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借金を滞納すると裁判を起こされる?無視してはいけない理由と差押えの回避方法まで解説

借金を滞納すると裁判を起こされる?無視してはいけない理由と差押えの回避方法まで解説
監修田島 聡泰 (たじま あきひろ) / シン・イストワール法律事務所

シン・イストワール法律事務所は借金問題に注力する法律事務所です。事務所を開設してから、これまで任意整理、個人再生、自己破産、過払い金請求など様々なケースの借金事案に対応してきました。

シン・イストワール法律事務所は借金問題に注力する法律事務所です。事務所を開設してから、これまで任意整理、個人再生、自己破産、過払い金請求など様々なケースの借金事案に対応してきました。

この記事でわかること
  • 借金滞納を3ヶ月以上続けると裁判を起こされることがある
  • 借金返済の裁判を無視すると最終的に財産の差押えを受ける
  • 裁判を起こされても分割払いの和解ができる
  • 債務整理をすれば借金の裁判や差押えを回避できる

借金を滞納していると、債権者から裁判を起こされることがあります。ある日突然、裁判所から訴状や呼出状が届いて驚いた方もいらっしゃることでしょう。

裁判を無視すると最終的には給料や預金口座などの財産を差押えられることになりますが、適切に対処すれば差押えを回避することが可能です。

この記事では、借金滞納の裁判について詳しく解説します。お読みいただければ、裁判を無視してはいけない理由や差押えを回避する方法がわかることでしょう。

借金滞納で裁判になるケース

借金を滞納したからといって、すぐに裁判を起こされるわけではありません。裁判になるのは以下のようなケースです。

  • 滞納を長期間続けた
  • 債権者から届いた督促状を無視した
  • 裁判所から届いた支払督促に異議を申し立てた

滞納を長期間続けた

滞納してからしばらくは、債権者から電話や郵便による催促を受けます。早期に返済すれば問題ありませんが、滞納を長期間続けると裁判を起こされます。

裁判を起こす時期は貸金業者によって異なりますが、平均して3ヶ月~6ヶ月ほど滞納が続くと裁判を起こされる可能性が高くなります。

債権者から届いた督促状を無視した

多くの場合、債権者は裁判を起こす前に最後通告としての督促状を送ってきます。債権者としても裁判はできるだけ避けたいと考えているものです。督促状を受け取った時点で債権者に連絡し、支払い方法を相談すれば裁判を回避できる可能性があります。

督促状を受け取ったにもかかわらず連絡しないでいると、いつ裁判を起こされてもおかしくない状態となります。

裁判所から届いた支払督促に異議を申し立てた

債権者が起こす「裁判」には、訴訟と支払督促の2種類があります。

裁判の種類 裁判所から届く書類 手続きの流れ
訴訟 訴状 1ヶ月半~2ヶ月後から裁判が始まる
支払督促 支払督促 2週間が経過すると支払い命令が確定する

支払督促を受け取った後、2週間が経過すると債権者は差押え手続きに入ることが可能となります。しかし、債務者が2週間以内に異議を申し立てると訴訟手続きに移行します。

もし、裁判所から支払督促が届いた場合には、必ず速やかに異議を申し立てるようにしましょう。

借金を滞納して裁判も無視するとどうなる?

債権者が起こした裁判を無視すると、以下のように債務者の意向にはお構いなしに債権回収手続きが進められていきます。

  1. 債権者の主張どおりの判決が下る
  2. 差押えを受ける

債権者の主張どおりの判決が下る

民事裁判では、被告(訴えられた側)が答弁書を提出せず裁判期日にも出頭しない場合には、そのまま原告(訴えた側)の主張をすべて認める内容の判決が言い渡されます。このことを「欠席判決」といいます。

つまり、債権者が訴状に記載したとおりの金額について、債務者の支払い義務が公的に確定することになります。

差押えを受ける

判決が確定すると、債権者は強制執行手続きの申し立てが可能となります。強制執行手続きとは、財産の差押え手続きのことです。

ある日突然、給料や預金口座などを差押えられ、強制的にお金を回収されてしまいます。回収されたお金は借金の返済に充てられます。

借金返済の裁判で勝訴できる可能性がある2つのケース

債権者が起こす裁判のほとんどは、債務者にとって反論の余地がないものですが、反論して勝訴できるケースもないわけではありません。以下の2つのケースでは、的確な反論を行うことで勝訴できる可能性があります。

  • 身に覚えのない借金である
  • 時効が成立している

身に覚えのない借金である

他人があなたの名前を勝手に使って借金をしたような場合は、あなたに返済義務はありません。裁判でその旨を立証すれば、勝訴可能です。

ただし、いわゆる「名義貸し」をした場合は名義人が債権者に対する返済義務を負いますので、反論は認められません。

例えば、友人・知人などから「返済は自分でするから名前だけ貸してほしい」と頼まれ、あなたの名義で借金されたような場合は「身に覚えのない借金」ではなく、裁判では敗訴してしまいます。

時効が成立している

貸金業者からの借金は、最後に返済してから5年が経過すると消滅時効にかかります。ただ、債務者が時効の援用をするまで法律上の返済義務は消滅しませんので、5年以上が経過していても裁判を起こしてくる業者はいます。

時効を援用するためには、答弁書にその旨を記載して提出します。答弁書に分割払いの和解を希望する旨を記載して提出すると、債務を承認したことになり、時効の援用ができなくなるので注意しましょう。

借金返済の裁判の流れ

多くの場合は債権者が起こした裁判で債務者が反論する余地はありませんが、それでも適切に対処することが重要です。

では、どのように対処すればよいのでしょうか。ここでは、借金返済の裁判の流れを解説します。

  1. 裁判所から訴状が届く
  2. 答弁書を提出する
  3. 司法委員を交えて和解協議
  4. 合意ができれば和解成立
  5. 合意できなければ判決言い渡し

裁判所から訴状が届く

裁判を起こされると、裁判所からの特別送達で訴状や証拠書類が届けられます。まずは訴状をよく読み、いくらの返済を請求されているのかを確認し、反論できることはないかを検討します。

また、同封されている呼出状を見て、以下の内容も確認しておきましょう。

  • 第1回裁判期日の日時、場所
  • 答弁書の提出期限

答弁書を提出する

答弁書の書式も裁判所から届く書類の中に同封されています。この書式には、以下の事項を記入する欄が設けられています。

  • 原告の請求を認めるか
  • 認めない場合は反論
  • 認める場合は分割払いを希望するか
  • 分割払いを望む場合は希望する和解案

反論できることがない場合は、原告の請求を認めた上で、支払い可能な内容の和解案を記載し、期限までに提出します。

司法委員を交えて和解協議

裁判期日では、金銭貸借の事実に争いがない(間違いがない)場合にはもっぱら和解協議が行われます。

貸金業者が起こす裁判のほとんどは簡易裁判所で行われ、そこでは裁判官の他に「司法委員」が参加しています。司法委員とは、中立公正な立場で裁判官に参考意見を述べたり、和解協議の補助をしたりする人のことです。

誠実な態度で和解協議に臨めば、司法委員が債権者を説得してくれることもあるので、有利な内容での和解も期待できます。

合意ができれば和解成立

分割払いの協議の結果、債権者と債務者が裁判上の和解が成立し、裁判は終了します。裁判上の和解には判決と同一の効力があり、返済できなければ差押えを受けるおそれがあることに注意しましょう。

合意できなければ判決言い渡し

債権者にも譲歩できる限界があるので、司法委員を交えて和解協議をしても合意できないことがあります。その場合には判決言渡期日が指定され、その期日に債権者が主張する通りの内容で判決が言い渡されます。

判決書は郵送され、受け取った日の翌日から2週間が経過すると確定します。

借金返済の裁判終了後の流れ

次に、裁判が終了した後の流れをみていきましょう。

  1. 和解が成立した場合は分割返済を開始
  2. 判決言い渡しを受けた場合は一括返済を要求される
  3. 返済できなければ差押えを受ける

和解が成立した場合は分割返済を開始

分割払いの和解が成立した場合は、和解内容のとおりに返済を開始します。

裁判上の和解では通常、返済を2回以上怠ると一括返済しなければならない旨が定められます。

敗訴を回避するために厳しい条件で和解せざるを得ないこともありますが、2回以上延滞すると、敗訴判決を受けた場合と同じ状態となります。

判決言い渡しを受けた場合は一括返済を要求される

敗訴判決の言い渡しを受けた場合は、一括で返済しなければなりません。返済額は判決書に記載されていますが、内訳は以下のとおりです。

  • 元金
  • 提訴までの遅延損害金(約定利率)
  • 提訴以降の遅延損害金(法定利率)

約定利率とは借金をするときの契約で決めた利率のことで、年14.6%~20%が相場です。

法定利率とは民法で定められている利率のことで、具体的には以下のとおりです。

  • 2020年3月までに提訴された場合…年5%
  • 2020年4月以降に提訴された場合…年3%

返済できなければ差押えを受ける

和解が成立した場合も判決言い渡しを受けた場合も、返済できない場合は財産の差押えを受けることになります。

通常、債権者は予告なしに強制執行手続きを申し立てます。そのため、ある日突然、裁判所から勤務先に差押え通知が届いたり、預金を引き出せなくなったりすることがあります。

財産の差押えに関する注意点

財産の差押えを受けるとどうなるのか、どうすればよいのかについて、少し具体的に解説しておきます。

何を差押えられる?

差押えられるのは、主に給料や預金口座です。

ただし、換金できる価値のある財産はすべて差押えの対象となります。給料や預金の差押えが功を奏さない場合には、以下のような財産も差押えられる可能性があります。

  • 不動産
  • 株式などの有価証券
  • 売掛金などの債権
  • 保険の解約返戻金
  • 車などの動産

差押えはいつまで続く?

差押えは、債権者が判決や和解で確定した債権を全額回収するまで続きます。

給料を差押えられた場合、差し引かれるのは基本的に手取額の4分の1ですが、債権全額に満ちるまで毎月差し引かれ続けることになります。

差押えを解除する方法はある?

いったん差押えを受けると、債権者と話し合っても解除してもらうことはできません。解除するには、以下のいずれかの方法をとる必要があります。

  • 特定調停
  • 個人再生
  • 自己破産

これらの手続きにおいては、債権・債務を適切に処理するため、差押え手続きを停止する制度が設けられています。結局、差押えを解除するためには債務整理をする必要があるということになります。

差押えを回避する方法は債務整理をすること

返済できなくなった借金を放置していると、やがて裁判を起こされて差押えを受けてしまいます。しかし、債務整理をすれば裁判や差押えを回避することが可能です。

任意整理

任意整理とは、裁判所の手続きを利用せず、債権者との交渉によって返済額と返済方法を取り決め直すという債務整理の方法です。

債権者としても裁判をするよりは早期に返済してほしいと考えているので、裁判前であればほとんどの債権者が交渉に応じます。したがって、督促状を受け取った時点で任意整理をすれば、裁判を回避できます。

ただし、任意整理はあくまでも任意の手続きなので、差押えを受けてしまった後に交渉を申し出ても差押えの解除に応じてもらえることはまずありません。

特定調停

特定調停とは、簡易裁判所の調停手続きを利用して任意整理と同じような交渉をする手続きです。

任意整理とは異なり、以下のメリットがあります。

  • 裁判所の調停委員が交渉を仲介してくれるので自分でも手続きが可能
  • そのため費用もさほどかからない
  • 差押え停止の申し立てが可能

差押えを受けたものの、個人再生や自己破産をしたくないという場合には特定調停が有効です。

個人再生

個人再生とは、裁判所の手続きを利用して借金総額を大幅に減額する手続きです。裁判上の和解や判決で確定した債務でも、裁判所の決定によって強制的に減額されます。

個人再生を申し立て、再生手続開始決定が出た後に「強制執行中止の上申」をすると、既に行われている差押え手続きが中止します。

個人再生手続きが順調に進めば、その後も差押え手続きが再開されることはありません。

自己破産

自己破産とは、裁判所の手続きを利用してすべての借金の返済義務が免除される手続きです。裁判上の和解や判決で確定した債務でも、裁判所の決定によって強制的に返済義務が免除されます。

自己破産を申し立て、破産手続開始決定が出ると、すでに行われている差押え手続きは効力を失い、解除されます。

借金返済の裁判で弁護士・司法書士ができること

弁護士・司法書士といった法律の専門家の力を借りれば、以下の対応が可能となります。

  • 裁判前に債務整理をすることで裁判を回避できる
  • 裁判上の和解協議を有利に進めることができる
  • 裁判後に返済できない場合も債務整理で差押えを回避できる

債権者は裁判の準備を始めた時点で強制的な債権回収手続きにシフトしていますので、自分で適切に対応することは難しくなってきます。そのため、専門家に依頼することを強くおすすめします。

専門家に依頼することで得られる具体的なメリットは、以下のとおりです。

  • 最適な解決方法を提案してもらえる
  • 債務整理手続きを代行してもらえる
  • 裁判手続きを代行してもらえる
  • 借金問題の根本的な解決が可能となる
  • 債権者からの督促が止まる

まとめ

裁判所から訴状が届けられると精神的に大きな衝撃を受けてしまうと思いますが、まだ差押えを回避するためにできることがあります。

諦めず、冷静に対処することが重要です。できる限り、督促状を受け取った時点で適切に対処し、裁判そのものを回避したいとことです。

そのためには、弁護士・司法書士によるサポートが大きな力となります。専門家の力を借りて裁判や差押えを回避し、安心できる生活を取り戻しましょう。

メインの執筆者かつ9312

元弁護士。関西大学法学部卒。15年にわたり、債務整理、交通事故、相続をはじめとして、オールジャンルの法律問題を取り扱う。
債務整理では、任意整理、個人再生、自己破産の代行から過払い金返還請求、闇金への対応、個人再生委員、破産管財人、法人の破産まで数多くの事案を担当経験する。

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