過払い金とは?発生する仕組みから返還請求の方法までわかりやすく解説

過払い金とは?発生する仕組みから返還請求の方法までわかりやすく解説
この記事でわかること

過払い金とは

  • 貸金業者に対して支払いすぎた利息を取り戻す手続きである
  • 2010年6月よりも前に借金をした人が対象となる手続きである
  • 貸金業者との交渉や裁判が必要。弁護士・司法書士に依頼するのが一般的である
  • 多額の借り入れをして、長期間返済した人ほど多く取り戻せる手続きである

「過払い金」とは、本来払う義務がないのにも関わらず、カードローンや借金で債権者に支払いすぎていたお金のことです。

貸金業者と長年取引を続けていると、過払い金が発生している可能性があります。過払い金を借金残高に充当すれば元金を減額することができますし、完済している場合はお金を取り戻すこともできます。

この記事では、

・過払い金の基礎知識
・過払い金が発生する仕組み
・過払い金の返還請求の方法

以上3点をわかりやすく解説します。

過払い金とは

「過払い金」とは、貸金業者に支払いすぎたお金のことです。

なぜ貸金業者にお金を支払いすぎるのかというと、借金の利息を、債権者に支払いすぎることがあるためです。

払いすぎた利息は取り戻せる

貸金業法が改正された2010年以前は、多くの貸金業者が、利息制限法で制限された金利を超える金利で貸付を行っていました。これを、「グレーゾーン金利」といいます。しかし、利息制限法の上限を超えて支払った利息は払いすぎとなるため、取り戻すことができます。

この払いすぎた利息が過払い金と呼ばれるものです。

過払い金が発生する仕組み

貸金業者の貸出金利を規制する法律は2つあります。そのひとつが「利息制限法」で、もうひとつは「出資法」という法律です。

利息制限法では、貸出の元金の額に応じて上限金利が以下のように定められています。

元金の額上限金利
10万円未満年利20%
10万円以上100万円未満年利18%
100万円以上年利15%

一方の出資法では、2010年6月までは年利29.2%が上限金利とされていました。出資法の上限金利を超える貸付に対しては罰則が定められています。

利息制限法の上限金利と出資法の上限金利には差がありました。その差の範囲内の金利は、違法ではあるものの罰則が科されないため、「グレーゾーン金利」と呼ばれていました。

多くの貸金業者は、罰則が科されないことからグレーゾーン金利で貸付を行っていました。債務者は貸金業者の設定する金利で借り入れざるを得ないのが実情だったため、利息制限法の上限を超える金利での借り入れと返済が行われてきたのです。

適用金利(元金10万円未満の場合)違法性・罰則
~20%合法
20%~29,2%違法だが罰則なし
29.2%超違法かつ罰則あり

したがって、利息制限法の上限を超えて支払った利息は、過払い金となります。

なお、現在では法改正により出資法の上限金利も利息制限法と同じ20%に引き下げられているため、グレーゾーン金利は存在しなくなっています。

過払い金が発生する条件

貸金業者から借金をして返済をしていたすべてのケースで過払い金が発生するわけではありません。
過払い金が発生するためには、次の3つの条件をすべて満たすことが必要です。

グレーゾーン金利で取引したこと

すべての貸金業者がグレーゾーン金利で貸付を行っていたわけではありません。利息制限法の範囲内の金利での取引では、過払い金は発生しません。

主にグレーゾーン金利で貸付を行っていたのは、以下の業者です。

  • 消費者金融
  • クレジットカード会社(キャッシング)

一方、以下の取引は利息制限法の範囲内で行われています。

  • 住宅ローン
  • 自動車ローン
  • 教育ローン

概ね5年以上の取引があること

グレーゾーン金利で取引したことがあれば利息の払いすぎが発生しています。しかし、それによって元金が完済されるためにはある程度の期間、取引を継続していることが条件となります。

借入額や返済状況、追加の借り入れの有無などによって、取引期間はケースバイケースです。目安として、平均して概ね5年以上取引を続けていると、過払い金が発生している可能性が高いといえます。

ただし、過払い金が発生していなくても払いすぎた利息を元金に充当することにより、借金額は減額されます。

2010年6月よりも前に取引を開始したこと

上限金利を20%に引き下げる改正出資法が2010年6月18日に施行されたことにより、グレーゾーン金利は存在しなくなりました。

したがって、それ以降の取引によって過払い金が発生することもなくなっています。

取引の開始時期出資法の上限金利
2020年6月17日まで年利29.2%(グレーゾーンあり)
2020年6月18日以降年利20%(グレーゾーンなし)

過払い金が発生するためには、2010年6月よりも前に、概ね5年以上、グレーゾーン金利での取引を継続していることが条件となります。

過払い金の返還を請求できない場合とは

たとえば過払い金が発生していたとしても、その返還を請求できない場合があります。
次の3つの条件のうちどれか1つにでも該当すると、過払い金の返還を請求することはできません。

最終取引から10年が経過している

過払い金の返還請求権には、「消滅時効」があります。消滅時効とは、債権者が債務者に対して請求を行わずに、法律で定められた期間が経過した場合において、債権者の法的権利を消滅させる制度のことです。

貸金業者との最後の取引から10年が経過すると、過払い金返還請求はできなくなります。

返済を継続している限り時効は成立しませんが、完済すると時効の進行が始まります。

返済状況時効の進行
返済中進行しない
返済ストップ進行するが、貸金業者からの請求により中断する
完済進行する

貸金業者が倒産している

貸金業者が倒産してしまえば、もはや過払い金の返還を請求することはできません。

特に2006年ころから過払い金返還請求をする人が急増し、多くの貸金業者は多額の過払い金の返還を余儀なくされました。

さらに、その後の法改正によるグレーゾーンの撤廃で収益が低下したこともあって経営不振となり、倒産した貸金業者も多くあります。

現在のところ倒産していない貸金業者ではあっても、経営の悪化によって過払い金の返還請求に応じることができない貸金業者も少なくありません。

ただし、倒産したように見えても他社と合併したり事業譲渡をしている貸金業者に対しては、なお過払い金返還請求は可能です。

クレジットカードをショッピングのみに利用している

クレジットカードの利用については、キャッシングの場合は過払い金が発生する可能性がありますが、ショッピングの場合は過払い金は発生しません。

クレジットカードでのショッピング利用はカード会社からお金を借りるものではなく、代金を立て替えてもらうという仕組みになっています。

この場合、利息制限法ではなく「割賦販売法」という法律が適用されます。割賦販売法に基づく「分割手数料」は利息ではないので、過払い金は発生しないのです。

過払い金の返還を請求する方法

過払い金の返還請求は、弁護士や司法書士といった法律の専門家に依頼して行うのが一般的です。

自分で行う場合は、以下のように過払い金の額を計算した上で、貸金業者に請求する必要があります。

取引履歴の取り寄せ

過払い金の額を計算するためには、以下の情報をすべて正確に把握する必要があります。

  • 借り入れをした年月日と金額
  • 返済した年月日と金額

そのため、これらのデータが記載された「取引履歴」を貸金業者から取り寄せます。

利息引き直し計算

取り寄せた取引履歴はほとんどの場合、貸金業者が設定した金利を適用した計算結果が記載されています。

その取引履歴に記載された取引のすべてについて、利息制限法の上限金利を適用して計算し直します。

この作業を手作業でやるのは大変ですが、無料の利息制限ソフトを利用すれば簡単に計算することができます。

ただし、入力ミスや金利の選択ミスが生じがちなので、慎重に作業をする必要があります。

貸金業者へ請求書を送付

利息の引き直し計算の結果、過払い金が発生していたら貸金業者に返還を請求します。

通常は「過払い金返還請求書」を作成し、引き直し計算をした「利息計算書」を添付して郵送します。

請求書の様式に決まりはないので、インターネット雛形を見つけて利用するとよいでしょう。

和解交渉

請求書を郵送すると、しばらくした後に貸金業者から連絡が入り、和解交渉が始まります。

多くの場合は、貸金業者側の独自の計算結果に基づいて過払い金額を提示され、さらにその金額から何割かの減額を求められます。

和解で返還してもらえる割合は、概ね以下のとおりです。

  • 高いところで5~7割
  • 低いところで1~2割

満額の返還に応じる貸金業者は、現在ではほとんどありません。

和解できなければ裁判

和解するか裁判するかの判断基準は、以下のとおりです。

どちらを選ぶか求めること
和解回収額が少なくなっても早く返還してほしい場合
裁判時間はかかっても多く取り戻したい場合

裁判を起こすには、以下の書類を準備する必要があります。

  • 訴状
  • 証拠書類(利息計算書など)
  • 添付書類(貸金業者の登記事項証明書など)

提出する際は、印紙代や予納郵券などの実費も必要になります。

過払い金返還請求の裁判は通常、3か月~6か月程度で終了します。ただ、時効の起算点などの争点がある場合は1年以上かかることもあります。

勝訴判決が確定すれば貸金業者からの支払を待つことになりますが、支払われないときは差押え手続きが必要な場合もあります。

過払い金はどのくらい取り戻せるのか

過払い金をいくら取り戻せるかはケースバイケースですが、以下のような事情があると取り戻せる過払い金の額が大きくなる傾向にあります。

  • 借入額が大きい
  • 返済期間が長い
  • 約定金利が高い
  • リボ払いを利用していた

以下におおまかな目安をご紹介します。ただし、実際の過払い金額は利息引き直し計算をしてみないとわからないことに注意が必要です。

100万円以上取り戻せるケース

100万円以上の過払い金を取り戻せる可能性が高いのは、以下のようなケースです。

取引要素条件
借入額数百万円以上
返済期間10年以上
約定金利グレーゾーン金利

なお、改正出資法が施行される2010年6月までの上限金利は29.2%でしたが、昔は40.0004%や54.75%もの高金利で貸し出されていたこともありました。

そのような時代から取引していたとすれば、相当高額の過払い金を取り戻せるでしょう。

数十万円を取り戻せるケース

数百万円を借り入れたものの数年で完済したケースや、10年以上返済していたケースでも借入額が100万円程度までの場合の過払い金は数十万円程度となる可能性が高いです。

少額の借り入れでも、リボ払いを利用していた場合は返済額が同じでも利息の負担が大きくなります。そのため、数十万円の過払い金が発生している可能性もあります。

借金残高が減少するケース

グレーゾーン金利での取引が数年で、借入額も100万円程度にとどまる場合は、利息引き直し計算をしても元金が完済とならない可能性が高いです。

ただし、その場合でも払いすぎた利息は元金に充当されるため、借金残高は減少します。

過払い金返還請求のデメリットとは

借金の返済として支払ったつもりだったお金が戻ってくるメリットは大きいですが、過払い金返還請求には以下のようなデメリットもあります。

ブラックリストに載せられることもある

ブラックリストとは、貸金業者やクレジットカード会社などとの取引状況が記録される「信用情報機関」に登録された事故情報のことです。

借金の滞納などの事故情報が信用情報機関に登録されると、新たな借り入れやクレジットカードの利用ができなくなるというデメリットがあります。

利息引き直し計算をしても借金残高が残る場合、残債については約定どおりに支払えないという扱いとなり、ブラックリストに載せられてしまいます。

既に完済している場合や利息引き直し計算の結果完済している場合は、過払い金返還請求をすることによってブラックリストに載せられることはありません。

【日本にある信用情報機関】
「全国銀行個人信用情報センター(KSC)(公式HP)」
「株式会社シー・アイ・シー(CIC)(公式HP)」
「株式会社日本信用情報機構(JICC)(公式HP)」

満額を取り戻すには手間がかかる

過払い金を満額取り戻すには、裁判が必要不可欠です。

裁判手続きは複雑で、一般の人が自分で進めて勝訴するのは難しいため、弁護士や司法書士に依頼するのが一般的です。

専門家に依頼する費用がかかる

弁護士や司法書士といった専門家に過払い金返還請求を依頼するには、費用がかかります。

費用の相場は回収した過払い金の10~20%程度です。別途着手金が必要な事務所もありますが、着手金無料の事務所も多くあります。

着手金無料の事務所に依頼すれば、損をすることはありません。

過払い金を取り戻すために弁護士・司法書士ができること

過払い金返還請求の手続きは複雑で、個人で実行するのは難しいです。

裁判手続きも複雑ですが、利息引き直し計算でミスをすると損してしまいますし、貸金業者と個人で対等に交渉するのも困難です。

よって、過払い金として納得できる金額を取り戻すためには、弁護士・司法書士に依頼するのが得策です。

過払い金返還請求を弁護士・司法書士に依頼するメリットは以下のとおりです。

  • 過払い金の額を正確に計算できる
  • 複雑な手続きをすべて代行してもらえる
  • 過払い金の回収額が多くなる

まとめ

過払い金返還請求をすると、借金の返済として支払ったはずのお金の一部を取り戻すことができます。しかし、取り戻すためには貸金業者との交渉や裁判が必要なため、法律の専門家である弁護士や司法書士に依頼する必要性が高いといえます。

専門家に依頼すれば、利息引き直し計算から貸金業者との交渉、裁判手続きまですべての手続きを代行し得もらえます。

弁護士・司法書士の力を借りて、納得できる過払い金を取り戻しましょう。

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