整理屋とは？その手口と騙されないようにするための注意点について徹底解説

借金で苦しんでいる人間にとって、助けを差し伸べてくれる相手が目の前に現れたら、その相手のことを信じてしまうことでしょう。

「整理屋」とは、借金を抱えながらも、“何かいい解決方法を探している人”を騙して、お金を払わせる悪質業者のことです。近年では、「整理屋が実は闇金だった…」というケースもあります。

整理屋は債務者に巧妙に近づいてきますので、騙されないために、どのような手口で詐欺を行うのか？理解しておくことが重要です。この記事では、整理屋について詳しく解説していきます。

また、記事の後半には対処法についても説明しますので参考になさってください。

整理屋とは？

整理屋とは、債務者を狙った古典的な詐欺行為、およびその詐欺行為を行う者のことを指します。個人や企業に対して違法な手口で借金整理を持ちかけて、お金を騙し取る悪質業者です。

金融庁も悪質な整理屋による被害の増加をうけて、騙されないように注意を呼びかけています。整理屋の手口や実体について見ていきましょう。

整理屋
「あなたの債務を整理・解決します」などと広告し、多重債務者から「整理手付金」といった名目で現金などを預かり、整理をしないでだまし取る。

【参考】：違法な金融業者にご注意！｜金融庁

整理屋の悪質な勧誘手口とは

整理屋は債務整理をしたい人をターゲットにする

整理屋がターゲットにするのは、借金の返済に行き詰まって債務整理をしようかと検討している人たちです。

債務整理は、任意整理・個人再生・自己破産の手続きにより、借金問題を解決する方法で、一般的に弁護士・司法書士に依頼して行われます。

弁護士・司法書士に依頼すれば、着手金・報酬などの費用がかかる為、躊躇する人は多いですが、整理屋は、そのような人たちに「安い手数料で債務整理しますよ…」と巧妙に近づきます。

早く借金生活から開放されたい人たちにとっては、渡りに船とばかりに整理屋に依頼しますが、債務整理の手続きはおこなわれず、様々な名目でお金をだまし取られて逃げられるというのがパターンです。

整理屋は嘘の宣伝文句で勧誘する

整理屋は借金で苦しんでいる人にダイレクトメールを送ったり、SNSなどを使って勧誘します。その際、以下のような親切な業者を装い、低料金を売りにして言葉たくみに呼び込みます。

「○○弁護士があなたの借金をすぐに解決します」
「どこよりも安い費用で債務整理をお手伝いします」
「増えすぎた借金をすぐに減額して、毎月の返済を楽にします」

「あなたの味方になります」といった甘い言葉で誘ってきますので、整理屋に騙されてしまう人は跡を絶ちません。

信用されるような組織名を名乗って集客する

整理屋は、利用者が相談しやすいように、また信用されるように尤もらしい名称を名乗って集客します。これは詐欺師がよく使う手口です。

例）

「社団法人国民負債相談センター」
「NPO法人借金救済所」
「闇金解決法務事務所」

このように、国の機関であるかのような名称、大組織に似せた名称、法律組織かと思わせる名称は詐欺師がよく使う手口です。当然ながら実体はありません。

弁護士・司法書士を装って信用させる

整理屋が弁護士または司法書士を装って利用者を騙すケースもあります。債務者の名簿を購入して弁護士名義でダイレクトメールを送ったり、SNSで親切な司法書士を演じて、「格安で借金を解決できる」などと謳って勧誘します。

また、自身は弁護士・司法書士ではないが、「優良な提携弁護士・司法書士がいるので大丈夫ですよ！」というように、士業の専門家の信頼性を使って騙そうとするケースもあります。

自作自演で整理屋を紹介する

整理屋は、ネット上の質問サイト、掲示版などを使って債務相談に応対して、整理屋に勧誘するケースもあります。「多重債務で困っている…」「夫が多額の借金を抱えている…」といった相談投稿をして、別な回答者のフリをして「とても良い専門家がいる…」というように整理屋に誘導します。

複数のキャラクターを使って劇場型のようなリアリティを出して、自作自演の投稿も平気でおこないます。それを見て、そんなに優良な業者ならば、自分も相談してみようと引っかかってしまう人は大勢います。

整理屋のお金を支払わせる手口とは

あらゆる手口で手数料を要求する

整理屋は依頼者を捕まえると、あらゆる方法でお金をだまし取ろうとしてきます。具体的には「手数料」や「支払い代行」といった名目で費用を請求するパターンが多いです。

「提携弁護士・司法書士を紹介するために紹介料が必要…」
「本来、債権者に20万円の返済が必要だが、10万円支払えば代行して解決できる…」

こういった内容で言葉巧みにお金を振り込ませ、だまし取ります。

実際には代理弁済がなされることはなく、弁護士・司法書士の紹介もされません。利用者をうまく騙して、その後は逃げるというのが整理屋の得意の手口です。

詐欺行為がばれないよう偽装して長期間お金を騙し取る

さらに悪質なケースは、債務者を長期間騙して、その間にたくさんのお金を騙し取るパターンです。

整理屋が支払い代行を演じる場合、当然返済はしませんので、債権者から債務者に対して取立ての連絡が来ます。そこで詐欺行為が発覚するため、比較的短期間で騙されていることがわかって被害額は少なくて済みます。

しかし、悪質な整理屋は詐欺がバレないように発覚するまでの期間を引き延ばすようなことをします。

例えば、整理屋が弁護士のふりをして債権者に偽の受任通知を送付して、取立てをさせないようにします。そして、その間に、依頼者に対して「交渉費用が必要」「収入印紙を購入する」など、様々な名目でお金を搾り取るわけです。

整理屋はこのような引き延ばしを行い、長期間にわたり債務者から代理返済と称してお金を搾取し続けます。依頼者が騙されたと気づいたときには被害額は多額になっています。

企業の債務整理やM&Aを狙った整理屋

近年ではコロナの影響により債務で苦しむ企業を狙った整理屋も増えています。

経営コンサルタントを名乗って、「会社の破産手続きのアドバイス」や「事業資金を用立てる」などと称して、相談料や手数料、返済代行などの名目でお金を支払わせる手口があります。

また、M&Aコンサルタントと称して、事業売却を検討している事業者、会社購入を検討している事業者から多額のお金を搾取するような整理屋もいます

整理屋は個人だけでなく、事業者も狙っていますので要注意です。

紹介屋が闇金を紹介するケースもある

整理屋はもう一つの顔として紹介屋をすることもあります。紹介屋とは、借金返済の為の借り換えを提案して、お金を貸してくれる金融業者を紹介した見返りに、借用した金額の3割～4割の手数料を取る、といった詐欺行為です。

紹介屋と金融業者は、同一人物やグルで、しかもその金融業者は闇金だったりします。

高い紹介料を取られた上に闇金を紹介されるわけですので、利用者は大損害です。闇金の利息は超高金利ですので、借金は雪だるま式に増えて、取立て・嫌がらせで今以上に苦しめられる結果になります。

整理屋に騙されないようにするための対処法

整理屋は、善意の人・親切な業者を装いますので、ついつい騙されてしまう人が跡を絶ちませんが、ここでは整理屋に騙されないようにするための対策方法について解説いたします。

借金解決を謳う個人や業者は信用しないこと

債務整理は借金減額・免責のための有効な手段です。この債務整理の手続きができるのは、債務者本人と弁護士・司法書士だけです。

つまり、他人や事業者が債務整理の手続きをおこなうことは法律違反です。弁護士でもないのに「債務整理をサポートします」と軽々しく勧誘するような整理屋を信用してはいけません。

弁護士・司法書士の紹介には注意

整理屋の中には、知り合いの弁護士を紹介するなどと言って安心させる手口をよく使います。しかし、一般の人が弁護士を紹介するというのは、「非弁行為」という法律違反に該当します。

弁護士法では、このような紹介・斡旋を禁じています。ですので「弁護士を紹介しますよ！」といった勧誘は疑ってかかるべきでしょう。

また、弁護士・司法書士が自らSNSなどを使って債務者に直接的にアプローチしてくることはまずありません。本物の弁護士・司法書士なのか？氏名・事務所名・登録番号などを各都道府県の弁護士会や司法書士会のホームページから確認すると良いでしょう。

整理屋の被害にあってしまった場合は本物の弁護士・司法書士に相談すること

整理屋に騙されて多額のお金を支払ってしまった、闇金を紹介されて法外な金利や取立てで困っているという場合は、違法金融業者に強い本物の弁護士・司法書士に相談されることをおすすめします。

法律の専門家に依頼すれば以下のようなことが期待できます。

• 整理屋に支払ったお金を取り戻せる可能性がある
• 刑事告訴など法的手段を取ることができる
• 闇金の取立て・嫌がらせをストップできる

警察に相談しても整理屋の実体が掴めない・証拠が少ないといった場合、すぐに動いてくれません。

弁護士・司法書士なら、依頼後は迅速に対応してくれます。また、合わせて債務整理も確実に手続きを進めてくれますので、相談してみると良いでしょう。

まとめ

整理屋は案外身近に潜んでおり、借金返済で困っている人を虎視眈々と狙っています。人助けを演じますので騙されやすいですが、実は人の弱みに付け込んでお金を支払わせる悪質業者です。

債務整理の手続きや闇金とのトラブル解決は、弁護士・司法書士のみに認められている業務ですので、それ以外の業者には決して依頼してはいけません。

もし借金を少しでも楽にしたいと思ったら、正規の弁護士・司法書士に直接依頼するようにしましょう。