自己破産で家は手放さないといけなくなる?マイホームに住み続ける方法についても分かりやすく解説

自己破産で家は手放さないといけなくなる?
この記事でわかること
  • 自己破産で持ち家は差し押さえられる
  • 自己破産の際の禁止事項には注意
  •  持ち家に住み続ける方法はある
  • 自己破産後も賃貸住宅には住める

自己破産は裁判所が借金を帳消しにしてくれる手続きで、いわば債務整理の最終手段です。そのメリットは大きい一方で、「今の家を追い出されてしまうらしい」などという話を聞いて不安に思っている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、自己破産をすると家は手放さないといけないのか、そしてマイホームに住み続けられる方法についても詳しく説明します。

自己破産をすると今の家には住めなくなるのか

自己破産後も継続して現住所に住み続けることはできるのでしょうか。賃貸住宅の場合と持ち家の場合のそれぞれについて紹介します。

賃貸住宅持ち家
→住み続けられる→住み続けられない

賃貸住宅に住んでいる場合

賃貸住宅に住めなくなるのは、基本的に大家との賃貸借契約が終了した時だけです。しかし、自己破産をしたことは賃貸借契約に影響を与えないため、契約期間内は現在の賃貸住宅に引き続き住み続けることはできます。

ただし、自己破産するときに家賃を数ヶ月間滞納している場合、住み続けられるかは怪しくなります。家賃の滞納がある状態で自己破産を始めると、その大家も債権者として破産手続きに参加します。

その手続きにおいて、家賃の額に相当する配当を受けることができなかった場合、賃貸借契約における債務不履行を主張されて契約を解除される恐れがあります。そうなってしまうと、家を出て行かざるを得ません。

自己破産後も賃貸住宅に住み続けたいと考えているなら、家賃の滞納について把握しておく必要があります。

持ち家に住んでいる場合

持ち家に住んでいる場合、自己破産後もそこに住み続けることはできません。持ち家と言っても残りローンの有無によって2つのケースがあるので、それぞれのケースについて説明します。

住宅ローン支払い中のケース

そもそも住宅ローンとは、住宅を購入するためのまとまった金額を融資してもらうことで一括支払いをし、その融資分の借金を分割返済するというシステムです。

多くの場合その際に、購入した住宅に「抵当権」 (借金を支払えなくなったときのための担保物権)を設定し、自己破産をすることになったら抵当権を行使するという内容のローン契約を締結します。

ですから、住宅ローン未払いのまま自己破産をすると、住んでいる住宅は差し押さえられ、競売にかけられた後売却されます。

住宅ローンを完済しているケース

ローンを完済していれば、その住宅は完全に自分の所有物です。したがって、自己破産の手続きで「資産」と認定されて裁判所により差し押さえられます。

持ち家を手放すまでの流れ

自己破産をし、持ち家を手放すまでの大まかな手順は次のとおりです。

自己破産から持ち家を手放すまでの流れ
  1. 破産手続き開始
  2. 破産管財人の決定
  3. 家の売却手続き開始
  4. 競売がなされて買取人決定
  5. 家の譲渡とともに退去

※破産管財人=破産手続き開始決定の後に裁判所が選定する担当者で、破産者の財産を管理する。

持ち家から退去して手放すまでには、裁判所を通していくつかの手続きを踏むことになります。ですから、破産手続きの開始決定から家の売却が終了するまでの約6ヶ月〜1年間は、自己破産をした後でも持ち家に住むことができます。

持ち家に住み続ける方法

自己破産をすると、基本的に持ち家は手放さなくてはいけなくなります。しかし、これを回避して住み続けることができる方法も存在します。

 メリット・利点デメリット・難点
①   リースバック持ち家に住み続けられる

買い戻しもできる

条件・障壁が多い
②   親族への譲渡持ち家に住み続けられる融資が認められづらい
③   自由財産の拡張持ち家を手元に残せる条件が厳しい
④   任意整理持ち家を残せる借金の減額が少ない
⑤   個人再生の住宅ローン特則持ち家を残せる

借金の減額が多い

手続きが煩雑

条件がある

リースバックをする

リースバックとは、住宅を不動産会社などに売却し、その買い手から住宅を賃貸することで家に住み続けるという方法です。後に住宅を買い戻すことが予定されていることが多いことから、リースバックと呼ばれています。

この方法を使えば、所有権を譲渡するので自己破産の時に持ち家が財産として差し押さえられることはありません。さらに、住宅を売ることによってまとまった額の現金を得ることもできます。

ただし、このリースバックを行うにあたっては、大きく2つの問題があります。

1つ目は、持ち家のローンがまだ残っている場合、リースバックを行うのは難しいと言うことです。なぜなら、ローン付きの家には抵当権と言う担保がつけられており、この状態では買い取ってもらえないことが多いからです。

2つ目は、たとえリースバックに成功したとしても、家賃が高額になる可能性があると言うことです。住宅を買い取った不動産会社は、その分の金額を家賃収入で取り返すことによって利益を得ます。ですから、住宅の売却代金に比例して家賃も高額になり、相場以上の金額を支払わなければならなくなる傾向にあります。

そのほかにも、破産管財人に住宅を取り戻す手続きを踏まれると結局住めなくなることや、不動産会社に住宅を転売されて買い戻せなくなることも考えられるため、リースバックには超えないといけない障壁が多いのです。

任意売却で親族に譲渡する

自己破産に伴う住宅の売却には、強制手段としての競売以外に「任意売却」と言う方法があります。任意売却とは、債権者の同意を得て、債務者自身が住宅の売却を担うというものです。この方法には、債務者が売却代金を自由に決めることができる上に、自分の判断で迅速に売却手続きを済ますことができるという特徴があります。

そして、任意売却においては、親族に住宅を買い取ってもらうこともできます。ただし、親族譲渡の場合は銀行からの融資を受けにくいので、住宅を変えるだけのまとまったお金が必要です。このことを考えると、親族譲渡は現実的には難しいと言えます。

自由財産の拡張を行う

自己破産の際には、必要最小限の財産を手元に残すことが許されています。この財産を「自由財産」と言います。自由財産は基本的に「99万円以下の現金」と「生活必需品」ですが、裁判所に自由財産の拡張を申し出て認可されると、住宅も手元に残せることがあります。

ただし、これが可能なのは、住宅価値が極めて低く評価された時に限られるため、自由財産に該当するケースは稀です。この方法も実際には難しいでしょう。

任意整理を行う

自己破産ではなく、任意整理を選択するという方法もあります。任意整理では裁判所の手続きを通さないため、特定の債権者とだけ交渉することで持ち家を残すことができます。また、債権者としても、自己破産をされて借金を帳消しにされると困るので、交渉に乗ってくれることも期待できます。

ただし、そうは言っても、任意整理の成果は債権者との話し合い次第なので、利害の調整が必要です。ですから、大幅な借金の減額は望めないと言えます。

個人再生の住宅ローン特則を利用する

債務整理のもう一つの方法として、個人再生があります。個人再生では基本的に整理する対象となる債務を選ぶことはできませんが、「住宅ローン特則」を利用すれば、住宅ローン以外の債務について整理することができます。この制度によって、借金額を大きく減らしつつ持ち家は残すということが可能になります。

しかし、住宅ローン特則を利用するにはいくつかの条件をクリアしなければなりません。また、手続きも煩雑であると言われています。ですから、自分が住宅ローン督促を利用できるのかどうかを事前に確かめることが必要です。

自己破産の際の禁止事項

自己破産では、やってはいけない禁止事項が存在し、違反すると罰則が加えられることがあります。

自宅の名義を変更すること

「自己破産の前に自宅の名義を他の人に変えておけば差し押さえられないのではないか」と考える方もいるかもしれませんが、これは禁止行為である不当な財産隠しに該当します。

たとえ財産隠しをしても、破産管財人はその名義を債務者本人の元に取り戻し、処分する権限を持っているためほとんど意味がありません。さらに、財産隠しをすると自己破産の手続きにおいて免責されないことがあります。

この場合、借金額が減らないので自己破産は成功しません。その上、財産隠しは破産法上の破産詐欺罪に問われる可能性があり、懲役刑も含まれる刑事罰を受けることさえあります。ですから、名義変更には手を出さないようにしましょう。

他人に持ち家を譲渡すること

正式な手続きにのっとって、債権者と話し合いながら住宅を売却する任意売却は許されていますが、自分の判断で勝手に他人に持ち家を譲渡することは禁止されています。この行為も一種の財産隠しとして罰則が与えられる恐れがあります。

また、この譲渡が民法上の詐害行為と認められると、自己破産の許可決定自体をとりされてしまう危険性もあります。持ち家の勝手な譲渡もしないように気をつけましょう。

自己破産後の住まいはどうするべきか

自己破産で持ち家を失った場合でも、賃貸住宅の契約を結ぶことはできるので、持ち家が売り渡されるまでの猶予期間のうちに新しい住まいを決めておきましょう。

持ち家はしばらく買えなくなる

自己破産をすると、その情報が「事故情報」として信用情報機関に登録されます。これがいわゆる「ブラックリストに載る」ということです。

金融機関は融資の審査の際にブラックリストの情報を参照するため、様々な信用取引ができなくなり、その一つとしてローン契約もできなくなります。したがって、自己破産後に新しく住宅をローンで購入することはできません。

ブラックリストの情報は5〜10年経過すると削除されるので、再びローンを組めるようになります。

まとめ

自己破産をすると、持ち家を手放すことは回避できません。しかし、持ち家に住み続ける方法は存在します。また、持ち家を失っても賃貸住宅に住むことはできるので、路頭に迷うこともありません。

一方で、自己破産をすることによって借金を帳消しにし、新たな生活をスタートさせることができます。このことから、持ち家を失うことを気にすることなく自己破産に踏み込む方がメリットは大きいと言えます。自己破産をしようかどうか迷っている方には、実行する決断をすることをお勧めします。

弁護士や司法書士といった専門家はアドバイスをくれるなどして自己破産手続きのサポートをしてくれます。無料で問い合わせ可能な事務所も多いので、疑問点などがあればまずは相談してみましょう。

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