- 信用情報は個人の返済能力を客観的に判断するための情報テキスト
- 支払いの滞納や債務整理をすると信用情報機関に事故情報が登録されるテキスト
- 事故情報が登録されると借り入れやクレジットカードの利用ができなくなる
- 事故情報は信用情報機関に5年~10年は保有される
信用情報は、私たちが普段の生活の中で目にすることはありませんが、借り入れやローンの利用、クレジットカードの作成などに影響を及ぼす重要なものです。私たちが金融機関と何らかの取引をすると、その情報は逐一、信用情報として登録されています。
そして、借り入れやローン、クレジットカードの作成などの申し込みを受けた金融機関は、審査の際に申込者の信用情報を確認します。そのとき、信用情報の内容が悪ければ、金融機関から取引を拒否されてしまいます。
信用情報の内容が悪化するのは、借金の返済を滞納したり、債務整理をしたりすることによって事故情報が登録されたときです。
ただ、事故情報はいつまでも残り続けるものではなく、やがて消去され、信用情報は回復します。
この記事では、
・信用情報とはどのようなものか
・事故情報が登録されることによるデメリット
・信用情報が回復するまでの期間と注意点
以上3点についてわかりやすく解説します。
信用情報とは
そもそも信用情報とは、個人の金銭的な支払い能力を客観的に表した情報のことです。
金融機関は、借り入れやローン・クレジットカードなどの取引を行う前に、申込者に確実な支払い能力があるかどうかを審査しなければなりません。
しかし、見知らぬ申込者の支払い能力を見極めるのは容易なことではありません。そこで、個人の支払い能力に関する客観的なデータとしての信用情報を確認することで、金融機関は融資などの審査を行います。
では、個人の信用情報はどこに保有されているのでしょうか。
信用情報を保有する機関
個人の信用情報を保有する機関には、次の3種類があります。それぞれ、加盟している金融機関の特徴が異なります。
これらの信用情報機関は別個独立の組織ですが、信用情報について相互に情報交換をしています。
特に、事故情報については3つの機関で情報を共有しているため、一つの機関に事故情報が登録されると他の二つの機関にも登録されてしまうことにご注意ください。
株式会社シーアイシー(CIC)
株式会社シーアイシー(CIC)は、貸金業法および割賦販売法に基づく指定信用情報機関です。
主にクレジットカード会社やローン会社、リース会社など信販系の会社が加盟しています。分割払いを取り扱う金融業者を対象としているため、消費者金融会社など貸金業者も多く加盟しています。
これらの業者が顧客と金融取引を行う際に照会すると、CICに登録されている信用情報が提供されます。
株式会社日本信用情報機構(JICC)
株式会社日本信用情報機構(JICC)は、貸金業法に基づく指定信用情報機関です。
主に消費者金融会社などの貸金業者が加盟していますが、クレジットカード会社や信販系の会社の多くも貸金取引を行っているため、加盟しています。
これらの業者へ信用情報を提供することを目的としています。
全国銀行個人信用情報センター(KSC)
全国銀行個人信用情報センター(KSC)は、一般社団法人全国銀行協会(全銀協)が設置し、運営している信用情報機関です。
銀行や信用金庫、信用組合、政府系金融機関、農協組合、信用保証協会などの他、銀行系の信販会社の一部も加盟しています。
これらの金融機関が融資を行う際に信用情報を提供することを目的としています。
信用情報として登録される内容
信用情報機関に登録される内容は、3つの機関ごとに若干の違いはありますが、主な登録事項は共通しています。具体的には、以下のとおりです。
【個人を識別するための情報】
住所、氏名、生年月日、郵便番号、電話番号など
【取引に関する情報】
契約の種類や内容、契約した年月日、借入額、支払い回数、残債務額、支払いの状況、滞納の有無など
信用情報機関に事故情報が登録されることによるデメリット
事故情報とは、契約どおりに支払いが行われなかった事実に関する情報のことです。
滞納を61日以上続けた場合や、保証会社が債務者に代わって弁済した場合、債務整理をした場合などに信用情報機関に事故情報が登録されます。
事故情報が登録されてしまうと、以下のようなデメリットが発生します。
・新たな借り入れができなくなる
・クレジットカードを新たに作れなくなる
・手持ちのクレジットカードも解約される
・ローンを組めなくなる
・携帯電話やスマートフォンの端末を分割払いで購入できなくなる
・他人の債務の保証人になれなくなる
借金などしないに越したことはありませんが、クレジットカードが利用できなくなると、不便を感じることが多いでしょう。
自動車ローンや住宅ローンが組めなくなるのも、人によっては大きなデメリットになると思われます。
携帯電話やスマートフォンの機種変更をする際にも、一括払いで購入できる端末しか選べなくなってしまいます。
信用情報の保有期間
信用情報はいつまでも保有されるわけではなく、一定の期間が経過すると削除されます。そこで気になるのは、事故情報がいつまで保有されるのかということでしょう。
この点については、以下のように事故情報の内容によって、また3つの信用情報機関によって異なります。
支払いを延滞した場合
債務整理をせず、単に支払いを延滞した場合の事故情報の保有期間は、次の表のとおりです。
信用情報機関 | 61日以上延滞した場合 | 3ヶ月以上連続で延滞した場合 |
---|---|---|
CIC | 5年 | 5年 |
JICC | 1年 | 5年 |
KSC | 5年 | 5年 |
任意整理をした場合
任意整理をした場合の事故情報の保有期間は、CIC・JICC・KSCのどの信用情報機関でも5年です。
ただし、いつから5年で事故情報が削除されるのかについては注意が必要です。
基本的には和解が成立した日から5年と考えられますが、実際には完済してから5年が経過するまで事故情報が削除されないケースも多いようです。
なぜこのようなことが起こるのかというと、信用情報機関に事故情報を登録するのは、各金融業者だからです。
金融業者によっては、任意整理後の債務の返済も事故として取り扱い、信用情報機関に事故情報として登録するところもあります。
その場合、完済から5年間、事故情報が保有されることになります。
個人再生をした場合
個人再生をした場合の事故情報の保有期間は、次の表のとおりです。
信用情報機関 | 個人再生をした場合 |
---|---|
CIC | 5年 |
JICC | 5年 |
KSC | 10年 |
個人再生の場合は、裁判所による再生手続開始決定が出た日から上記の期間、事故情報が保有されます。
もっとも、事故情報は3つの信用情報機関で共有されるので、単に「再生手続開始決定から10年間」と覚えておきましょう。
自己破産をした場合
自己破産をした場合の事故情報の保有期間は、次の表のとおりです。
信用情報機関 | 自己破産をした場合 |
---|---|
CIC | 5年 |
JICC | 5年 |
KSC | 10年 |
自己破産の場合は、裁判所による免責許可決定が確定した日から上記の期間、事故情報が保有されます。
個人再生の場合と同じく、事故情報は3つの信用情報機関で共有されるので、単に「免責許可決定が確定してから10年間」と覚えておきましょう。
信用情報の開示を請求する方法
事故情報が削除されると、再び以前と同じように借り入れやローン、クレジットカード利用などの金融取引が行えるようになります。
ただし、先ほどご説明したように事故情報の保有期間は一律ではなく、特に任意整理をした場合はいつ事故情報が削除されるのかがわかりにくくなっています。
そのため、ご自身では保有期間が過ぎたと思って借り入れなどを申し込んでも、実はまだ事故情報が削除されていないために断られるという事態が起こりえます。
このような事態を避けるためには、申し込む前にご自身の信用情報の開示を請求して内容を確認しておくことが大切です。
間違いなく保有期間が過ぎているのに、誤って事故情報が削除されていないと思われる場合は、信用情報機関に対して情報の削除を申告することもできます。
信用情報の開示を請求する方法は、信用情報機関ごとに若干異なりますが、おおまかな流れは同じです。
以下では、CICに開示請求する方法をご説明します。
準備するもの
開示請求をする前に準備するものは、請求方法やどなたが請求するかによって異なります。具体的には、次の表のとおりです。
請求方法 | 本人が請求する場合 | 代理の方が請求する場合 |
---|---|---|
窓口で請求 | ・本人確認書類 ・手数料500円(現金) | ・委任者の本人確認書類 ・代理人の本人確認書類 ・委任状(実印で捺印したもの) ・委任者の印鑑登録証明書 ・手数料1,000円(現金) |
郵送で請求 | ・信用情報開示申込書 ・本人確認書類 ・手数料1,000円(定額小為替証書) | ・信用情報開示申込書 ・委任者の本人確認書類 ・代理人の本人確認書類 ・委任状(実印で捺印したもの) ・委任者の印鑑登録証明書 ・手数料1,000円(定額小為替証書) |
インターネットで請求 | ・インターネット環境 ・クレジットカード ・電話番号(クレジット契約で利用したもの) |
窓口で開示請求する方法
CICには、全国に7箇所の信用情報開示窓口が設置されています。最寄りの窓口で直接、開示請求ができます。
受付時間は平日の午前10時~12時と午後1時~4時で、予約は不要で受付順に案内されます。
窓口では、セルフ開示端末のタッチパネルをご自身で操作します。必要事項を入力すれば受付が完了し、受付カウンターで本人確認書類を提示します。
その後、開示報告書が直接、手渡されます。代理の方が請求した場合は、委任者本人へ郵送されます。
郵送で開示請求する方法
郵送で開示請求する場合は、まず、信用情報開示申込書を入手して必要事項を記入する必要があります。
信用情報開示申込書の書式は、CICのホームページからダウンロードして使用します。
必要書類と手数料分(1,000円)の定額小為替証書の準備ができたら、CICの郵送開示センターへ送付します。
送付先住所は、下記のとおりです。
【送付先住所】
〒160-8375
東京都新宿区西新宿1-23-7 新宿ファーストウエスト15階
㈱シー・アイ・シー 郵送開示センター 宛
送付後、10日ほどで開示報告書が送られてきます。
インターネットで開示請求する方法
信用情報の開示請求は、パソコンやスマートフォンを使用してインターネットでも行うことができます。
インターネットによる開示請求の方法は、まず、CICのホームページ内の「開示手順」のページにアクセスします。
そのページで「ご利用前の確認」として利用規約と注意事項が表示されますので、一読します。確認できたら、同じページ内に掲載されている電話番号に電話をかけます。
このとき、クレジットカード会社に届けている電話番号を使用する必要があります。電話をかけると、受付番号を取得することができます。
受付番号を取得したら「ご利用前の最終確認」をクリック(タップ)して、表示される注意事項を一読します。その後、「承諾ページ」に進んで、必要事項と受付番号を入力します。
入力内容を確認して「確定」をクリック(タップ)すれば、申し込み手続きは完了です。この時点で、利用手数料が発生します。
利用手数料は1,000円で、クレジットカード決済(1回払い)のみとなっていますのでご注意ください。
その後、パソコンの場合は開示報告書のPDFをダウンロードできるようになります。スマートフォンの場合は、パスワードを入力することで開示報告書の内容が表示されます。
信用情報が回復するまでの注意点
いったん事故情報が登録されると、前述の保有期間が過ぎるまでは信用情報が回復することはないので、それま待つ必要があります。
ただ、その間にも注意しておかなければ信用情報が回復するまでの期間が延びたり、返済の負担が重くなって債務整理に失敗してしまうおそれがあります。
信用情報が回復するまでは、以下の点にくれぐれもご注意ください。
新たに借り入れをしない
事故情報が保有されている間は、正規の金融機関から借金することはほとんどできませんが、中には、いわゆる「街金」のように貸してくれる業者もあります。
しかし、街金のような業者からの借金は金利が高いのが一般的なので、返済が重くなってしまいます。
街金から借りた事実も信用情報として登録されます。これは事故情報ではないものの、一般的な金融機関から見れば印象が悪くなるという意味で、信用情報にさらに傷が付いてしまいます。
また、「闇金」に手を出してしまうと法外な利息を要求される上に、支払えなければ脅迫的な取り立てを受け、生活や職場が破壊されてしまうおそれがあります。
親戚や友人からの借金でも、返済の負担が増えてしまい、債務整理に失敗するおそれがあるので気をつけましょう。
支払いを延滞しない
債務整理後の返済も延滞してしまうと、それがさらに事故情報として登録され、信用情報が回復するまでの期間が延びてしまう可能性があります。
借金以外でも、携帯電話やスマートフォンの端末を分割払いで購入した場合の代金を延滞したときも、事故情報として登録されてしまいます。
信用情報を回復させるためには、延滞をしないことにくれぐれも注意してください。
まとめ
信用情報は、借金やローン、クレジットカード代金などを遅れることなく返済している限り、何ら恐れる必要はないものです。
しかし、延滞を続けたり、債務整理をすることで事故情報が登録されると、その後5年~10年の間は不便な思いをすることになります。
ただ、新たな借り入れなどができなくなるということは、経済的な生活を立て直すチャンスと考えることもできます。
5年~10年という期間は長く感じるかもしれませんが、借金しない生活を確立させて、信用情報が回復した後も堅実な生活を続けられることをおすすめします。
何か困ったことがあれば、弁護士や司法書士といった専門家に相談されるとよいでしょう。債務整理をする場合でも、できる限り事故情報が早期に削除される解決方法についてアドバイスが受けられるはずです。