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娘がホスト通いで借金!親に売掛金を払う義務はあるのか?

この記事でわかること
  • 娘がホスト通いで作った売掛金や借金を親が支払う義務はない
  • 親がホストから取り立てを受けた時は警察や弁護士への相談が有効である
  • 娘がホストへの売掛金や借金を払えない時は債務整理で解決できる
  • 娘のホスト通いで困ったら親が代理で弁護士に相談できる

ホス狂という言葉がありますが、ホストにハマり、返済できないほどの売掛金や借金を抱えてしまう女性は大勢います。このホストにハマる娘の問題は親にも深刻なトラブルを招きます。

お客の女性が売掛金や借金を支払わなければ、ホストは女性の親に取り立てを行います。そのため、娘のホスト通いで取り立てを受け、肩代わりして支払ってしまう親御様も少なくありません。

しかし、親が肩代わりしたところで根本的な解決にならない可能性もあります。

そこでこの記事では、娘がホスト通いで作った売掛金や借金を親が支払う義務はあるのか、取り立てを受けた場合はどうすればよいのか、さらには娘自身が売掛金や借金を解決する方法までをご紹介します。

娘のホスト通いでお困りの親御様は、ぜひ参考になさってください。

娘がホスト通いで作った売掛金を親が支払う義務はない

娘がホスト通いで作った売掛金や借金は、あくまでも娘自身の債務です。たとえ親でも、娘が勝手に作った売掛金や借金を代わりに支払う義務はありません。

親名義の借用証が作成されているケースもありますが、無断で作成された借用証は偽造文書であり契約は無効です。勝手に保証人にされたケースも同様で、保証契約は無効となります。

親に返済義務が生じるのは「表見代理」が成立する場合です。これはホストから見て女性客の親に代理権があるように見える場合成立します。

しかし、娘がホストクラブで浪費し、売掛金や借金を作るために親が代理権を与えることは、通常は考えられないでしょう。

したがって、娘がホスト通いで作った売掛金や借金について、親に支払い義務が生じるケースはまずないと考えて差し支えありません。

ホストが娘の売掛金を親に請求する理由

実際には、娘が売掛金や借金を支払わなければ、ホストは親に請求してくることが少なくありません。しつこく電話がかかってくることもあれば、家に取り立てに来られることもあります。

ただ、ホストとしても、娘の売掛金や借金を親が返済する義務はないということは承知しています。それでも親に請求する理由として、次の2点が挙げられます。

  • 娘に心理的圧力をかけることでお金を用意させる
  • 娘を心配する親による肩代わり返済を期待する

娘としては、ホストが親に取り立てに行かないように、風俗店で働いて稼いだり、闇金から借りるなどしてお金を用意することがよくあります。

親としては、そんな娘の身を案じて肩代わり返済をする方もいます。また、取り立てが怖いから、しつこいから、近隣からの目が気になるから、という理由で肩代わりしてしまう親御さんもいます。

ホストからの取り立てを受けたときに、親が支払いを約束して借用書などにサインしてしまうと、法律上の返済義務が生じる可能性があることにも注意が必要です。

親がホストから取り立てを受けた時の対処法

親がホストから取り立てを受けたとき、すぐに肩代わり返済をすることはおすすめできません。安易に肩代わりをすると、娘が浪費を反省することもなくホスト通いを続ける可能性が高いからです。

娘の売掛金や借金については、後でご説明するように娘自身の問題として解決を図る法が得策です。

親は親として、返済義務がないことを前提に、次のように対処していきましょう。

  • 毅然と支払いを拒否する
  • 悪質な取り立てを受けた時は警察に相談
  • 取り立てが止まらない時は弁護士に相談

毅然と支払いを拒否する

親としては返済義務がない以上、取り立てを受けても支払いを拒否することです。ホストからさまざまな罵詈雑言を言われても、「娘の借金は親に関係ない」という対応をとりましょう。

少しでも支払う意思を見せてしまうとホストに肩代わりを期待させてしまい、取り立てが止まらなくなるので注意が必要です。

言葉巧みに借用書などへのサインを求められることもありますが、絶対にサインしてはいけません。

悪質な取り立てを受けた時は警察に相談

警察は民事不介入のため、金銭問題には原則として介入しません。しかし、取り立ての際に次のような犯罪行為を受けた場合は、警察への相談が有効です。

  • 殴る、蹴る、小突くなどの暴力を振るわれた(暴行罪、傷害罪)
  • 脅された(脅迫罪)
  • 暴行、脅迫により支払いを迫られた(恐喝罪)
  • 借用書へのサインを強要された(強要罪)
  • 自宅に無許可で押し入られた(住居侵入罪)
  • 帰ってくれと言っても居座られた(不退去罪)
  • 自宅の玄関などに貼り紙や落書きをされた(器物損壊罪)

ほとんどの場合は、警察に通報するだけでホストによる悪質な取り立ては止まります。

犯罪行為を伴う取り立てが続く場合は、被害届の提出や刑事告訴の手続きも検討するようにしましょう。

取り立てが止まらない時は弁護士に相談

ホストによる取り立てが止まらない場合には、弁護士に相談することをおすすめします。相談するだけでも、有効な対処法についてアドバイスが受けられます。

犯罪行為を伴う取り立てが続いている場合には、刑事告訴の手続きを弁護士に依頼することも可能です。

刑事告訴は被害者本人が行っても受理してもらえないことが多いものですが、弁護士に手続きを代行してもらうことで受理され、警察に動いてもらえる可能性が高まります。

ホストによる取り立てが犯罪にまでは至らない場合でも、ホストとの交渉を弁護士に依頼することは可能です。

法律の専門家としての立場から親には返済義務がないことを説明し、交渉してもらうことで、親とホストとの関係は断ち切ることができます。

娘もホストクラブの売掛金の支払いが不要な4つのケース

娘がホスト通いで売掛金や借金を作った場合、親としては肩代わりをするのではなく、娘自身による解決をサポートしてあげるようにしましょう。

その際、まずは娘自身に支払い義務があるかどうかを確認することが重要となります。ホストクラブで作った売掛金や借金でも支払い義務がないか、または消滅するケースがあります。

次の4つのケースのどれかに該当する場合は娘にも支払い義務がありませんので、ホストからの請求を拒否できます。

  • 脅されてツケをした場合
  • 騙されてツケをした場合
  • 未成年者がツケをした場合
  • 消滅時効が成立した場合

脅されてツケをした場合

ホストから脅されてツケをした場合には、売掛の契約を取り消せる可能性があります。

ホストクラブでは、ホストからの強い働きかけによって、女性客がやむを得ずツケをすることが少なくありません。次のような場合には、ホストからの働きかけが民法上の「強迫」に当たるため、売掛の契約を取り消せるのです。

  • 注文しなければ帰さないなどと脅された
  • 注文しなければ風俗で働いていることをバラしてやるなどと脅された
  • 注文しなければ裸の写真をばらまくなどと脅された

契約の取消しが認められると、売掛はなかったことになるため支払い義務はありません。

ただし、実際には強迫を理由として取消しが認められるケースは多くありません。ホストから懇願されてツケに応じた場合は、多少しつこく迫られていたとしても強迫には当たらないことがほとんどです。

騙されてツケをした場合

ホストに騙されてツケをした場合も、売掛の契約を取り消せる可能性があります。次のような場合には、ホストからの働きかけが民法上の「詐欺」に当たるため、売掛の契約を取り消せます。

  • 1本5万円と言われたボトルを注文したが、請求は50万円だった
  • 売掛金の半分をホスト自身が負担すると言われたのに、全額を請求された
  • サービスだと言われたのに、ツケになっていた

ただし、騙された事実は客側が立証しなければなりません。立証は難しいことも多いので、詐欺を理由として契約を取り消す場合には弁護士のサポートを受けることをおすすめします。

未成年者がツケをした場合

娘がツケをした時点で18歳未満であれば、親権者が同意した場合でない限り契約を取り消し、支払いを拒否できます。

ただし、成人であると偽ってホストクラブでツケをした場合には、取消しが認められません。

この場合、偽った事実はホスト側が立証する必要がありますが、娘が身分証明書を偽造や変造していた場合には言い逃れができません。

ホストクラブで身分証明書の提示を求められなかった場合は取り消せる可能性もあるので、弁護士に相談して対処した方がよいでしょう。

消滅時効が成立した場合

売掛金や借金にも時効があります。消滅時効が成立している場合には、時効を援用することで支払いを拒否できます。時効期間は、次の表のとおり民法改正によって複雑化していますので、ご注意ください。

消滅時効成立までの期間
2020年3月31日以前 2020年4月1日以降
売掛金の場合 注文したときから1年 注文したときから5年
借用書を作成した場合 作成したときから10年 作成したときから5年

ツケをしたのが2020年3月31日以前であれば「1年」の消滅時効が成立しているケースが少なくありません。娘さんが売掛金を長期間払っていない場合は、詳しい事情を聴いて消滅時効が成立していないかどうかを確認しましょう。

娘がホスト通いで作った売掛金や借金を支払えない時の対処法

売掛金を支払えない時の対処法

ホスト通いによる売掛金や借金の支払い義務が娘にあり、金額が大きいために本人が支払えないときは、次の対処法をすすめてあげましょう。

分割払いや減額の交渉をする

まずは、分割払いや減額を認めてもらうようにホストと交渉することが考えられます。

この場合も、親が支払いを手伝うのではなく、あくまでも娘自身が支払える内容での和解を目指すことが重要です。

ホストとの交渉に親が同席したり、親が代わりに交渉するのもよいですが、肩代わり返済の承認をしてしまわないように注意する必要があります。

交渉は弁護士などの専門的な第三者に任せた方が安心です。

債務整理をする

娘が売掛金や借金を支払うことが厳しいようであれば、債務整理を検討してみましょう。

ホスト通いで作った売掛金や借金も債務整理の対象となるので、状況にあった債務整理手続きを選んで行えば、金銭問題は解決できます。

消費者金融やクレジットカード会社からの借金もある場合には、債務整理でまとめて解決することが可能です。

債務整理には、主に次の3種類の手続きがあります。

  • 任意整理…債権者と直接交渉して借金の減額や返済期限の延長を認めてもらう手続き
  • 個人再生…裁判所の手続きを通じて借金を大幅に減額できる手続き
  • 自己破産…裁判所の手続きを通じて借金が全額免除される手続き

ただし、ホスト通いで多額の売掛金や借金を作った場合は著しい浪費に当たり、自己破産では解決できない可能性もあります。(裁判所が破産を認めてくれない)

最適な手続きを選択するためには専門的な知識が要求されますので、弁護士にご相談の上で検討することをおすすめします。

娘のホスト通いで困ったら弁護士に相談を

娘がホスト通いで親が困ったときには、まず弁護士に相談してみることが最善の対処法となります。相談するだけでも、次のようなメリットが得られるはずです。

  • 親がホストから取り立てを受けたときの正しい対処法がわかる
  • 娘に売掛金や借金の返済義務があるかどうかがわかる
  • 娘に返済義務がある場合にも最適な解決方法がわかる

ホストとの交渉や債務整理が必要な場合には、弁護士が代理人として全面的に対応してくれます。

娘の問題を解決するためには娘自身が弁護士に相談する必要がありますが、最初は親が代理で相談することもできます。まずは親御様が弁護士に相談し、専門的なアドバイスを受けてみてはいかがでしょう。

また、もしも親が肩代わりして多額の売掛金を支払った場合は当事者になるため、ケースによっては弁護士に依頼して返金させることも可能です。その場合、親御様ご本人が弁護士に相談してください。

まとめ

娘のホスト通いで親が売掛金や借金の取り立てを受けても、親には返済義務がありません。

親としては安易に肩代わり返済で解決しようとせず、娘に対してしかるべき解決方法を勧めてサポートしてあげることをおすすめします。

親に対する取り立てを止めるためにも、娘自身の問題を解決するためにも、まずは親御様から直接弁護士に相談してみるとよいでしょう。

メインの執筆者かつ9312

元弁護士。関西大学法学部卒。15年にわたり、債務整理、交通事故、相続をはじめとして、オールジャンルの法律問題を取り扱う。
債務整理では、任意整理、個人再生、自己破産の代行から過払い金返還請求、闇金への対応、個人再生委員、破産管財人、法人の破産まで数多くの事案を担当経験する。

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