しました。
取引の失敗をきっかけに、負けを取り戻そうと複数の消費者金融や銀行のカードローンから借金を重ねていたところ、最終的に借入が300万円まで膨れ上がってしまいました。
厳しい取り立てなどはなかったものの、月収のほとんどを借金の返済に充てる日々を続けているうちに、精神的に耐えられなくなり弁護士に相談しました。
弁護士に依頼して、銀行や複数の消費者金融と任意整理の交渉をしてもらった結果、借金残高を半額の150万円にしてもらうことができました。さらに、利息なしで3年間かけて完済するという好条件で合意することができました。
借金を返済していくことに変わりはありませんが、借金返済という明確なゴールが見えたため精神的なストレスが減りました。仕事を頑張ろうという気持ちを持つことができるようになったのも嬉しいポイントです。
個人再生の体験談|39歳男性・派遣社員
年齢・性別 | 職業 | 毎月の返済額 |
---|---|---|
39歳・男性 | 派遣社員 | 60,000円→30,000円 |
カードローンで作った借金を個人再生で解決しました。
派遣先からの急な解雇により、月々のアパート代が払えなくなってしまい、やむなく消費者金融のカードローンを利用することになりました。しかし、仕事がなかなか決まらなく借入先を増やしていき、気づいたら多重債務者になってしまいました。
個人再生をする前は、自宅に大量の督促状が届いたり、消費者金融の担当者が自宅に訪ねてくることがありとてもつらかったです。インターネットで調べたところ債務整理を知り、専門家の力を借りようと思い弁護士に相談しました。
弁護士に依頼して個人再生を行ったところ、430万円から100万円まで借金を減額することができました。月々の返済額も3年間で約3万円返済していくプランになりかなり楽になりました。また、ストレスの原因であった取り立てからも開放されとても助かりました。
自己破産の体験談|40歳女性・保育士パート
年齢・性別 | 職業 | 借金の総額 |
---|---|---|
40歳・女性 | 保育士パート | 300万円→0円 |
子どもの学費を賄うために作った借金を自己破産で解決しました。
30代のときに子どもを連れて離婚をしました。しかし、慰謝料や養育費を一切もらうことができなかったこともあり、パートでフルタイム働きながら苦しい生活を送っていました。
子どもの高校受験があり、学費の安い公立高校を受験してもらったものの不合格となり、学費の高い私立の高校へ通うことになりました。学費は思ったよりも高額で、あっという間に貯金がなくなってしまいました。
そしてやむなくお金を借りるようになってしまい、気づいたときには自転車操業になっていました。どうしてもお金を返せなくなり困り果ててしまい、弁護士に相談しました。
私は家や自動車などの財産を持ち合わせていなかったため、自己破産にて借金を整理することにしました。結果として免責許可が降り、全ての借金がゼロになりました。
これまで自分の服も買うことが出来ず、いつもお腹を空かせていましたが、やっと普通の生活が出来る様になりました。子供も高校を卒業して働きだしたので、2人で力を合わせて頑張っていきたいと思います
まとめ
債務整理は、借金返済に苦しむ方を救うことができる有力な解決方法です。借金減額、債務免責という手続きは債務整理でしかできませんので、お悩みの方はすぐにでも検討されることをおすすめします。
また、債務整理をされる際には借り入れ状況や返済見込みなど様々な状況を考慮して決める必要があります。そのため、法律の専門家であり借金問題に強い弁護士や司法書士に依頼して進めるのが良いでしょう。