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任意整理の再和解を成功させるには?できないときの対処法も解説

任意整理の再和解を成功させるには?できないときの対処法も解説
監修田島 聡泰 (たじま あきひろ) / シン・イストワール法律事務所

シン・イストワール法律事務所は借金問題に注力する法律事務所です。事務所を開設してから、これまで任意整理、個人再生、自己破産、過払い金請求など様々なケースの借金事案に対応してきました。

シン・イストワール法律事務所は借金問題に注力する法律事務所です。事務所を開設してから、これまで任意整理、個人再生、自己破産、過払い金請求など様々なケースの借金事案に対応してきました。

この記事でわかること
  • 任意整理の再和解を成功させるためには3つのポイントがある
  • 任意整理の再和解ができなくても借金の解決方法はある
  • 弁護士・司法書士に依頼することで任意整理の再和解がしやすくなる

任意整理で債権者と和解をすれば毎月の返済の負担を軽くすることが可能ですが、それでも3年~5年は返済を継続する必要があります。途中で返済が難しくなり、和解内容を見直してもらいたいと考えることもあるでしょう。

いったん任意整理した債権者と再度交渉し、新たな条件で和解することを「再和解」といいます。再和解ができれば完済を目指せるとしても、必ずしも自分の希望どおりに再和解できるとは限りません。

この記事では、任意整理の再和解ができるケースとできないケースをご紹介した上で、再和解を成功させるためのポイントと、再和解できない場合はどうすればいいのかについて分かりやすく解説していきます。

任意整理の再和解とは?

任意整理の再和解とは、いったん任意整理で和解した債権者と再度交渉し、新たな条件で和解することです。

そもそも任意整理は、裁判所を介さず債権者と直接交渉し、返済額と返済方法を取り決め直す手続きです。この取り決めの合意のことを和解といいます。

いったん和解すると、取り決めた内容のとおりに返済すべき法的義務が生じます。和解内容を一方的に変更することはできませんが、双方が合意すれば自由に変更できます。

当初の和解内容では返済が難しくなったときに、債権者と再度交渉し、返済可能な内容に変更してもらうために行う手続きが再和解です。

任意整理後に再和解できる?

任意整理後の再和解は可能ですが、無制限にできるわけではありません。以下で、具体的に解説します。

債権者が応じれば可能

任意整理は債権者と債務者が話し合いをおこない、双方が納得して合意(和解)する手続きです。債務者の要望に債権者が応じるのであれば、2回目の和解(再和解)は可能です。

そもそも任意整理のルールは法律で定められているわけではありません。回数制限もありませんので、理論上は3回目の和解(再々和解)、4回目の和解(再々々和解)……と、無制限に和解をやり直すこともできます。

和解条件は厳しくなりがち

もっとも、再和解では1回目の和解よりも和解条件が厳しくなりがちであることに注意が必要です。当初の和解条件を守れなくなった債務者は、債権者からの信頼を失っていることが多いからです。

そうでなくても、以下の理由によって和解条件が厳しくなるケースが多くなっています。

  • 1回目の和解で既に将来利息が免除されている
  • 返済期間も上限まで延長されている
  • 延滞した場合は遅延損害金が加算される

遅延損害金が発生している場合には、1回目の和解よりも返済額が増えてしまうことも少なくありません。ただ、延滞したことで一括返済を請求されている場合には、再和解で分割払いを認めてもらえるというメリットがあります。

再和解できないこともある

残念ながら、債務者から再和解を申し出ても、債権者が応じないケースもあります。

任意整理は話し合いの手続きですので、和解が成立するかどうかは債権者の意向にかかっています。債権者に合意を強制する手段はないので、債権者が応じなければ再和解はできません。

再和解をするのに法律上の制限はないものの、実際には無制限にできるものではないということになります。

任意整理後の返済ができず再和解もできないとどうなる?

任意整理後に返済できなくなり、再和解にも応じてもらえない場合に借金を放置すると、債権者は以下の手段をとってきます。

  • 残債務の一括返済を請求する
  • 遅延損害金を請求する
  • 支払えなければ裁判をした上で、財産を差し押さえる

任意整理の和解では通常、返済を2回以上怠ると一括返済すべき旨が定められています。貸金業者によっては、1回でも怠ると一括返済を請求するところもあります。

また返済を遅れているため、遅延損害金を請求されます。利率は、14.6%~20%が一般的です。

そして一括請求に応じない場合には差押えをしてきます。差押えの対象とされるのは、主に給料や預金口座などです。これらの財産を差し押さえられると、生活に支障をきたしたり、家族や職場の人に借金のことを知られてしまうことにもなるでしょう。

任意整理後の再和解を検討すべきケース

以下のケースでは、任意整理後の借金を放置せず、早期に再和解を検討することが重要となります。

和解後に2回以上延滞した

通常、和解後の返済を2回以上怠ると残債務の一括返済を請求されてしまいます。裁判や差押えを回避するためには、再度、分割払いを認めてもらう旨の和解をすることが必要です。

何回の延滞で一括返済を請求されるかは1回目の和解書に記載されていますので、早めに確認しておきましょう。

返済の継続が見込めなくなった

1回目の和解後に収入が減ったり、支出が増えるなどして、和解内容のとおりに返済を続けることが難しくなることもあるでしょう。その場合は、返済継続が難しいことが判明した時点で、再和解を検討すべきです。

放置していると、やがて返済できなくなり、最終的に裁判や差押えに進んでしまうことになるからです。

1回目の和解を弁護士・司法書士に依頼しなかった

1回目の和解を弁護士または司法書士に依頼せず、自分で行った場合には再和解で事態を改善できる可能性が比較的高いといえます。

債権者は、自分で任意整理をする債務者に対しては、無知に乗じるかのようにして不利な和解条件を押しつけてくることが多いからです。具体的には、以下のような条件で和解しているケースが多数見受けられます。

  • 将来利息が免除されていない
  • 過払い金が差し引かれていない
  • 返済期間が短期に設定されている(36回以内など)

弁護士・司法書士という法律の専門家に依頼すれば、債権者も最大限の交渉に応じてくる傾向にあるので、再和解でこれらの点を改善できる可能性が十分にあります。

任意整理後の再和解が難しいケース

任意整理後の再和解ができないか、難しいのは以下のケースに該当する場合です。

債権者が会社の方針として応じない

1回目の和解には応じても再和解には応じない貸金業者はいます。ただ、大多数の貸金業者は再和解に一切応じないというわけではなく、状況次第で応じるかどうかを判断します。

再和解にも柔軟に応じる方針の業者もいれば、あまり応じない方針の業者もいます。後者の業者を相手とする場合は、再和解は難しくなります。

また、柔軟に交渉に応じる業者を相手とする場合でも、以下の事情があると再和解は難しくなる可能性が高くなるので注意しましょう。

収入が減少した

1回目の和解後に収入が減ってしまい、債権者から「完済できる見込みなし」と判断されると、再和解に応じてもらうことはできません。債権者としては、再和解をするよりも裁判と差押えによって早期に債権を回収しようと考えるはずです。

ただし、一時的に収入が減少したものの回復できる見込みがある場合や、家計を見直すことなどによって返済の継続が見込める場合は、再和解できる可能性もあります。

債務が増加した

任意整理後でも、延滞によって遅延損害金が発生したり、まだ失効していないクレジットカードを使用したりすると、債務が増加することがあります。債務総額が増えると、やはり完済できる見込みが薄くなってしまうので、再和解することは難しくなってしまいます。

特に、再和解したい貸金業者に対する債務を延滞し、多額の遅延損害金が加算されていると「完済できる見込みなし」と判断されやすくなります。

1回目の和解から間もない

1回目の和解が成立してから間もない時期に再和解を申し出ても、応じてもらえる可能性は低いです。

再和解が可能となる期間について明確な基準はありませんが、基本的に1回目の和解から6ヶ月以内に再和解をすることは難しいと考えましょう。できる限り、1年以上は返済を継続しておきたいところです。

それなりの期間にわたって返済を継続していれば、債権者の理解も得られやすくなります。

延滞歴が多い

1回目の和解後に返済を継続していたとしても、何度も延滞したり、1度の延滞でも解消できないままになっているような場合は、再和解に応じてもらうことは難しいといえます。

債権者から「誠実に返済する意思がない」と判断されてしまうと、再和解よりも裁判と差押えによる債権回収が行われる可能性が高まってしまいます。

任意整理後の再和解を成功させるためのポイント

任意整理後の再和解が難しいと思われるケースでも、交渉次第で再和解できる可能性があります。再和解を成功させるためには、以下のような対処法が有効です。

やむを得ない事情がある場合は債権者に伝える

1回目の和解後に失業や病気、事故など、突発的なやむを得ない事情で返済が難しくなった場合は、具体的にその事情を債権者に伝えることで理解が得られる可能性があります。

ただし、完済が見込めない状況では再和解することはできません。毎月の返済額をいくら減らしてもらえば返済の継続が可能なのかや、返済を何ヶ月待ってもらえば返済が再開可能なのかを、具体的な根拠を持って提示することが大切です。

家計を見直すなどして返済資金を確保する

やむを得ない事情がない場合でも、別途、返済資金を確保できるという根拠がある場合は、再和解できる可能性が高まります。

返済資金を確保する方法として、主に以下のようなことが考えられるでしょう。

  • 家計を見直す
  • 仕事を増やす、あるいは副業をする
  • 親族から援助を受ける
  • 配偶者や子どもにも働いてもらう

家計を見直す際には、家賃や保険、通信費、車の維持費用などの固定経費を見直すと節約効果が高いと言われています。

弁護士・司法書士に依頼する

より直接的な効果が期待できる対処法として、再和解を弁護士・司法書士という法律の専門家に依頼することが挙げられます。

先ほどもご説明したように、1回目の和解を専門家に依頼していなかった場合は、新たに専門家が介入することで債権者も最大限の交渉に応じてくるので、再和解できる可能性が十分にあります。

1回目の和解を専門家に依頼していた場合でも、別の専門家に依頼することで再和解に成功するケースもあります。

弁護士・司法書士のすべてが債務整理の経験が豊富というわけではないので、1回目の和解が適切な内容で行われているとは限りません。そのため、債務整理の経験が豊富な専門家に新たに依頼して適切に交渉してもらえば、再和解できる可能性があります。

任意整理後の再和解ができないときの対処法

状況によっては、手を尽くしても再和解ができない場合もあります。そんなときでも、以下の対処法をとれば借金問題を解決することが可能です。

他社も追加介入する

1回目の任意整理で手続きの対象としなかった借入先がある場合は、その貸金業者とも任意整理をすることで返済の負担を軽減させることができます。このように、当初は任意整理の対象から外していた債権者を手続きの対象に追加することを「追加介入」といいます。

早期に追加介入をすれば、再和解ができなくても全体的に借金問題を解決できる可能性があります。

個人再生を申し立てる

任意整理で完済が難しい場合には個人再生を申し立てれば完済可能となる可能性が高いです。個人再生とは、裁判所の手続きを利用して借金総額を大幅に軽減することが可能な債務整理の方法です。

一定の条件を満たせば借金総額が原則的に5分の1、最大で10分の1にまで軽減されます。

減額後の借金を3年~5年で完済できるだけの安定収入がある場合は、個人再生の申し立てを検討するとよいでしょう。

自己破産を申し立てる

個人再生をしても状況によっては完済可能な程度には借金が減らないこともあります。また、安定収入がない人は個人再生を利用することはできません。

そんなときは、自己破産を検討することになります。自己破産を申し立てれば、一定の条件の下に借金の返済義務がすべて免除されます。

追加介入による任意整理、個人再生、自己破産のうち、どの方法が適しているかはケースバイケースなので、弁護士または司法書士にご相談の上で選択することをおすすめします。

任意整理の再和解を弁護士・司法書士に依頼するメリット

任意整理の再和解は、可能な場合でも1回目の和解よりも交渉が難しくなることが多いです。そのため、弁護士または司法書士に依頼して進めることを強くおすすめします。

再和解を弁護士・司法書士に依頼することで得られるメリットは以下のとおりです。

  • 債権者との交渉を代行してもらえる
  • 受任通知の送付により取り立てや督促を止めてもらえる
  • 法的観点から的確に交渉してもらえる
  • 債権者も最大限の交渉に応じる傾向がある
  • 過払い金が戻ってくる可能性もある

結果として、再和解できる可能性が高まりますし、より有利な内容での再和解が期待できます。

まとめ

任意整理後の再和解は必ずしもできるとは限りませんが、返済できなくなった借金を放置していると、やがて給料や預金口座などの差押えを受けてしまうおそれがあります。そうなる前に、弁護士または司法書士という専門家のサポートを受けることが大切です。

1回目の任意整理を専門家に依頼していた場合も依頼していなかった場合でも、債務整理の経験が豊富な専門家に新たに依頼することで、適切な解決が期待できます。専門家の力を借りて、再和解を成功させましょう。

メインの執筆者かつ9312

元弁護士。関西大学法学部卒。15年にわたり、債務整理、交通事故、相続をはじめとして、オールジャンルの法律問題を取り扱う。
債務整理では、任意整理、個人再生、自己破産の代行から過払い金返還請求、闇金への対応、個人再生委員、破産管財人、法人の破産まで数多くの事案を担当経験する。

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